安心の体
王宮の自室で私は頭を抱える。ぞれは今の状況が嬉しくないのだ。昔は子が出来たら、嬉しく嬉しくて仕方なかった。今は……一度の経験が体に重くのしかかる。だからだろう。人知れず泣き出す。
何の理由もなく泣き出す。何も悲しくないのに泣き出す。嗚咽とともに泣き出す。そんな中でトキヤは甲斐甲斐しく世話をしてくれる。いい人。だからこそ……今度は失敗できないと思う。
そんな重い気持ちで、始めての医者の巡回。鳥族の巡回の名医らしい彼と、その友人であるオーガの下半身の蛇の男は白衣を着て色々と話をして私に伝える。トキヤもそれを不安そうに眺めていた。私は問いかける。
「子供は……元気ですか?」
「はい、無事です。しかし……」
答えてくれたのは鳥人の医者。
「なにか?」
「女王陛下……王配からの話を聞き、二人で悩んだ末。お伝えします。女王陛下は今は軽い不安障害、強迫性障害を抱えています。元々、お辛い過去を存じ上げており。お伝えするのも苦心しましたが。精神性の症状です」
私は驚き、二人を見つめる。
「体の魔力、成分など調整する力が乱れ。そして、不安や色んな事で発症する症状です。特に親族の協力を得にくい方々がなる症状で……そのまま産後にまで影響を与える場合があります」
「そ、そうなんですね……」
「ご安心ください。王配にもお伝えしました。それと魔力のバランス調整薬剤も処方しておきます」
「……薬は……子供に」
「子供に影響がある薬剤は疫病神法で禁止されてます。それに……女王陛下。そのままでは……そのお子さんも……」
「……」
私は頷き。はじめての問診は終わったのだった。
*
「王配殿」
俺は二人を見送るため部屋を出た。そして、二人の医者から告げられる。
「確実に不安障害、強迫性障害が強く出て。否定的なイメージを連想して悪循環に陥ってます」
「あまりにも強い症状だったので薬を処方しました。まさかとは思って用意していたのが……生きるとは」
ナーガ族の医者が腕を組んで唸る。俺はその病気に関して聞いてみる。
「結構、珍しいのか?」
それに答えたのは鳥族の亜人だ。
「いいえ、5人に一人は軽い症状はあると最近になってわかったんです。女王陛下のは非常に重いですね」
「……そうか。まぁ……心当たりしかないな」
初産後のショックや、その事が全てを否定的な感情にさせるのだろう。あの糞女神。よくもやってくれたな。
「呪いのように……トラウマになってるんでしょう。何か気を紛らわせるものがあれば……」
「どうだろうな……まぁ色々考えるよ」
俺は二人の助言を聞き、症状に関して理解を深めるのだった。
*
私は静かに椅子に座りただ何も考えずにお腹を擦る。
「ネフィア」
「トキヤ……おかえり。お迎えお疲れ様」
「ああ、ネフィア。まぁ、あれだ。お前なら何とか……いや。よそう……お前はふせぎこむ。子供の事になったらな。不安あるのも仕方ない。ゆっくり付き合って行こう」
「ありがとう……はぁ……情けない」
「その感情をやめな。立派だぞ」
「……うん」
「うーん。そうだ……試合見よう」
「試合?」
「衛兵、軍同士が戦ってるんだ」
トキヤは魔石を用意して、増幅機械と言う魔法を変わりに発動してくれる魔導具を出す。そこから映像が出される。9人の守備と一人の攻撃者による試合だった。
「首都が地元だから無料で見れるんだ。まぁ首都に2チームもあるんだけどな。どっちみる?」
「どっちとは?」
「エルフ族長vsオーク族長。ダークエルフ族長vsリザード族長。セレファ族長vsスキャラ族長」
「トキヤはどれが見たい?」
「セレファ族長vsスキャラ族長」
首都ではない試合だが。何故か見れるようになっており、そのまま。悪魔の赤いチームと魚人族の青いチームが戦う。スタジアムが血のように赤く染まり。罵詈雑言が大きい。赤いチームが負けているからだ。
「トキヤ……負けてるね」
「うーん。こんな所で負けたら上位に食い込めないんだ。本当にやる気あるんか?」
「と、トキヤ?」
「はぁああああああ!? 今のストライクの球だろ!! なんで見逃してんだ!! そんな強い球じゃないだろおおおお」
「お、おう。トキヤ、落ち着こう」
「ああ、すまない」
「はははそうだよね…………はぁあああああああああ」
「ネフィア?」
「何!! 甘い球を投げるのですか!! そこは一球外してもいい場面。全力投球ど真ん中に投げ込んで打ち取りなさいよ!! ふぁああああああああああああ」
「逆転やああああああああああああ」
「……………」
「……………」
私は青い大きいハンカチを被る。トキヤは赤いハンカチを被る。
「最下位に沈め。海の底にな」
「暴言すぎる!! ふざけるなぁ。絶体、最下位だけは回避する!!」
私は少し、元気を取り戻す事が出来たのだった。




