フォートレス・ライブラリー①
本の世界。本棚と高くつまれた本だけの世界に私は降り立った。最初に私たちは目につく本を調べる。私の一冊目は小説だった。恋愛物の小説であり悪役の娘がタイムスリップして改心し、幸せを掴もうと努力する本だ。そして他の一冊を拾うと得体のしれない物の実験本であり、研究資料なども残っていた。やってる事は大量破壊兵器の実験記録だ。
「恋愛小説と実験記録ですね。私の全くしらない情報です」
「女王陛下……私は解剖書でした。それも……英魔族ではなさそうな感じです」
「あ、これは料理本ですね……え、ショゴスの目玉を……シャゴスとは?」
「スライムのような英魔族ですね……」
「ほえ……食べられるんだ。題名はなにかな?」
「英魔族料理本です……」
「禁書ですねぇ」
中身は普通の見た目の料理だが、想像出来るのは殺されてしまう事だ。
「こんなのが一杯あるんですか?」
「わからない。ただ………無作為に本があるのは確か。そして………驚く本があった」
「何ですか?」
「世界史………」
私は青い本を拾い、そして話す。
「これは過去、それも遠い遠い時代の本です。旧人類が使っていた学園の教科書です。しかも、内容は全くボヤけずに夢でありながら鮮明です。こんなのもある……ここは非常に危険だと思える」
「禁書ですね」
「もう、禁止されないのが不思議な本です」
私が拾った本は何個も同じのが転がっており、私はもう1つ拾う。そして、驚くのは……内容が違っているのがあった。眉を歪ませるが。もう考えない事にする。一人で背負うには重い情報である。こんな本を読破する者は生きている限り、無理であり。そして、非常に目に悪い。
「調査はその辺にして……あの扉を入りましょう」
「はい。わかりました」
本の壁に鉄の物々しい大きい本が扉として組まれている。触れると「ようこそ」と声が響き、臨戦態勢として身構えた。しかし、私は剣を出せずに冷や汗をかく。私の違和感に気が付いたサンライトは私を護るように前に出た。
「女王陛下以上の能力なんですね」
「ごめんなさい。思った以上に無力です。剣を出せない。また、魔力も練れない」
「いえ、私は大丈夫です。どうやら、私の義手義足は許されてるようですね」
身構えたまま、扉の様子を見ていると文字が浮かぶ。それを私は読み上げる。
「ルールがある。『1つだけ武器を持って入る事が出来る』。想像して入るがよい。得物を……だそうです」
「わかりました。私は決めました入りましょう」
「え、え、え? すんなり? こう、疑わないの?」
「強力な魔法には制約も何かあります。これはルールが厳格化されているために女王陛下含めて私たちは突破出来なかったんだと思います。ルールに則ればきっと打開策も生まれるでしょう。強いデメリットがある筈なので」
「……それもそうか。では入りましょう」
私は悩みながら切り札を思い付き、そして………手に入れて扉に入る。扉の中は驚くほど白く。そして、寒さを感じさせた。所どころに本が転がり、白い物が被っている。それは雪であり、手にとっても溶けない。そんな私たちに聞こえるように声が響く。
「そこは雪原だった。一面が白く、息を吐くと耳元でパチパチとする。生きている者はおらず。ただただ冒険者を拒む自然だけが続いている。進むしかない」
まるでナレーションのような声で私たちを「進め」と命令する。二人で頷き、溶けない雪を進み。そして、出会う。魔物に。
「冒険者は飢えた狼の群れに出会う。冒険者には2択がある。逃げるか戦うか」
私は臨戦態勢を取る。サンライトも同じようにし、そして先に群れに突っ込む。隠し刃が狼を切り、そのケガは血が出ずに本のページ端が舞う。私はそれに本であることをしり、火を放って狼たちに当てるとたちまちに燃え上がった。
「冒険者は気が付いた。召喚された魔物であると……リスクを越えた冒険者に『狼』のカードを贈呈しよう」
私とサンライトの手に「狼」の絵柄がついたカードを受けとる。すると、声は囁く。
「カードは多くの効果がある。集めることで君に多くの幸をもたらせるだろう。冒険者は進む。あてもなく」
私は眉を歪ませる。まるで何処かへ導くような声に嫌悪感を抱きながら。
*
ヒュン!!
白い大地の中心で風切り音が聞こえ、私の腕に矢が刺さる。激痛と共に慌てて伏せて矢を折って抜き、魔法で回復する。
「ネフィア様お怪我は?」
「大丈夫。軽症……でも、こんな矢が刺さるなんて驚き」
「……弱体化してます」
「そうですね」
伏せて耳を済ませる。そこに声が響いた。
「冒険者は追っ手に遭遇。それはもう凄腕の弓使い。冒険者は考える。切り抜け方を」
状況の説明と共に頭に知識が入る。「狼」カードを使い囮として切り抜ける方法を教えてもらう。もちろんそれに私は違和感を覚える。
「サンライト……これはもしや……ゲームでは?」
「ネフィア様。ゲームとは? 遊戯ですか?」
「決闘石が流行ってる。あれも戦う遊戯です。そして、今の状況は冒険者する遊戯に思えます」
「……」
「遊戯にはルールが決められる。だからこそ、カードや切り札として1つだけ持ち出す事が出来た」
「では、私たちは相手の術中にはまったと言うことですか?」
「そう、しかし。遊戯には予想外がつきものよ。私が囮になる。矢を避ける間に、射手を倒して」
「ネフィア様。その任務は私が行います。ネフィア様は魔法で支援を行う方が利にかなってます」
「わかった。そうしよう……」
私は右手に炎を生み出し、サンライトが勢いよく立ち上がる。その瞬間に矢が飛んでくるがサンライトは全く恐れずに避け、私は射手を見つける。
「そこ!!」
立って、そのまま炎の球を投げつけた。射手は弓をしまって回避行動を行う。だが、炎の球が弾け小さな小さな火球になる。
「ブドウ弾」
ブドウの実のような球が面のように広がり人間の射手にあたる。着脱した場所から炎が生まれ動きを阻害し、チャンスが生まれる。その、隙をつくように炎の球が一斉に向きを変えて射手に集まり一瞬で炭化させる。そのまま射手を倒せた事を私はカードを手にして理解し、頭の声が驚きを示す。
「カードを使わず倒す。まぁいいでしょう。無事に冒険者は射手を倒した」
「何者かしらないけど……全て自由に出来ると思わない事ね」
私はカードをいつの間にか手にしている。それをカードホルダーに納めて前を進んだ。鬱陶しい声に従うまま。そして、小さな小屋を見つける。小屋は丸太を重ねたハウスで、窓などからは暖かい光が差す。なお、私たちは血の臭いに顔を歪めた。ナレーションが静かに語り、吹雪が激しくなる。
「目の前に小屋が現れた。今日は非常に吹雪いている。今夜はここで……」
「家、燃やしましょう」
「はい、女王陛下」
「ふぁ!?」
私は手際よく、家のすみで火を着けて離れる。そのまま家主らしき、血まみれの肉切り包丁を持った家主が現れた瞬間にサンライトが隠しナイフで喉元を後ろから切り、私は炎を再回収して鎮火させる。
一瞬の出来事にナレーションをしていた忌々しい声がなく。声の出ない絶句な状態だと認識した。そのまま二人で家に入り、物資を見ながら手かがりを探し。隠し通路を暖炉裏に見つけるが無視をした。サンライトの妹に繋がる先に入った痕跡はない。
「小屋を襲撃し、カルマ値がマイナスされました」
「そう、正しいことばかりしていては生き残れない。それにしても、こんなことばかりしてて……報酬とかあるんですか? 報酬ないなら帰ります」
「報酬は用意してます。それも、お喜び出来るような情報という報酬を」
「『情報』ね。それは『魔法』もかしら?」
「私が知り得る物の一部です。また、多くの術をお教えできます」
「本らしいく用意できる宝物ね。よし、そろそろいいわ」
「ネフィア様? どうされましたか?」
「サンライト……敵に情報は筒抜け。だから説明してあげる。状況も理解した」
私はサンライトに説明するためにソファーに座て、談笑を始めるように彼女に座るように促したのだった。




