フロントライン⑲~抹消目標~
人間、亜人の研究者は人工的な生命誕生を目指した。それは研究結果が欲しいこと、タブーの世界を知りたいこと。世界で初めての名声を欲しいこと。多くの欲に動かされて皆が研究し、成功することはなかった。
ただ一例。『子供が欲しい、あの人の』と言う『愛』故に誕生した奇跡の子と。『あの人』が対面する。
「お父さん……ですね」
「……」
ガレージの入り口に黒い機体が2体。トキヤと鴉の機体がおり、トキヤだけが私に近づく。
「よう、ナインボールが捕まったんだってな」
「ええ、話は聞いてるの? トキヤ」
「もちろん。でっ言葉を介さないけどあの二人、大丈夫か?」
「脳内での会話でしょう。何を話してるかはわからないけど」
「まぁそうだろうな」
サクラが鴉の機体の足を蹴った後に抱きつく姿に私は深く溜め息を吐いた。
「なんで溜め息を?」
「子供はあんな子なんかなって」
「それはわからないな……流石に。それよりも今、彼女は君を捕らえた者として狙われてる」
「え、サクラちゃんが?」
「ああ。映像ジャックと仲介者の裏切り。彼女は『カンパニー』から狙われてここが特定された。君を皆が探しているからな」
「私はとんだ有名人ですね。彼女も私に疑問もって捕まえたみたいですけどね。まぁカスミの足跡べったりついてたので正解だったみたいですけど」
「……オープンの中にダークエルフ族らしき者が居たらしい」
「はい?」
「その情報で『トリグラフ』『カンパニー』が動きが活発になった」
私は首を傾げる。オープンの本社に顔を出したがそんな人を私は見たことがない。
「企業側の目標は『外の世界の人を再回収』することだ。『トリグラフ』が一回、回収している事がわかった。そして、実験をしていた所を『カンパニー』が強奪。そのまま……情報を抜き取ったみたいだな」
「あいつら、本当に屑ね」
「……ネフィア、お前の好きな『トリグラフ』のデータを『カンパニー』に売っているから強奪されたらしいな、場所は予想が出来る」
「見つけたの!?」
「見つけたと言うより。噂があってだな。ネフィアのような奴が暴れたらしく、それが鎮圧されたのは最近らしい。テロリストの攻撃と発表されているが攻撃を受けたと言う施設がどうも……強化する施設らしくて、キナ臭い」
「もしや、『オープン』が『カンパニー』への攻勢へ出ようとしているのは……情報を持ってるから?」
「そうだと思う」
私は端末でメールを確認する。そして納得した。
「……オープンの誰か上が私達が探している人なのかも」
「仲間を救うために動いてるだろう。ネフィアを知りながら動かない理由はなんだろうな?」
「いや、動きがあるよ。メールから私は誘われてた。昔に……『オープン』が『カンパニー』を攻める事は決まってた」
「なるほど。『オープン』の裏の支援者『バルムンク』も気になるな。動きが良すぎる」
ビービービー
「何の音?」
ガレージに警戒音が響き、サクラが機体に乗り、鴉も動き出す。私は分からずトキヤを見るとトキヤも機体に乗り、私はカスミの声で察した。
「ネフィアさん、トロいですよ。『カンパニー』と『トリグラフ』の合同軍が迫ってます。目標は『ナインボール』の貴女です。指名手配も継続し、そして顔がバレました」
「おい、カスミ。護ってくれるんじゃなかったの?」
「私以外のAiが全員反旗を翻しあなたを『世界の破壊者』として抹消命令が出されてます。という事で私の力及ばずです」
「ポンコツAi」
「……ごめんなさい。ポンコツで」
「お母さんは旧式なのでやり方が不味かったんです。私の方法をコピーされてしまったようです。ですが、それなら私が対応出来ます。それよりも今はここの拠点を捨て移動します。乗ってください」
私は彼女の乗る機体の腕に乗って移動する。ガレージから出た瞬間に高速ミサイルが落ち、そのまま絨毯爆撃によって追撃されるのを見ながら思う。
「……本気で抹消しに来てるわ」
本気度を私は感じとり、そのままサイト⑨から逃走するのだった。




