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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
エンシェントマキナ・モダンメカニカルフロンティッドライン『古代の機械に現代の機械と未来の最前線』
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フロントライン⑳⑮~燃え尽きる炉~


 私は人の身でありながら、数倍の体躯である機械を屠る。何体も用意された機械たち。私は魔物を屠ることをしてきたのだから。


 数倍の大きい体の敵には慣れている。


「私を倒すなら。異世界から神様や、剣術極めし者。武術だけ極めし者を連れてこい。この世界の神様はダメね。欠陥品だったけど、保証期間外で困ったわ」


 愚痴を漏らしながら、カツンカツンとある部屋に歩み。煤汚れた衣類のゴミを落とす。そして私は見上げる。


 なん本ものケーブルで繋がれた記憶媒体の集合体であろう物に謁見する。


「人類の王よ。私の名前は『ネフィア・ネロリリス』。魔王と言いながら。正式なのは英魔共栄圏初代女王よ」


「………」


 私の声だけが部屋に満ちる。そして、静かに端末の通信が復活した。


「ネフィア……繋がったか。無事第二弾が潜入した。カラスが先方だ。お前の事だ。機体は壊れてもそこに居るんだろ?」


「ええ、中枢にたどり着いた。今から破壊する」


「わかった。待ってるぞ」


 私は高い柱を見上げる。淀んだ残留物が物体化したような物から声が響く。


「お前は何故……全てを『抹消』した。我々、美しい大地、青い空。我々は絶望した。死に行く若い未来。赤子は息をせず。墓を用意する者もいなくなった。未来を誓った仲間は消え、未来を救おうとした者は消えた。我々はいつしか憎み。そして、復讐を誓った。『世界を破壊した個人』を」


 これは機械と言うより亡霊のような者の意思である。


「………それで私を含む未来を消し去ろうとした。まぁあなたの『正義』は正しい。時間の逆説。タイムパラドックスが起きてる今の状況が『おかしい』と考えるのもあり得る」


「……」


「だけど、私は『それを正す』つもりはない。私は世界なんて本当にどうでもいい。愛する人がいる居場所が欲しいだけ。最初はそんな想い。そして、それを成すには……戦わないといけなかった。そして、私は多くを背負い込んだ」


 私は彼らに説教を垂れるわけじゃない。話をして説くつもりもない。私は自分自身の「選択」の正しさを「自分自身に説いて、揺るがせない」ために口に出して言い聞かせる。


「……多くを背負い込んだ私には『約束』がある」


 緑の聖剣を手に宿し、掌で形を変える。緑色の塗装がされた40mmグレネード弾の銀弾になった聖剣の名前を漏らす。私の思い描く、現実改変を行う魔力の集まった武器だ。


「『マナ』と言う。友達から『この世界を護って欲しい』と託された聖剣『マナ』。私はこれを背負ってる」


 ガシャン


 グレネードピストルに弾を込めて、私は構える。まっすぐ斜め上に。


「歪んだ、間違った、汚く、汚染されたこの世界を誰より愛している方から。プレゼントよ」


 迷いが全く出ず、私は引き金を引き、撃鉄を作動させる。銀弾の底辺に撃芯が当たり、雷管が叩かれて濃縮された魔力が一瞬で火の膨張が起き、圧力で弾頭を飛ばす。勢いよく吹き出す炎で銃は溶け出し、グレネード弾は真っ直ぐ円柱に当たり、緑色の魔力を散布して火がつき、燃え上がる。


 スプリンクラーなのかプシューと音がし、白い冷却された二酸化炭素の消火剤が部屋に満ちていく。しかし、炎は消えず。爆発して破壊の限りを尽くした。私は息苦しいとも思いつつも窒息せずにその部屋を後にした。


 私は自分の手を見る。その手は綺麗な白い手であり、そしていつもの手である。


「マナ、あなたの背負った物。同じ物を私も背負ったわ……」


 私は大きいため息を吐き。沸き上がってくる「後悔」と言う考えを振り払った。もう、後戻りはできない。そんな事を考えて端末を操作する。


「カスミ……終わった。任務完了」


「ネフィア。追加の緊急任務です」


「なに?」


「起爆装置が起動されました。それも……『吸収炉』の過剰起動と保証期間外の暴走によって」


「……………?」


「データ送ります。何重にも護られた情報です。特定に時間を要しますので……直ぐに向かってください。該当施設は全て調査。破壊してください」


 私は何が起きているのかわからず聞き返す。


「えっと……カスミ。詳しく分かりやすくお願い」


「最悪な爆弾が残ってるんです。それは………『全てを抹消する』事が出来ます。コード名『銀弾』です」


 私は端末から耳を外して、頭を抑えて歯を食い縛る。


「……私を消すために!! 全てを『抹消』しに来たか!!」


 私を消せば全てが『リセット』されると思い込んでの方法である。この世界が『無かった』事になることに賭けたのだ。ハイリスクハイリターンのベット。


 私の背中に……数億の手足が引っ張ってくるような錯覚が起き……静かに端末の情報を頭に入れる。


「終わらせない。絶対に!!」


 知らぬ間に世界滅亡の危機が起きてしまったが私は僥倖と思った。危機に直接関われて足掻く事が出来るのだから。


「マナ、私に力を……」


 祈りながら、私は目の前に現れた無人のアーマードウェポンと相対し。緑色の剣を抜くのだった。








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