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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
エンシェントマキナ・モダンメカニカルフロンティッドライン『古代の機械に現代の機械と未来の最前線』
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フロントライン⑳⑭~燃える白炉~


 私が乗る「バルムンク」は非常に素直な挙動を取る。通路の先に居る固定砲台をレーザーキャノンで破壊し、破壊後放熱で羽根のように展開して冷却する。砲身寿命を伸ばす方法に私は満足しながら進んだ。なお、肩部にはミサイルなどは積んでおらず。ぎっしりとバリア増強装置が入れられており、武装は少ない。


 連絡も何も出来ず、進む中。大きいエレベーターに到着し、機体に乗りながら整備されているスイッチで降下を始める。すると……私の通信内に声が響いた。


 若い男性の声と女性の声が混じったそれは機械音声とも思える。


「……認証中……確認出来ました。XX-U-2609『炎翼の魔女神』です」


「……お前は誰?」


「返答、我々、私、俺、僕……私は……挑戦者、断罪者だ」


 声が男に一本化される。冷徹な声である。


「XX-U-2609『炎翼の魔女神』……お前がしたことへの断罪、そして……世界を救うために生まれた」


 淡々と語る。淡々とした口調には怒りが見えていた。「機械なのだろうか?」と私は疑う。


「私は断罪される罪を知りません」


「今のXX-U-2609にはない。未来のXX-U-2609にある」


「……むぅ」


 「どういう事だろうか?」と思う。察するには情報も何もかも知らない。わかってる事は「狙いが私である」事ぐらいだ。


「狙われる理由を知りたい……」


「XX-U-2609が現れる前の時期。『削除されて表示できません』によって新たな粒子が見つかった。それは意思を汲み取り、多くの益を生む事が確認された。そして、その粒子は『現実改変能力』を有している事が確認された」


 私はそれは過去の事だと思い出す。実験を受けていたのも確かである。そして、最後は全てを焼き払った。


「研究者として一人の『削除されて表示できません』がこれによってXX-11-1『ゲート』を発見。実験し、XX-U-2609と接触。その後、行方不明です。しかし、粒子の研究、知識は残り。世界情勢によって持て囃されました。そして『大量破壊兵器』が無力化し、性質が変化をしました。危機感を持った我々は使用を停止しようと考えましたが『多くの最貧国』によって使用され、粒子を使った紛争が始まりました」


「それに私と何が関係が?」


 関係あるんだろう。私は考えて問いかける。しかし、私の問いは無視されて淡々と続ける。


「紛争は紛争を呼び、考えの違い。利権や目的。宗教、野心。そして復讐などを誘発させ、粒子はそれをくみ取り『現実改変能力』を使いました。異形化した人々も増え、気付いた時には手遅れであり。そして『リセット』を考える者まで現れ世界は破滅しました」


「……で、私になにか?」


「『リセット』を考えた研究者は『削除されて表示できません』の技術、知識、用意していた地下シェルターに私達を入れました。そして我々は人々を監視、管理し、地上が粒子汚染がないその日まで過ごす事になったのです。そして、長い時の間に多くのシュミレーションや『リセット』の内容変更、内容是正、内容修正を行い……新データの復旧により。ある結論に至りました」


「聞こうじゃない。その結論」


「『削除されて表示できません』は未来から『全て』知っている状態で過去に来たことが確認されました。『削除されて表示できません』は『現実改変能力』を持つニュータントであり、粒子を未来から『持って来た』ことにより、この世界は『現実改変』されたのです」


「なるほど……うーん。わかんない」


 私は頭を抑える。そして「『現実改変能力』は『魔法』ってことでいいのだろう」となんとか変換して納得する。


「『削除されて表示できません』は『バルムンク』を作り、『バルムンク』に使命を与えているのが確認。使命をハック。内容は『XX-U-2609と接触し、支援し、協力して従う事』だと判明。結果、『削除されて表示できません』は『XX-U-2609』の関係者であると考えられました。会話記録から『削除されて表示できません』があなたの部下であることが確認され。仮説を立てました」


 私はゆっくりと降りるエレベーターに終わりのない深淵の地獄を連想する。殺意が機体の装甲に当たる。


「⑨がここの事件を『削除されて表示できません』に伝え、『削除されて表示できません』が過去に移動後。『現実改変能力』による『滅亡シナリオ構成』を行ったと推測できます。既に大昔、これに気が付いた敵対者の『現実改変能力者』たちはニュータント化、『現実改変能力』を使い。対『XX-U-2609』兵器、対『XX-U-2609』機構、対『XX-U-2609』人物を用意。殺害命令を下して世界を管理する存在。兵器固有名『ヴィナス』を生み出しておりました」


 私は頭がこんがらがって行くが、ゆっくりと整理して相手の目的などがわかる。


「敵対者の作戦は失敗。我々の作戦が結構されました。我々の目的は『リセット』です。我々は我々の世界を取り戻すために『魔王』………可能性のある存在を全て『抹消』し、この世界を『やり直し』させます」


「……結論、私を殺すってのが目標ね」


「多くの民、生きている生物、生まれてくる命を全て刈り取った個人を我々は許さない……可能性も許さない」


 私を倒してもどうなるかわからないが。可能性があると思われているため私は狙われているのだろう。


「あれ、じゃぁカスミは……なんで? それを知っていながら私を助けたの?」


「ネフィア、聞こえる? 黙っていようかと思ったけど言うわ……娘のためよ」


 一瞬、声が聞こえた事に私は嬉しくなる。無理やり繋いだのだろう。黙っていればいいのに喋ってしまった。


「バグ、不明なハッキングが確認。ブロックします」


「あーあ。ごめんなさいね。カスミ」


 彼女には聞こえてないだろう。エレベーターが止まり、知った声が響く。バルバトスという乗り手の声だ。


「作戦名『リセット』、依頼者『消された我々』。全てチェックオールグリーン、戦闘モード起動」


 ゆっくりとゲートが開いていく。そして、合成機械音が声を漏らす。目の前の機体は平均的なアーマードウェポンより1、5倍大型化し。高出力だろう追加ブースターに肩に大型のレーザーキャノン砲2門と大口径ガトリングに両腕にはブレード発生装置が見えた。肩の両脇にはミサイルポットもあり、重武装化がされている。また、エネルギー漏れを起こしているのか、機体のブースターの場所から火がで続けており、機体が燃え上がっているように見えた。


「機体名『アローヘッド』」


 矢頭と言われた。旧人類の最後の矢が私の目の前に迫る。大きい部屋に私はエレベーターから降りて矢を払おうとする。ミサイルが放たれ、ポッドが外される。そのまま動きながら、ガトリング砲を撃ち込んでくる。


 起動力は生身が耐えられないような直線的な起動をして接近してくる。銃弾の雨がバリアのエネルギーを下げて行き、レーザーキャノンの光線が迫り、私はそれをブースターを吹かしてかわす。


「よう、⑨。決着をつけに来たぜ」


「バルバトス……」


「どうだ、プロトタイプの機体は……良いだろ?」


「そうね……」


 通信に口答えする暇がない。10門のレーザーを時間差で撃ち込み、回避をさせながら地味に当てていく。しかし、装甲も厚いのかダメージを与えているのかわからない。燃えている機体の炎がバリアの役割をしているとも思えた。1戦のみの使い捨て機体。燃える機体装甲が溶けているのがわかる。


「くぅ」


 白い「バルムンク」はガトリングで装甲に穴が空き、損傷率が上がる。そんな中で横から通信が入る。


「バルバトス!! あなたはまだ、そこで戦うの?」


「カスミか、お偉いさんの考えはわからないが、俺に戦場を用意してくれる。お前は用意を拒んだ」


「バルバトス……あなたは……それでいいの?」


「……俺は傭兵だ。依頼されれば殺しもする。戦場で生き戦場で死ぬ。青い空の夢も、人類の救済も関係ない。可能性なんかどうでもいい。あるのは今の状況だけだ。説得なんて意味を成さない」


「くぅ……ネフィア。勝てる?」


「……勝つ。私はね。それは過去が保証してる」


 アローヘッドの背中から大型のミサイルが2つ飛び出すのが見えてレーザーキャノンをそれに当てて爆発させる。アローヘッドの背中の大型ミサイルポッドが外され、機動力が上がった。一瞬で視界から消えるアローヘッドに勘だけで追い縋り、旋回性能の高さで背後をとらせないようにする。


 そして、アローヘッドが太く長いブレードを生み出すのを見て同じくブレードを展開し、接近してくる矢をいなす。緑の刀身と赤い刀身が触れて弾かれる。粒子の固定化によって生まれるブレードが壊れ、そのまま距離を離そうとするとガトリングの牽制が入り、じり貧を感じていく。


「⑨……お前はその程度か?」


「……バルバトス!!」


 私は唇を噛み、リミットを外す。10門のレーザーキャノンの砲身から緑色の魔力が漏れだす。そのまま、私は近づき。強化されたバリアで耐え、一撃離脱戦法に変える。10門のレーザーが2門だけのように集束したレーザーを放ち、アローヘッドの左肩レーザーキャノンとガトリングを焼き、破壊する。そして、それを行い。損傷を増やさせて機体の装甲を焼く。


 燃え上がるアローヘッドはついには動かなくなり、火花がちりだす。形勢逆転に私は胸を撫で下ろした瞬間だった。ブワッとアローヘッドの漏れだすエネルギーの炎が大きくなって機体の限界なのか軋む音が遠吠えとなる。


「……再起動した!?」


「⑨……戦いは終わってない」


 バルバトスの声が響き、アローヘッドの装備がブレード以外全部外される。ブレードは燃えるような形になり、漏れた炎を吸い込み。まるで炎の大剣のように振る舞う。それを見せながら、高速起動で迫ってすれ違いざまに切ろうとする。「バルムンク」はリミット解除のせいでレーザーキャノンの砲身は焼け落ち、ブレードのみとなって近距離戦を強いられて苦しい展開になる。


 そして、コックピット狙いの刃を弾き反らしたが。炎を纏った蹴りにより「バルムンク」は壁に叩きつけられ私はむせて咳き込み。勘で操縦する。


「⑨……決着だ……ああ、終わりだ……」


「はぁはぁ……あなたは負けている」


「……負けている?」


 動きが止まる。私は機体をおこし、武器を背負って脱出する。ヘッドフォンをしたままで。


「あなたは『戦う』事が目的になっている。あなたはだからずっと負け続けている」


「…………」


「私たちは『生きる』ために戦い続けている。戦闘後待ってる『日々』を手に入れるために『歩く』ために戦ってる。あなたにはそれがない。だからあなたは弱く、そして負け続けている」


「……そうかもしれないな。私は強いから戦場にいるんじゃないか。そうだな、私は『戦う事でしか表現できない』のだよ。⑨」


「わかってるなら、諦めて」


「……今回は勝ちに来ている」


 私は力を使う。濃い汚染されたこの場所で魔法を使った。「バルムンク」の炉に私の火を入れてバルムンクを操り、斬り合いの攻勢に出る。バルムンクの溶けたレーザーキャノンの砲身は完全に溶け、逆に私の魔力によって新たな翼が生える。そして、接近させて斬り合い。バルムンクのコックピットは貫かれた。そのまま、アローヘッドも動かなくなる。


「⑨、君は……私と同じ化物だ」


「ええそうよ。私は『ニュータント』よ」


「……!?」


 動かなくなったアローヘッドにバルムンクは掴みかかり、抱き締める。翼も覆い、動けなくした瞬間に活路を見いだす。羽を広げ飛び、アローヘッドのコックピットの上面の装甲にグレネードランチャーを向けた。至近距離射撃で引き金を引き、40mmの徹甲砲弾を撃ち込む。無反動ではなく、低速グレネード弾でもない砲弾40mmは強力な反動を持ち、装甲をぶち破る。撃ち尽くしたそれを腰に背負い。装甲をひんむき、中を見ると。コックピットには円柱のポッドが座っており、私は察した。


「バルバトス……最後も負けね」


「ああ、戦場で散り、戦場で死ぬ。それが傭兵の最後だ」


 腰のグレネードランチャーに40mmの弾を抜き。新しく装填する。そのままポッドに向けて撃ち込み。ポッドから液体が噴出し、耳元に声が響く。


「……⑨……越えていけ」


「……」


 バルバトスの声はそれっきり聞こえなくなり、私はあわてて離れる。するとアローヘッドとバルムンクは爆発し、空間を焼き、このサイト0の中で爆音を響かせる。端末は復活し、カスミが声を出す。


「機体全焼ですか……」


「なによ」


「本当に消耗品のように扱いますね」


「壊れるんだから仕方ない。道はわかる?」


「わかります。突破出来た傭兵が向かっております。回収するのでお待ちください」


「……私は未来の決着をつけないといけない」


「…………………」


 グレネードランチャーに低速弾を入れて歩き出す。


「わかりました……サイト0-0への道を示します」


 端末から送られる地図に従って、汚染地域を歩く。アーマードウェポン用の通路であり、人が住めるような場所ではない。倉庫のように無機質な鉄板だけの道を進み。起動音が耳についた。


「……はぁ」


 通路が明るくなり、量産品のような纏まった中型のアーマードウェポン2機が現れる。


「「この先へは行かせない。消えろ『魔王』」」


 人に対して、過剰な兵器が私に迫る。バリアが私に迫り、そして私の体の魔力と反発する。そのまま消し炭にならない私に対してぎこちない動きで踏みつける。それを横に避けて、私は……白い翼を出し、昔を思い出しながら炎を槍の形にする。


 剣では相手は大きすぎる。だがからこそ、やることは……翼を撒き散らして一瞬で起爆させる。汚染が酷い所は逆に私は魔法が使える。十二回の爆発に機体はよろめき、私は炎の槍を機体のコア部分。ジェネレータの所に投げて突き刺して燃え上がらせる。


 1機倒しおえ、そのまま同じように炎槍で貫き。昔の感覚がどんどん戻ってくる。


 右手に炎が戻り、私は……『炎翼の魔女神』として、ここに舞い降りた。


「……私は機体に頼らなくていい場所では強いよ」


 奢らず、正直に伝え。右手の炎を持ってマップの示す通りに歩む。決着をつけに。















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