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マクシミリアン領内~報告


 マクシミリアンの首都マクシミリアンの復旧は実は行われていない。逆に保存された地区として管理される事となり、廃墟は廃墟のまま。近くに都市が出来上がっていた。ちらほら雪が積もっており、寒気が押し寄せているのがわかる。


 首都に城は作らず、大きい広場を作り、中央から伸びる4本の本道は一本は帝国へ、一本は英国へ、一本は港町へ、一本は農地へと続いており。そこから自由に道が繋がっていく。舗装方法はレンガから石まで様々であり、突貫工事のような道となっている。


 ただ広場は非常に綺麗に仕上げてあり、広場には多くの店が自由を謳歌していた。城らしき砦は郊外に作られており、騎士団や女王などはそこを拠点にしていると聞く。なお、砦からまた城下町が出来ており……移民などもあってか町が広がりを見せる建築途中の建物が見える。


「発展具合がすごいですね。何も生む物はなかったでしょう?」


「平地はあった。元々、膨大な平地はある。首都近辺は農地にするには毒があって無理だけど……住むだけなら大丈夫。それに……無駄に廃墟の中には資産がある」


 保護している理由はもちろん、過去の遺物たちだ。それはマクシミリアン王国に膨大な資金を生み出し、英魔国民を雇い入れて生活させている。マクシミリアンの貨幣は特徴的な合金板硬貨である。箱に納めるには優秀でそれがここでは取引されている。


 そんなマクシミリアン王国の辺境に私たちは船の錨をおろした。地面に食い込む数本の錨を手繰り、無理やり高度を下げて地面に着陸する。そのまま船の後ろから大きく開き、橋を下ろして坂を作った。荷物運びは運び用の馬車を手配するとのこと。


「つきましたね。マクシミリアン女王」


「ええ、ようこそネフィア女王」


 護衛を断り、帯剣して私たちは郊外から徒歩で砦へ向かう。途中、私たちに気付く者もいれば気付かない者もおり。声もかけられずに移動することが出来る。襲撃のない事で治安の良さを見せつけた。


「発展途上のわりに……治安いいですね?」


「極刑あるからよ。死というね。騎士団には斬殺権が付与されてるの」


「ええ……こわ」


「そこまでしないと。治まらないの」


 罰は重いらしい。治安がいいと言うより事ではないらしい。


「建物も見たでしょ? 低い建物ばっかりだからね」


「そういえばそうですね?」


「平地があるから上に伸びないの」


「そっか!! そうですね!! イヴァリースは都市が狭くなってるからどんどん上に伸びてます!!」


「そう、まぁ~あとは上に伸びるよる安いからかしらね」


 エルミア女王はそう言い、周りを見渡す。そして、空に姿勢を上げた。


「あなたの空島での給水と汚物処理ってどうしてるの?」


「空島ではアーティファクトが水を生んでます。汚物処理は汲み取りで……確か天使等々が大きい桶で運んでいた気がします。それ用の船を制作していた気がします」


「そう、じゃぁ……イヴァリースでは?」


「ああ、あれは遠い昔に作られた暗渠がありまして。給水は露出。汚水は暗渠で下流側に流れて処理施設に入っていく筈です。全部、驚いたんですけど……昔からあるそうですね」


「なるほどね。実はそういうの問題になってて……水と排水などどうするか困ってるのよ」


「ああ、それ……聞けばよかったじゃないですか」


「今、思い出したの」


 私は「よくあるある」と言って、腕を組んで悩む。


「道路に暗渠つくるしかないよね。頑張ってね女王」


「一からつくり直しね……」


 やっていけばあれがない。これがないはよくあること。住むためには色々な物が必要であり大変な工事は多い。


「ネフィア。そういえばあなた寒くないの?」


「厚着してるので大丈夫です。マクシミリアン王国は冬なんですね」


「ええ、どうも妖精がいっぱい来てるようでね。次はあなたの国へ向かうそうよ」


「気まぐれな冬ですね」


 妖精には複数いる。定住型、回遊型、巡回型である。定住型はエルフ族長のニンフ妖精姫のようにその場所で生活し、社会性を身に付けた種。回遊は個人または集団で色んな場所を転々とし、悪戯など悪さをする種。巡回型は冬の妖精のように四季が具現化したような種で大陸を決まった期間で移動する種である。


 ただ、妖精は種類も多く。区分も多いためもっと細かい妖精図鑑なるものもある。英国と深い関わりはあるのは定住型である。


「今年はおとなしい冬ですね」


「地元妖精と喧嘩したそうよ」


「あらぁ……」


 妖精には妖精のルールや決まりがあり、実際に仲は良くない場合もある。特に定住型と他では犬猿の仲とも言われてる。


 そうこう、見て回りながら進み砦へ到着する。門番は石像のゴーレムらしく。門に擬態しており、門の柱に石の目があった。


「こわ、きも」


「大丈夫よ、紋章を見せれば通れるから」


「がばがばですね」


「そうでもないわよ。あなたが通れるのは私が近くにいるからね。入れるルールはある」


「忍び込めそうですが?」


「忍び込んでどうするかはぼこぼこにするだけよ。訓練になるしね。『疑え』て言ってるわ」


 ここのマクシミリアン騎士団は緊張感もって仕事しているようだ。確かに私は昔を知っているけど、前よりも騎士団は厳しくなっている様子だった。しかし、だからと言って今の状況は違うことな気がする。至るところから視線を感じては目を細めると砦の窓にびっしりと騎士が顔を覗かせていた。


「滅茶苦茶に見られてる」


「ネフィアちゃん、美人だからねぇ~みーんな一目見ようと集まってるわ。あなたも告白された騎士がいるんじゃない?」


「えっと……あの時は……その……黒歴史と言いますか……まだそんな気持ちでもなくてですね……忘れてます」


 今でこそ諦めて貰えているだろうけど。「非常に申し訳ない事をした」と思う。好意を「キモチ悪い」と一蹴した過去の自分を思い出しながら成長を感じた。


「場所は違えど……マクシミリアン騎士団は好色ばかりですね」


「そうね……人狼を飼い慣らすほどにね。帝国に帰ったけど。どうしてるでしょうね?」


「その子が待ってるわけではないのですね。明日でも出発しますか?」


「……あなた、大丈夫なの?」


「ここまで引っ張って来て……今更です。まぁ、運動しないとダメなようで……それに陣痛もないですし、予定はだいぶ遅くなってます」


「わかった。竜車で……いえ、竜を呼びましょう。お金はかかりますが、馬車よりかはいいでしょう」


「はい」


 彼女はそう言いながら騎士にお願いをして、手配して貰う。そのまま砦の屋敷へと入り、帝国文化が色濃く残る部屋の模様と一人の美麗な騎士が待っていた。


「おかえりなさいませ、女王陛下。そして、ようこそ女王陛下」


「どちら様でしょうか?」


「マクシミリアン騎士団長、アニマ・マクシミリアンです。お見知りおきを」


 美麗な金髪の美女のような男性に目を奪われた。服装は至って代わり映えのしない騎士服なのだが、それが逆に彼を彩らせている。そう、気品を感じさせる。


「騎士団長変わったんですね」


「ええ、もう第一皇子なので……立場がね」


「若輩ながらも、頑張らせて貰っております」


 凄く物語の王子のような騎士団長である。私も挨拶する。そして彼はおもむろに紙を手渡す。


「現状の報告書になります……状況は最悪です」


 私はその言葉に報告書を見て、唸ってしまう。そこの文字には「反乱、革命、内乱」などの文字が並び。すでに事態が動いている事を示唆していた。紙の最後に「証拠隠滅してください」と書かれており、私は燃やして消し去る。


「悠長に旅行なんて無理ですね」


「はい、そして……マクシミリアン内の中に『反帝国タカ派』などがおり、情報収集を行っています。マクシミリアンの名前を使い暴動など行われたら困ります」


「解決の見込みは?」


「……騎士団は動けません」


 大きいため息を吐き。私は覚悟をする。血生臭い、犠牲なくして治まらないことを。













 

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