天使の反乱③
空を飛ぶ、浮く島々に青い空。飛んでいて気持ちいい日に白い羽根とたっぷりの魔力を持った天使達が槍を持って迫る。槍先には既に魔法をためており、高出力の圧縮した貫通特化の魔法を撃てるだろう。
そんな相手に全員が物怖じせずに「どうにかならない」悩みは一瞬で解決した。用意されたのは精鋭である。
故に、全員空に絶対の自信がある。
「敵襲散開!!」
空中戦が始まる。たった数羽の俺達はもちろん天使に囲まれるが各々が自由に戦い。全く統制の取れない戦い方をする。
自分はその中で先手を取って敵陣に突っ込み突き抜けて天使を振り払い折り返す。遠目に見る先には自分を諦めた天使たちに1人、追いついてきた天使から攻撃を受けた。槍を構えた先から突きこまれる魔弾を慌てて喉に魔力をためて声とともに吐き出すブレスで防御した。
音の衝撃で防御を主とするソニックブレス。ワイバーンの僕がドラゴンの真似事で編み出したブレス攻撃に魔弾は弾け散り、僕は動きを止めずに動き出す。
速度を上げて飛ぶが……天使は驚くほど自分にくっついて背後を取り続ける。
速度に自信がある。誰よりも速いを自信持って言えていた。だが、世界は広い。
「英魔最速がこれだけなんて」
「ごめん、ドラゴンテイル」
後ろから魔力なのか頭の中で聞こえた声に謝る。魔力の逆噴射と急停止、一回転し、背後の天使を視認。天使の起動を読み、尻尾を伸ばして叩きつける。速度と逆噴射回転の威力は恐ろしく。尻尾に当たった天使は崩れて飛び散った。
天使は魔力の塊だったので消えて無くなる。肉片ではなくてよかった。
「距離を離してしまったなぁ」
攻撃方法を変える。止まってるように見える遠方の天使に近付き速度を乗せた尻尾を当てて砕き、仕留めた感触を得る。コアのような物があるようでそれが壊れると体が維持できなくなるようで心臓のような物があるようだ。
砕いたコアを龍姉は回収し、目を丸めていた。
「これ、ドラゴンオーブ……神から供給されず生き残った理由がわかったわ。情報を伝達」
天使の不死の理由を聞いた精鋭は動きが早かった。蝶の亜神は殴り砕き、悪魔の亜人は赤い鎖で拘束し、腕を突き刺し砕き。デボン隊長は豪快な槍で突込み。天使の冒険者は刃こぼれした大きい大きい大剣で切ると言うより叩き潰す。
空中では打撃が弱いのに打撃系でダメージを与える亜人の多いこと多いこと。決定打を決めるのも素晴らしい。
気づけば天使は撤退をし、全員負傷せずに生きながらえた。
「ふむ、糞どもには手緩い相手だったな。撤収、次が来るまで各自休め」
デボンの号令でちりちりになる。僕たちも降下場所に降りて、仮宿に入る。緊急で用意された部屋は簡素であるが即時出れるように窓は扉になっていた。初戦は素晴らしい成果だ。
「竜姉、これが続くのかな」
竜姉は忙しそうに目を瞑って情報をまとめていた。
「ドラゴンオーブ。製造できる施設ありそうね。大元叩かないとジリ貧になる。というわけで……旦那に相談」
「何を?」
「あなた一人だけでここ守りなさい。デボン隊長と敵拠点を捜索する」
竜姉は僕を男として大人として見てくれるようになったが。
全く甘さがなくなり、信用し、信頼し。
無理難題を押し付けるようになったのだった。




