虚構の世界 転編
当たり前のように流れる日々、当たり前のように刻む時。
日々無意識に、今という瞬間が存在し続けている。
誰もその存在を証明できないというのに、人々は不確定な未来に希望を抱き生きて行く。
未来も過去も、今日も明日も明後日も、その存在は保証されていないのに、人々は生きて行く。
誰かが居るから、自分がいる。誰かに認められたから、その存在が保証される。
あなたも、その誰かを認め、認められている。誰かが居るから生きている。
そうして辛うじて証明され続ける日々がもし、自分自身の創り物だとしたら…?
朝、小鳥が僕を目覚めさせてくれるなんてことはなく、轟音の響く都市開発の音で目が覚めた。朝から最悪の気分である。おまけに、昨日深夜までやっていたテレビのせいで体が重い。
興味深い内容というのは恐ろしく、人を、僕を惹きつけて離さない。
今日は外へ出かけなければならないというのに、最悪の体調だ。まともな思考ができないようでは、今日の出来事も曖昧な記憶となってしまう。それでは彼女に失礼だ。
彼女とは最近大学内で知り合った。特に僕から声をかけたわけではなく、度々同じ講義で出会うことがあり、気にはなっていたが、声をかけられずにいたところを彼女から話しかけてくれたのが始まりだ。
僕自身あまり女性経験がなく、過去に女友達もいたことがないので、どう接したらいいか分からずにいる。今でも彼女をしっかりと見つめることが出来ないのはそのためだ。
そんな僕に、今日一緒に街へ出かけようと彼女は誘ってくれたのだ。
僕にとって貴重な女友達だからこそ、仲良くしたいし、今後も友達でいてほしい。欲を言えば、お付き合いもしたい。だが、まだまだそんなのは先の話。僕にとって彼女はあまりにも眩しすぎる。
今は彼女と今日一日をどう過ごしたかが重要になる。今日の動き方次第では、その先に影響を及ぼしかねない。もし、僕の想像通りの世界になってくれたら、それはとてもありがたいことなんだけれど。
だけど、彼女に偽りの自分を見せてしまっては、後々後悔することになる。だから、ありのままで接したいんだけれど、どうも僕は緊張しやすいみたいだ。
「さて、今何時だ…。」
いろいろ考えながらとりあえず時計を見た。
不味い…。
非常に不味い…。
10時に駅前という約束だ。ところが今は9時30分。
家から駅まで20分はかかる。
彼女は何事にも10分前には到着している。ならばその前にこちらが到着していなければならない。
なぜなら月間恋愛マニュアル「キャットフード」に、女の子との待ち合わせの時には10分前行動が原則!と書かれていたからだ。これはいけない。なんとか走って待ち合わせ場所まで行くことにしよう。
勢いよく玄関の扉を開くと、青々とした空に程よく肌寒さを感じる気温。これなら走っても汗をかくことなく待ち合わせ場所までたどり着くことが出来る。もっとも、駅まで体力が持てばの話だが。
街中の流れる風景の中、腕時計を見る。5分、10分とどんどん時間は過ぎていく。
なんとか駅に着いた頃、すでに時刻は9時45分。ギリギリ彼女よりも早くたどり着くことが出来た。おかげで倒れそうだ。肩で息をしながら、ベンチに腰を下ろしてうなだれる。無理もない。全力で走ったのなんて高校以来だ。
ふと足元を見ると自分の前に誰か立っていた。
「どうしたの?ものすごくしんどそうだけど…」
「あ、いやぁ、ちょっと走りたくなっちゃって…」
どう答えればいいのか分からずに、意味の分からない返事を返してしまった。
「健康志向なんだね。今度ランニングでもいこうか。」
「まぁ、それは、考えておくよ。」
彼女と一緒にいられることはとても幸せなことなんだけれども、運動となればもはや地獄なのか天国なのかわかったもんじゃない。
ふぅ、と一つ大きく息を吐いて立ち上がる。
「それじゃぁ、行こうか。」
「うん!」
ふわりと体の向きを変えた彼女からは、なんとも形容しがたい心地よい香りが漂ってきた。
さっき走った時の疲労が徐々に回復されると同時に分泌されたアドレナリンも収まり始める。
今までは興奮状態でしっかりと彼女の目を見つめることが出来たが、さて落ち着いたときにどうなるのかは、僕が一番知っている。
やはりこういう所はカップルが目立つ。右を見ても、左を見ても、必ずそこに男女二人の組み合わせが目に入る。僕たちが訪れるにはまだ早いのではと心配になりながら、彼女は僕の横に立ち、共に歩いている。
何か会話をしなければとぐるぐる思考を巡らせる。ふと気になったことがあったので、彼女に聞いてみた。
「君は、どうしていつも10分前行動をしているの?」
えっ?というような表情をされたので、不味いことを聞いたのかと思ったが…。
「私、方向音痴だから人より早く行動しないと、時間に遅れちゃうの。だから、迷ってもなんとか時間までにはたどり着けるように早め早めの行動をしているの。10分前に到着できるのは、何度か訪れたことがある場所だけ。初めていくところだと、迷って時間に遅れてしまうの。結構深刻な悩みなのよ?」
その顔をかわいいと思ってしまった今の僕の表情は、彼女にどう映っているだろうか。
「もしも、時の流れを遅らせられる装置を僕が発明したら、きっと一番に君に使わせてあげるよ。」
「そんなに簡単なモノじゃないわ。時間を遅らせるには相当な力が必要なんだから。」
「そんなことはないよ。時間を遅くすることはとっても簡単なことだよ。」
不思議そうな顔を僕に見せて、続きを待っている。
「例えば、君の嫌いなこと。めんどくさいこと。早く終わらせたいことって案外長く感じたりするよね。」
「それとどう関係があるの?」
「それこそがまさに、時間の遅れだよ。」
何を馬鹿な。と思われているそこのあなた。意外とこれは本当なんですよ。
「時間というのは主観的な概念で、簡単に伸び縮みするものなんだよ。だから、もし時間が欲しいなら、そうやって時間を延ばすといいんだよ」
「そんなに都合のいいものではないわ。例え嫌なことであったとしても、どんどん時間は過ぎていくし、レポートなんかも書いているとすぐに時間が経つじゃない。それは時間の遅れとは言えないわ。」
それはそうだな、と感心してしまったところで彼女の反論は続く。
「それに、確かに時間が伸びていたとしても、私が迷い続ければ、なんの意味もないわ。私の願望としては、迷わないようにするための装置が欲しいものね。」
迷わないための装置なら、既にあるじゃないかと言いかけたが、飲み込んだ。
「でも、その考え方は嫌いじゃないわ。この人生だって、案外自分の都合のいいように操れたりするのかもしれないわね。」
「だとしたら、僕はすぐにでも遊んで暮らせる世界を望むよ。」
誰だってそう思うだろう。
「そう簡単にはいかないのかもしれないわ。」
彼女が遠くを見つめながら語りだす。
「タイムトラベルをテーマにした物語に、バタフライ効果って言葉が出てくるでしょう?」
うん、とうなずくと
「それと同じで、あなたの都合のいいように世界を構築できたとしても、世界のバランスが保たれないか、別の形であなたに不幸をもたらすかも知れない。」
ちょっとゾッとした。
「そもそも、この宇宙自体が全く別のものに変化してしまうかもしれないわね。人々の生活とか文化とか。」
「今僕たちが生きている世界は奇跡の連続だって、誰かが言うけど、案外必然なのかもしれないね。」
「そうね。誰かが構築した世界で、偶然私たちが産まれて出会うようになってしまった。と考えるのも面白いかもしれないわね。そうだとしたら、ちっともロマンチックではないけれど。」
確かにそうだ。
「もし、そんな誰かが構築した世界をコンピューターのプログラムみたいに書き換えることが出来たら、人は正気でいられるかな?」
「いられないでしょうね。それこそ、まともな人間であればあるほど、その力に溺れると思うわ。」
答えのない話を楽しんでいると
「ちょっと疲れたわね。カフェにでも入りましょう。」
うん、とうなずいて、普段は全く寄り付かない小洒落たカフェに入る。
席について、アイスコーヒーを頼むと、頬杖をついた彼女が窓の外を見ている。
窓から入る光が、彼女をより一層引き立てる。
僕はその横顔に、現実味を感じられなくなってしまった。
「なに?」
と彼女がこちらを見て声をかける。
驚いた僕はなんと返していいか分からず。
「い、いやぁ、なんというか…その…」
と、まともに返事もできず、気まずくなる。
「変なの。」
と笑顔を向けられた。
「ごめん、あんまりこういう所来たことなくって、落ち着かないんだ。」
「そうなの?普段はどういう所に行くの?」
「で、電気街に…」
濁して言うことにした。
「電気街?パソコンとか好きなの?」
「まぁ、作ったりするのが楽しいから、よくパーツとか買いに行ったりしているよ。」
「自作パソコンかぁ~。興味はあるんだけどなぁ。」
「ほ、ほんとに?今度一緒に作ろうか?」
「そうね、詳しい人に手伝ってもらえば、安心ね。」
天使か!と心の中で雄叫びをあげる。濁して正解だったろうか。引かれることが多いオタクだけど、彼女はそういう人でも気にせず接してくれるのか?
「あ、アニメとかも結構好きで、電気街だと、そういう情報が手に入りやすいから好きっていう面もあるよ。」
思い切っていってみた。いずれ知られることなら、今話しておいたほうが気持ち的にも楽だ。
「でしょうね。別に隠さなくていいのよ?趣味は人それぞれだもの。」
机に運ばれてきたアイスティーをストローでくるくる回しながら
「私も、あまり人には理解されにくい趣味を持っているから、あなたのその勇気は素晴らしいものだと思うわ。ありがとう、話してくれて。」
思いつめたような顔でそう言う彼女。
なぜかその顔が本当のことを言っているようには見えなかった。
確実に嘘が混じっているような、確実に真実が混じっているような、居心地の悪い感情が芽生えだした。
彼女の存在そのものが、とても儚く脆い存在に思えてきた。
白いような、でも黒いような。
彼女の存在が何なのか、わからなくなってきた。
「言葉には、人を殺すことが出来る力も、人を救うことが出来る力もあるのよ。」
突然何を言い出したかと思い、彼女を見た。
「言葉に乗せたものは、どんな感情や思いであれ、少なからずこの世界に影響を及ぼす。」
「何を言っているの?」
「バタフライ効果という言葉は便利ね。あなたが考えたの?いいや、違うわね。」
急に彼女が怖くなった。
どうしたのだろうか?
「言葉だよ。文法だよ。私の意志だよ。」
頭がふわふわしてきた。
「急にどうしたの?怖いよ。」
彼女は笑顔を僕に向ける。けれど、その笑顔は気持ちのいい笑顔ではなかった。
「何も心配ないわ。私は大丈夫よ。」
大丈夫には思えない。
急変した彼女に、今まで彼女に抱いていたイメージがあっさりと壊された。
「これが、私の趣味。」
「どういうこと?全く理解できないよ。」
「理解してもらう必要なんてないわ。でも、あなたには知っておいてもらう必要がある。私はあなたに勇気をもらった。だから私も勇気を出して、あなたに告白した。」
「君の趣味って、なに?」
「言葉っていうのは、とても強力な力を持っているって話をしたでしょう?」
「それが、なに?」
「この世界を、創り直したいとは思わない?」
ゾッとした。
まさに、さっき歩きながら話していたこと。
この世界が、誰かが構築したものだという話。
それを、他人がいじることが出来る可能性。
そんな力を手に入れることが出来たら、まともな人間は安定した精神を保てない可能性。
「まさか、本当にできるの?」
「できるかどうかは、あなた次第よ。」
「どういうこと?」
「試してみる?」
僕は怖くなって、席を立とうとした。
逃げ出したい気持ちが、僕の足を動かそうとした。
そう、動かそうとした。
人間は、あまりにも強烈な精神的ストレスを浴びると、動けなくなるものなのだろうか。
「あなたの考えは間違いではないの。むしろ、正解。この世界はプログラムみたいなもの。」
「君は僕をどうするつもり?君は言ったよね。まともな人であればあるほど、力に溺れて精神を乱すと。僕に強烈な精神的なストレスを与えて、僕そのものを壊す気?」
動かない体に届かない力を、自分の言葉に変換して、なんとか言葉を絞り出す。
「あなたには人よりも強いストレス耐性がある。すべてを受け入れて、新たな世界を構築する力がある。私はそう確信している。あなたに取り付けられている軛を解き放ちたいの。」
ストレス耐性どうのこうので片付けられる話なのだろうか。そうは思えない。
まともな人間というのがもし、誇りというものを数値化して評価したときに表れる平均よりも上の人間を指すのなら、確かに人間としては精神を乱し、最悪人格を壊し廃人になってしまうだろう。
力に溺れるというのは、廃人化した先に生まれる新たな人格形成によって現れる自尊心への陶酔ということだろうか。本当のところはよくわからないが。
「君は僕のなに?僕の何を知ってそんなことを言うの?」
僕のストレス耐性が高いとか、新たに世界を構築できるとか、まるで僕のすべてを知ったような口調で彼女は僕に話をする。
僕は君と出会ったばかりじゃないか。
生まれたときから僕を見てきたようなことを言わないでほしい。
僕の人生は、今まで散々なことだらけだった。たどり着いた先が、今のこの生活なのに、それすらも君は否定するのか?
僕が築き上げてきたこの楽園を、君は否定するのか?
君は、僕の何なんだ…
「私はただ、君に幸せになってもらいたい。ただ、それだけだよ。それ以外に、生きる意味なんてない。」
「答えになってないよ。僕の何を見てきて、君はそんなことを言うの?」
「私は君のすべてを知っている。だって、私は…。」
そこまで言葉を吐いて、口を閉ざした。
私は…何なのだろう?焦らされるのは好きじゃない。
途中まで吐き出されたものというのは、何であれとても気持ちの悪いものだ。
すっきりするまで、ずっと苦しく、ずっと重い。
僕の意識が、彼女の次の言葉をまだかまだかと注目する。
一体どのくらいの時が過ぎただろう。体感では10分もない。
体感の時間などあてにはなりはしないし、意識が彼女に惹きつけられたまま動くことがない。
時計を見る暇もなく、意識がしっかりと彼女に握られていた。
「答えられないことなの?君とはなんなのか。簡単な質問だと思うけれど。」
「あなたに教えたところで、あなたは信じないわ。この世界の真実を受け入れることが出来れば、あるいは…だけれどね。」
「ますますわからないよ。」
様々な可能性や運命が巡るこの世界に、真実の姿なんて、本当にあるのだろうか?
仮に真実の姿があったとして、どうして僕にそれを?
僕に世界を背負う力なんてないよ。僕は、僕はただ、この世界で僕らしく生きたいだけだ。
「あなたが見るべき世界は、今あなたが見つめている世界じゃない。気付いているでしょう?」
君は本当に表情豊かだ。
どうして僕にそんな顔を向けるの?
僕が…僕の意識が…僕の生きる世界が…
僕を、潰そうとする。
いいや。それは、錯覚だ。
僕が、僕の意識が、世界を潰そうとしている。
世界が、終わる。
世界が、始まる。
破壊は次なる誕生へのきっかけを産み出す。
誕生は次なる破壊へのきっかけを産み出す。
僕は、君を壊す。
君が、僕を壊したように。
僕は、君を創る。
君が、僕を創ったように。
これまでの世界は、あまりにも僕には不都合すぎた。
これからの世界は、あまりにも僕に好都合すぎた。
「僕の考えは、あっているの?」
彼女にそう問うと
「あっているかもしれない、間違っているかも知れない。私には、わからない。」
以前の僕なら、彼女の言葉は無責任な発言に感じたかもしれない。
「この世に正解なんてないの。自分が正しいと思ったことこそが、真実なの。誰でもない、あなたが生きてきた中で築いてきたもの。それこそが真実であり、正解。誰かが築き上げたものは、その誰かの真実。あなたの真実は、あなたの中にある。自分を信じて、責任なんてものに目を濁さないで。あなただけの真実を見つけ出して。私は、あなたの真実を観測する。私は、あなたの中にいる。」
責任なんてものは、無意味なのかもしれない。
僕自身が信じるモノを、僕自身が信じる世界を。
僕自身が望む未来を、僕自身が望む最後を。
僕自身の力で、創り出そう。
僕が創った世界が、例えどんな世界であろうと、誰にも否定なんてさせはしない。
僕が、僕の信じる世界を産みだすだけだ。
そう確信をすると、彼女が笑みを浮かべた。
いままで見たこともないような、とても気持ちのいい笑顔を。
儚く、町が、世界が、彼女が、僕が、消えてゆく。
本当に、終わる。
そして、始まる。
僕は、静かに目を閉じた。
朝、目を覚ました。小鳥が僕を起こすわけでも、都市開発の音に起こされるわけでもない。
肌に温度も感じない。明るくも、暗くもない。
視線を巡らせば、僕のそばを光が流れる。
美しく、きらきらと輝いている。
僕はそれがなんであるか、すぐに気づいた。
静寂の中に、美しく輝くものに、僕は満足した。
すると、彼女の声が聞こえた。
「あなたは、生きてなんかいない。あなたは、死んでなんかいない。」
どういうこと?生きていなければ、ここはなに?
問おうとしても、声が出ない。
「あなたは、時間や存在が産まれようとしている場にいる。でも、誰もそれを認知できない。」
認知できなければ、僕の存在は証明されないじゃないか。
僕は、一体何者なんだ?
「あなたは、その空間で、どんな世界も、どんな未来も、どんな過去も、意のままに創りだすことが出来る。」
僕がまるで、神様みたいじゃないか。
誰が認めるでもない。
僕が創り出す世界。
めちゃくちゃな世界かもしれない。
誰にとって不幸で、誰にとって幸せかもわからない。
「あなたが望むから、その世界は存在する。あなたが望んだ世界が、構築される。」
僕が望んだ世界が、誰かにとって望まない世界であったとしても、それでも世界は存在するの?
この世界の真実を知ることが出来た人だけが、新たな世界を構築できるの?
そんなの、あまりにも不公平だ。
「あなた自身が、世界の証明。あなたがいるから、この世界がある。あなたがいなければ、この世界はない。あなた自身が、終わりと始まりの証明。あなたが望む世界を、構築して、観測し続けて。私が望んだ世界も、あなたの記憶の中で保管し続けて。それこそが、私がいた証明。あなたがいた証明。」
そういうと、彼女は、その声は、ふっと消えていった。
僕自身が、世界の証明。誰かにとって不都合な世界の創造者。誰かにとって好都合な世界の創造者。
僕がこれまで生きてきた世界が、僕によってか彼女によってか壊されたのであれば、また創り直す必要がある。そこに再び僕の意識が目覚めるかはわからないけれど。
僕が創造した世界を観測しなければならないのなら、僕の意識は芽生えずに、ずっとこの場でこうして存在し続けるのかもしれない。
真実はすべて、僕が選んでいった先にある。
誰でもない、僕が見つける真実。
その真実が、僕にとって幸せなのか、僕が産み出した世界にとって幸せなのか、僕はまだわからない。でも、どちらであったとしても、その世界を受け入れなければならない。
どんな世界が待っているのか、どんな結末が待っているのか、僕はそれを楽しみに新たな世界を創りだす。
幸せな世界が訪れることを願って、僕は、瞳を閉じた。
新たな、明日を構築する為に。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
作者のてーるスライドです。
この作品は、私の周りの方々が創作活動をされていたことから、自分も何か形にしてみたいと思い始めた創作活動の中の物語の一つです。
私自身この物語と同じ考えを持っているため、書きやすくもありましたが、未経験な心理状態を描くという点では書きにくい点もありました。しかし、ものづくりというものはそういうものなので、最終的には楽しんで書くことが出来ました。
今自分自身が見ている世界は本物なのか?という疑問から始まったこの作品。
この物語をきっかけに、今後私が描く作品につながるものが出てくるかもしれませんね。
私自身SF作品が好きなこともあり、今後もこのような雰囲気の作品を書いていきます。
それは漫画であったり、また小説を書くかもしれません。
私自身としては、コミックマーケットにサークル参加することを目標としていますので、その際にはよろしくお願いします。
次回は詮編を公開します。
いつになるかは、私自身筆が遅いということもあり未定ではありますが、この作品で抱いた疑問を解きたいと感じられましたら、また読みに来ていただけると嬉しく思います。
それでは、また次回の物語でお会いしましょう。