フォートレス・ライブラリー②
私は今、重要な任務についている。黒衛兵の案件として自我を持った本が他人を吸い込んでいると言う事件だ。その調査、解決のために。そして、取り込まれた妹を起こすために女王陛下のお力を借りた。
本来は王である女王が手を下さずとも解決するのが我々、黒衛兵の使命だが。私にも「解決が難しい」と言う案件であり、世界を飲み込む恐れのあるために「族長半数の認可」の上で協力していただいた。そんな恐ろしい話なのに神話に片足を突っ込んでいるネフィア・ネロリリス様は椅子でくつろぎながら、敵の術中の中で語りだす。
「サンライトちゃん。本の目的か何かを先ず話しましょう。私が感じた事は『広める』事に重点を置いている。そして、それは色んな方法で行われる。『報酬』としてや、このカードは召喚術の方法などで。この小屋は誰かの建築術。全て私たちに教えている状況が今なの」
「ネフィア様、わかります。しかし、くつろぐ理由は?」
「危害を加えないから。『読者』を減らすこと。これは利にかなってない。まぁ、それも終わりでしょうけど」
「何をされるのですか?」
「この本の世界は私たちに不利を出す。世界やルールが決められ、管理者の意向が反映される。あまりの不利があり、きっと『従わざるえない』状況を生む。その不利を消し、有利な立場から堕ち。私たちの目の前に出ないといけない状況を作るの」
空間に緊張が走る。敵意の現れと恐れが内包した雰囲気に私は身構えた。
「………サンライト。私の切り札はこれ」
ネフィア様が一本のナイフを取り出し、笑顔で手に傷をつける。その行為に驚くが、その結果。次にネフィア様の緑の聖剣が登場する。そのままナイフを私に渡し、ネフィア様は白い翼を生やして不敵な笑みを浮かべる。
「なんでもいいって言うデメリットは本当になんでもいいんです。サンライト、それで傷をつけて」
「はい」
私はナイフを脇に刺し、痛みとともに何かが壊れる雰囲気を感じた。それと同時に傷口はすぐにふさがり、確かな体が元に戻ったような気配がした。
「いったい何が?」
「私たちは本に入るために制約を課されていた。それを『壊した』。トキヤが持ってる、実は恐ろしい彼が得意とする武器のナイフだけど。これ、女神が作りし武器。ルールブレイカーと言うの。『ルール』と言うのが決まってるからこそ、余計に相性がいいわけね」
ネフィア様はナイフをクルッと回して納める。初耳の武器に私は敵前で聞いてしまう。
「その武器は……初耳です」
「そうでしょうね。女神の捨てた魂が住む、桜が咲き誇る本の中にあったらしいです。そして、それは……女神の喉元まで届いた恐ろしい物です。知っている人は少ないでしょうね。トキヤが隠蔽体質だから。『隠し刃』として使ってるんだと思います」
王配を思い出す。確かに、王配は「暗殺者」であった事は周知の事実。故に隠し暗器など持ってても不思議ではない。しかし、そんな事よりも。その物があることを知って利用する女王陛下の対応力やその武器を含んだ縁に女王陛下足り得る物を見る。
「では、これからどうするのですか?」
ソファーにネフィア様は火を放つ。
「簡単です。暴れまわればい。このソファーは本の知識です。題名『赤いソファー』。そして……」
炎は瞬く間にソファーを焼き付くし、そして悪い悪い笑みをネフィア様は浮かべる。
「これで、この知識、記録は抹消されました。次は……何を『消しましょう』か?」
「この小屋ごと、どうでしょうか?」
「いいわね」
私は小屋から出た。小屋の外は本棚が床、壁、天井を作った異形な世界であり、その中で小屋が大爆発で消し飛ぶ。その火の粉は本棚に当たる前に障壁に防がれて消され、慌てている雰囲気を醸し出す。
「反応あったわね。あなたマシュマロ好き?」
「ネフィア様、私は焼き芋が好きです。甘い甘い、ダークエルフ族長の実家にある紫芋が好きです」
「じゃぁ、用意して焼こうかしら」
「いいですね。そうしましょう」
私も手に炎球を作り本棚に向けて投げる。ネフィア様は羽根を出して羽ばたき、羽ばたいて外れた羽根が本棚に触れて燃える。防ぐ事さえ出来ないのか、障壁ごと焼いており、そして……大きな大きな声が響く。
「許さないぞ!! 私のゲームを壊し、そして消そうとするその行為!!」
怒号、本棚が砕けて世界が広がる。その世界は鎧と剣が捨てられた戦場であり。その戦場は私は一度見ている。具体的には私はその戦場の監視員でもあった。そう、目の前にいる一人の女王陛下をみていたのだ。目の前と隣に女王陛下。どうなるかも想像できる。
「同じ人は世界に居ない。しかし、本の中や夢の中には存在できる。決闘石はいい物ですね。さぁ、降参し……もう一度ゲームを」
「私へ……自害しろ。しないと私はこのナイフをお腹に刺す」
「ネフィア様!? それは!! やめてください!!」
私はネフィア様がナイフを出してお腹に当てているのを驚きながら制止を促す。そしてグッと力をネフィア様が入れようとした瞬間に目の前の偽物だろうネフィア様が自身の心臓に剣を突き立てた。そして、笑みを向けて消える。
「え?」
「サンライトちゃん。模倣しすぎるとああいう行動を取る。ちょっと、顔を出さないみたいだから……」
「はい?」
背筋が冷える。感覚的に私は防御魔法をかける。
「全力で……やる」
私は羽根が舞い散る中で息を飲み、自身が助かるために機械仕掛けの翼を広げて防御した。魔法と含め、耐え得ると信じて耳を塞ぐ。その瞬間に本の世界に多重の爆発と爆炎が起き、視界を炎が占めるのだった。




