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化け物④


 この国はルールに縛られている。ルール以上に縛られている。そう、魔法で縛られているために戦い方も全く変わってくるのだ。だからこそ武器を変えないといけなくなる。


 少し異質な武器。斬ることに特化した刀を、重く長くし絶ち斬ることになった太刀と小さい拳銃だった。


「魔法は撃てませんが拳銃なら。牽制ぐらいになるでしょう。太刀もご用意いたしました。『百目切り』と言います。私に傷を負わせた刀です」


「ありがとう」


 茶の間でメメメと二人切りで武器を貰う。そのまま次の話をまつ。


「俺は今から何処へ行けばいい?」


「帝の護衛をお願いしたいです。いま、襲撃が予定されている空島へご案内いたします」


「防戦かぁ……援軍の予定は?」


「ありません。王配のみ」


「……本当に五里霧中なんだな」


「非常に苦しいのは確かです。ですが、我々は希望を紡がないといけません。陽の差す国を目指すために」


「わかった。壊れたリセットボタンを何とかしよう。足はあるのか?」


「目をお使いください」


 メメメが軍靴を用意する。それはふよふよと飛び、真ん中に目がある。


「浮遊する目です。魔力を流すと足場が生まれます。量産魔眼のたぐいです。百目組が皆用意しております。もちろん車もありますが……あれは突入用ですね。ボコボコに落とされるので」


ドンッ!!


「おいおい!! 姉ちゃんや!! うな朧車はおらんぜ!!」


 茶の間から庭に見える所から車が落ちてきた。普通に車である。そう、車である。違和感しかない車が落ちてきた。ガチガチの装甲を身に包んだ四角い車である。それが何台も何台も落ちて、その中に百目組が銃と刀を持って乗り込んで行く。


「そ、装甲車」


「ふふ、朧車も時代が変われば形も変わるのですよ。まぁ戦闘体ですね」


「おうさ、俺達は運ぶのが仕事だ。例え鉛雨の中だろうとな。王配も乗っていくか?」


 メメメが首を振る。違うらしい。


「私たちは帝へ直接会いに行くので精鋭部隊です。個々で行います」


「ははは、敵はもう外部を占領してる。がんばんな」


 車が喋る違和感。そんな違和感を口にすることもなく彼らは空に飛んでいく。


「………妖怪、付喪神系かな」


「王配。そうですわ。では、行きましょう。お館様行ってまいります」


 背後に気配はするが誰も居ない。奥で御経が唱えられており、膨大な魔力を感じつつ俺は俺でメメメを追いかける。トントンと空気を踏みしめる感覚は懐かしい。


「空走りのスジがいいですね。先ず帝を安定した安全を用意しないと攻撃できない。空宮の放棄もかんがえている」


「空宮?」


「魔国にも同じの何個もありでしょう。あれが城として用意したものを空宮、空城と言ってるの」


 同じのがあるわけか。ということは、空と陸で2つほどあるわけだ。宮が。で、片方が終わったわけだ。


「どれくらいかかる?」


「肌寒さはある?」


「いや?」


「2層から1層は距離が違う。2層は短いの。だから今は2層で移動して数十分。1層に戻って突入。以上」


「あのなぁ……メメメ。単独はマジで危ないんだからな」


「一人だけの軍隊理論。黒衛兵が二人。200人ほど。でも200人全滅」


「………メメメ、今まで殺した人の数は?」


「大妖怪。喰った人なんか知らないわ」


「頼もしいな」


 化け物め。いや、元々暗躍する化け物は居た。今のこのときを維持するため。「フェザー」と言う組織が誕生した。全ては「今」を維持するために。


「俺の知らない所で、俺を上司として下部組織がある。怖い話だ」


「怖い話は『この世界は一人の気まぐれで滅ぶ』事ですよ」


「まったくだ」


 まったくだ。






 移動後、空中では爆弾が使われているのか爆発ばかりで激戦区となっていた。いろんな方法で飛んでいるのだろう中で俺達は島の下部から侵入する。侵入口は先に占領していた修羅の兵士を殺し、殺した兵士が全員同じ顔になっているのに違和感を持ちながらも戦い続けた。


「なぁ、これら……クローンか?」


「王配、魔国より。歪んだ進化した過去の国の遺物見てるでしょ。天使もいた。同じ人を作るなんてやってきてるの。滅んでないんだよ。ここの国。あるに決まってるじゃん『情報』だけ。情報あってもそれを完成させる事はできない『筈』だったんだけどね」


「わかった。最悪な事を考えた」


「修羅のクローンはいる。だけど、修羅のクローンは……未完成。いや、完成できない。わかる?」


「魂が違うからだ」


「そのとおり。別人なんだよね。だから顔が似てる別人がコイツラ」


 メメメは遺体を蹴飛ばし、中の鉄板の通路を見る。どう見ても「魔国」とは違った世界である。


「なるほどな。スペースファンタジーと言う空想話が魔国にある。過去は不思議な物が多かった伝承もあるが。ここもか」


「王配、北の大地見てきたんでしょう。全く同じ物ですよ。だけど『科学』は『魔法』に負けて『吸収』された。それが今」


「……そうか。わかるのか道は?」


「任せてください」


 メメメが走り出して同じように俺は走り出す。魔法を唱えようとするが魔力が霧散し、世界に魔法が拒絶されている事がわかった。だからこそ能力主義なのだろう。出会う敵兵は皆が武芸者だった。


「占領されすぎじゃないか?」


「………配置を的確にされてます」


 敵兵の多さに違和感を感じて居たがそうなのだろう事がメメメの冷や汗でわかる。そして、止まった瞬間。メメメの目の前に一人の老婆が立ちはだかる。


「修羅!!」「なんでここに!!」


 問いかけはメメメの体を袈裟斬りにする刀でもたらされる。しかし、血は流れず黒い影が溢れ、その中から目が溢れ出る。そのまま修羅に近付きながら。


「起爆、目よ」


 声が響くと同時に爆発する。俺は吹き飛ばされ、そのまま通路を走り出した。背後で激しい爆発が何度も何度も行われ、俺を逃がす。だが、問題がある。地図がない。道がわからない。


「地図全然頭に入ってないぞ。魔法が使えないのはこうまでも面倒なのか……ん」


 耳元で「おとうさん」と声が聞こえた。その瞬間に火の粉が胸から離れ小さい鳥となり、道を進む。


「おまえ……帰ってなかったのか」


 娘の魂がここにある。だからこそ、危ない気もするが今はありがたい。


 迷路のような道を進み。そして、一画に到着した。そのまま隠し扉だろう壁のような扉がヨコに開かれ、中に見知った顔が一人と知らない男があわだたしく。命令を叫んでいた。何枚もの画面が並び、敵を映す。しかし、そも何枚もの画面は白黒のノイズが走っており、破壊工作も十分されていたのが見えた。


「帝、いま、」「そんなのいいから」


 挨拶を遮られ、俺は彼の隣に座る。戦況は良くないようだ。男を見ると頷き帝の代わりに挨拶をしてくれた。


「1層側のスガワラノ、スガワラミチザネです。ネロリリストキヤ殿。始めまして。帝の……摂政。魔国では宰相の位置ですね」


「敵はここまで来ていないんだな」


「残念ながら、一番到着がネロリリス様で、2番目が敵です。百目鬼メメメ様は時間稼ぎしておりますが………」


「俺が出よう。そのために来たんだ」


「……いえ、ここで籠もってください。私は残念ながら非戦闘員。最小の護衛が必須だったのです」


「わかった。出るときに言って……帝?」


 子供の帝が画面から目を離し、俺の隣をすぎて扉に相対する。そのまま大きく大きく息を吸い。吐き出したあと拳を構えた。


 そして、ドアを壊す。グチャグチャに壊す。そのまま俺にお辞儀をし、お願いをする。


「安全は確保した。あとは……援軍待ち。王配はここで死守お願いします」


「わかった。扉を破られたらだな」


 絶望的な状況。画面には多くの敵がここを目指すのが見えた。破壊工作はない。それはすなわち占領済みってことだろう。


「絶対絶命じゃないか」


「「はい」」


 俺は頭を抱える。どうしろと言うんだ。







 爆発に巻き込んだ。私はそう思っていた。だが、視界が広がる中で彼女は立っていた。修羅マントさえ破れずに。何か青い透明なシールドが発動している。


「あー過去の遺物で防御したのね」


「自動防御。特攻は多いので気を付けてるの」


 修羅が刀を振り向き、私の腕を飛ばす。遠い位置でも届く斬撃に成すすべがない私の腕は落ち、傷口から黒い霧が漏れ出す。


「爆発する目はあれで終わりではないでしょう。でも、効かない。弱いもの。それにアナタ分体ね」


 わかってしまうらしい。本体じゃない。本体は屋敷にいる。目を渡した分体である。


「ええ、分体。わかるのね」


「お腹を庇わない。臆病。大妖怪でも人の子。いいんじゃ、それで。じゃが、邪魔やから消すで、動き悪いで分体」


 口調の変異と一緒に銃口が見える。ショットガンが放たれ身体に穴を開ける。動きが悪いのではない。動きに追いつけないのだ。


 目はいい。だが、体が凡人なのだ。


「魔眼……開眼!!」「させへんで」


 マントが私の上に被さり、そのまま見えない中で目に刀を突き入れる。激痛はなく、ただただダメージをおった。そして、首を切られる感覚の後に切り離された手に宿った目を開ける。


「炎目」「偽物なんかで焼けないよ」


 見たところを燃やす魔眼。しかし、修羅は燃えなかった。いや、燃えるような素材ではなかった。服を着ていない。着ていないは語弊だ。服が変わっている。筋肉を着ているような姿である。


「マントで隠してたの……パワードスーツじゃん。どおりで老いてるのに強いんだ。違う、分体かぁ。サイボーグ? わかんないね」


「せやろ、ワテにも技術わからへんねんな。みーんな頑張ってくれよる」


 体が霧状になっていく。妖力が霧散し消えそうになる。目を出し渋らず。分体だけでも消したい。そう思い……握った右手を開く。そこには「本物の私の目」がある。


「なるほどや。出し押ししなかったんやなぁ。最悪な爆弾や」


「でしょう? この魔眼。私にも扱いきれへ……がああああああぁああああああああああああぎぃいいいい」


 切り落とされた首で絶叫する。目のうち側。眼球

、眼球の裏、眼球から通じる神経全部に「火で炙られる痛み」を問答無用で伝える。修羅も同じように苦しみながら笑みを溢す。


「ぐぐぃ」


「絶対痛覚。焼かれる幻。辛そうやな。ワイも辛いでぇ」


 同じ痛みを味わってるにも関わらず涼しげなのに修羅のヤバさを痛感する。だが動きが悪くなる。そこに首のない体が抱きつき私は笑みで囁いた。


「何日も一緒に寝ようね」


 大量に爆発する目を用意し、一斉に起爆させた。そして、私は気絶する。これで修羅が数時間でもダメージを受けることを期待して。








「一目大将。大方占領完了ですが。修羅の義体パワードスーツが負傷。吹っ飛びました。百目鬼メメメ様です」


「どれだけ金つきごんでんねんあの母上。爆発目って宝石やんか」


「帝に王配合流。扉を壊して呪印で封じられました」


「よっしゃー丸鋸で物理的に壊してやれ」


「一目4大将。百目組撤退。我々の勝利です」


「ようやった。あとは帝を引きずり出せば……」


「大将報告。高速で動く何かが落ちてきます!! 港甲板に落ちて来ます!!」


「援軍やな………わかった。行くでお前ら」


「「「は」」」


「援軍何がくるか、楽しみや」











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