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陽なる黒衛兵


 私は実は自分の意思とは違い、導かれている気がする事が多くなっていた。救いの手を差しのべる声で多くの縁を掴み、私は悩む。「衛兵に与するか」と。


 ダークエルフ族長の後ろ盾とエルフ族長の後ろ盾を使える状況を考える。立場と言うのも考える。そして、私はお義父様に相談した。


「好きにするといい。君はルールがあるが自由だし……既に君は『誰かの影響を持っている』」


「影響ですか?」


「そうだな。それはまだ秘密にしておきたい。切り札になる話だ」


「わかりました。失礼します」


「ああ」


 私はお義父様にお辞儀をし部屋を出る。すると姉妹が待っており、盗み聞きをしていた。


「サンは衛兵になるのか?」


「……なると思います。思い付いたんです」


「何を?」


「『実戦経験』になるでしょうか。やる事が決まってます」


「え、何々? 何をやるの?」


「私、一人でやりますので……秘密です」


「一枚噛ませろよ~」


「絶対にダメです。何故なら『汚点』になるからです。私は犯罪者になります」


 その言葉に姉妹は口をつむぎ、次には怒り出した。そして、落ち着いた頃に私は説明する。私が思い付いた事を。




 ダークエルフ族長に私は一人、面会する。衛兵の待合所と言うには大きい砦のような施設にお呼ばれした。


「衛兵の件をお受け致します」


「わかった。書類は既に仕上がってる。サインするだけでいい」


「では、サイン『後』に衛兵なんですね」


「そうだが……何かあるのかな?」


「はい」


 私は私のお願いを族長にする。族長は驚いた顔と共に渋い顔をし……そして、目を閉じる。


「それが……衛兵なるための希望なら……仕方ない。『目を瞑ろう』。しかし、それは君に……」


「わかってます。しかし、助けを求める方々を救ってこそ衛兵でしょう。たった一人で監視だけさせてるのは職務怠慢に思えます」


「痛いところつつくね。しかし、衛兵にそんな権限はない」


「エルフ族長の領地にも権限ないですね」


「ああ、ない。現魔王さえない。だから暴動を起こした者が『逃亡して逃げ込んだら』捕まえようがない」


「逃げ込んだ後に都市に入っても捕まえないのは何故ですか?」


「調査、収用施設がない。そして、現行犯じゃないと俺達には無理だ」


「……心中お察しします」


「ああ、それも。終わりが近いのだろうけどな」


 ダークエルフ族長は『縛られている』のだ。多くの事に。だからこそ……大変なのだ。


「では、私は動きます。失礼しました」


「サインを後で持ってきてくれよ」


「はい」


 私はダークエルフ族長と取引した。そして、その足で路地裏に向かい。衛兵のスイカにお願いをする。裏路地にたむろしている人を『集める』事を。







 衛兵所で私は上司になる人に話をした。結果、彼も何かを思っていたのかすんなりと協力してくれたのだ。


「現状、確かに『衛兵の監視、鎮圧能力』は皆無だけど。『奴隷商』襲撃をよく思い立ったね」


「思い立ったと訳ではなく。既に計画があったんです。それを前倒しします」


「……他でもやる気か?」


「都市インバスで……身内なので計画をお話しましょうか?」


「なるほど、いや聞かない。巻き込まれるだろうから」


「そうですね。聞いた瞬間に『手伝ってもらいます』」


「お断りだ。じゃぁ、そのまま計画通りで」


「はい。私に……演じられるでしょうか?」


「……演じられる。俺は君に『期待』していた。あの路地裏のカビ臭い空気を変える空気を」


「わかりました。でも私も期待してますよ、『教官』」


 私は右目に触れる。宝石の目は熱を帯びていた。そして、魂が「成すべき火」が灯るのがわかる。ある人の望む姿に「成り変わろう」としていたのだった。





 次の日、路地裏の唯一開けた場所に私は立ち。満面も笑みで暗い顔の青年たちに話をする。誰一人私をか弱い少女と思わず距離を取っていた。私は伝える。「雇い主」が居ること、衣食住は用意される事。そして、「ここでの生活は終わった」事を。終わった事に理解を示さない彼らに私は詳しく話をする。


「今、ちょうど『奴隷商人』のお店が襲撃されました。犯人は正直に言いますと……あなたたちに被せられます。衛兵はこれを重く見ております。故に『逃げてください』。この都市から」


 私は最悪な事を告げるのだった。








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