表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
686/732

私たちは姉妹⑧


 姉妹たちと合流後、私たちはお義父様が会食を行うといい。酒場にある一室を貸し切りにして人を待っていた。貸し切りされた部屋の隣で私たちは控える。私たちも飲食を頼み、様子を伺う中で話し声が聞こえる。


「お集まりいただきありがとうございます。密会なので、こんなお店でお迎えですが。腕は確かですのでよろしくお願いします。そして、親衛を隣部屋に控えさせています。密会らしく悪い話をしましょう。一応、何か声があったら出れるように話は聞いてます」


 お義父様が挨拶をし、複数の人数と密談を始めた。私たちは静かにそれを聞く。一言も喋らずに。


「では、初対面……ですかな? エルフ族長グレデンデです」


「ダークエルフ族長、バルバトス」


「私は吸血鬼族長セレファと護衛の妻。インフェです」


「ふふ、悪魔族長エリック。隣で聞いてる親衛は女の子4人かな。それも……なかなか可愛いと聞く。みていみたいなぁ」


 背筋が伸びる。4人と言い当てた事を。


「残念だが。娘たちでね。エリック君。君にはあげられない」


「それは残念です。仮面はここに置いときます。ええ、要りませんから」


 ねっとりした言い方の男にお義父様の警戒が上がっていた。雰囲気が非常に重い。


「ヨウコ嬢に告げ口しようか?」


「おおっと、それは困った。彼女は非常に嫉妬心が強い。大丈夫、冗談だ」


「会いたいと言うなら。俺も会いたい、グレデンデ。特にサンライトに。衛兵の報告書で確認したい事がある」


「わかった、バルバトス。密談が終わったらな」


 私は呼ばれ、姉妹の視線が刺さる。「何をしたんだ」と言う目が私は責める。私はもちろん首を振り答えた。


「短く答えます。結局、一人が死にました。オーク族の青年です」


「「「!?」」」


 姉妹が緊張する。私はそれに笑顔を向けたが逆に怖がらせてしまった。しかし、それもお義父様の言葉で消える。


「では、密談として『女王陛下推薦』は満場一致でいいかな。来てくれたんだから」


 お義父様の言葉に賛成の言葉が届けられる。そして、族長の置かれている状況の説明をする。そのまま、密談は進み。非常に濃厚な話し合いが出来ていた。そして、その中で驚くような事を話をする。


「実際、女王陛下は必ずここへやってくる。その前に体制を整えとかなければならない。噂の流布もだな。それも含め。『人手』が足りない。だから、都市インバスを襲撃しようと考えている。セレファ族長、それに対して意見は?」


「都市インバスは群雄割拠だ悪魔族、人狼等々で組ごとで争っている。優勢なのは確かだが……襲撃をすると言うのは何処に対してだろう?」


「人身売買の商業店、保管だな」


「吸血鬼人狼悪魔族がメインで管理している所ですね」


「セレファ族長に関係は?」


「ないです。私たちはそれに対して『反対派』の勢力です。都市インバスはもう。血と肉の都市ではなくなるでしょうから」


「わかりました。なお、襲撃の実行犯は隣の精鋭4人とします。解放し、回収は全て我々の部隊が行います」


 私はその言葉で姉妹と顔を見合わせる。皆は知らない事を目で伝え、話を深く聞いた。内容は『婬魔族』を奪う内容であり、私の頭に「裏路地の人身売買」の店が思い浮んで微笑む。お義父様が「あれをやめさせる」事を決めている事に嬉しさが込み上げる。


 するとダークエルフ族長が話し出す。


「エルフ族長が勝手に奴隷解放するのはいいが。それを養う必要が生まれるんだぞ?」


「そうですね。だけど、人手不足は感じる所です。そこは実は既に手を打ってあります。『先行投資』としてね」


「もしや、拡張してる都市の郊外は……」


「そうです。あそこに用意してます。絶対に必要になる。そういう施設になります」


「わかった」


 ダークエルフ族長は納得したのか質問をせずに話を聞き、他の族長も一つ二つと質問した後。賛成を表明した。そのまま時間がすぎ。合言葉なのだろう「陽の導きがあらんことを」でお開きになる。その瞬間に私たちは部屋に呼ばれて「挨拶」をする。


 舐めるように見られる中でダークエルフ族長が私と個人的に話がしたいと言い。個室に私は案内した。


「サンライトです。初めまして、ダークエルフ族長」


「バルバトスだ、よろしく。報告書に記載されていた。そして、衛兵に推薦が来ている。『スカウトしたい』と言うことだな」


「え?」


「ははは。無表情かと思ったが、えらい驚いた表情をする。まぁ理由を話そう。君を雇い、エルフ族長のスパイとしてお願いしたい」


「その、私はお義父様の『娘』です。お義父様を裏切るような事は出来ません」


「スパイと言う言い方が悪かった。『情報を欲しい』と言えばいいのかな? 比較的、エルフ族長側の情報」


「人質にお義父様のおば様がいらっしゃいます」


「あれは……俺側に寄りすぎてな。人質と言うよりも仲間で……兄妹仲が険悪になった。人質としては……役割はないよ」


「そうでしたか。でしたら私以外の姉妹にも話を通せばよろしいのでは?」


「エルフ族長グレデンデには伝えている。『君をスカウトする』と。報告書には戦績も書かれている。盗賊ギルドのリーダー格を仕留めたようだ。自己防衛としての戦績だ」


「あれは……私の不注意です」


「報告書に『助けて』と言う声が聞こえたそうだね。それの謎は解けたかい?」


「いいえ、空耳と思います」


 違う。絶対に聞こえた。私は絶対に聞こえた。今もあの声を私は覚えている。そう、私に伝えた声だった。


「空耳か、あの通りは……本当に助けを求めてる人が多い場所なんだ。残留思念のような物かもしれない。まぁ、考えておいて欲しい。報酬は弾む予定だ」


「わかりました……失礼しますが、本当に初対面ですよね?」


「初対面ではない。昔に一度何処かで一緒に仕事をした気がする。だから、衛兵に誘った。それが本当の理由だよ。ありがとう、お時間を」


 ダークエルフ族長は何処か叔父さんのような暖かさで私に接する。そして、私はどうやら。深い縁があるような気がしてその日は話を保留にし、胸騒ぎを残したまま宿屋で休むのだった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ