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蜘蛛姫に求愛す..


 年末をあと少しに迫った日。都市に激震が走った。魔国魔王城で編成された兵団が向かっている事がわかったのだ。いったい何が起きるのか、いったい何をするのかを秘密のまま。自分たち冒険者が酒場に集められる。


 そして、カウンターの上に立つ魔王城のダークエルフの兵士が声高く叫ぶ。


「冒険者諸君!! 摂政トレイン様から大口の依頼だ!!」


「へぇ~摂政になったんだトレイン。偉いなぁ」


 隣にいる嫁が他人事のように喋る。『「当事者だバカ」と言えばいいのだろうか? それとも呑気すぎると突っ込めばいいか?』と私は考え悩む。そして違う意見が浮かんだ。


「もしかして。お前を殺しに……」


「私って人気者だね。やった」


「人気者って……」


「そこ!! 五月蝿い!!」


「「すいません」」


 ダークエルフに怒られた様子を見るにちょっと違うようだ。こいつが魔王だって知らされてない、しかも賞金首リストもみていないのだろう。ランスロットが湖から帰ってきたら仕事に誘おうかと考える。


「摂政トレイン様は被害に心を痛ませ!! 四天王であらせられる鋼糸のアラクネ族長に相談された。そして!! 許可を得た!!」


「ネフィア、『鋼糸のアラクネ』て知ってる? 俺は知ってる」


「さぁ?」


「おい!! おい!!」


「だ、だって……ね? 知ってるのと知らないのが混在してるの」


「はぁ~職務怠慢だなぁ」


 ぼそぼそと話ながら。ダークエルフを見る。金額はいい仕事のようだ。さぁ重要なその内容はなんだろうか。


「アラクネの絶滅をアラクネの族長が許可した!! 故にあの者たちは魔物であり我らの敵である!! 一匹倒すごとに賞金を出そう!! 兵団が到着し、包囲する。自由にしてもらってかまわない!! さぁ冒険者!! 狩りの時間だ!!」


「「!?」」


 自分はネフィアと顔を突き合わせる。酒場の冒険者達がパーティを組み。出発の準備を行っている。


「ネフィア。俺たちはすぐに出よう。運が悪いことに徒歩でも行ける場所に巣がある」


「う、うん!! 湖に行こう!!」


 湖にいるリディア殿が危ない。自分達はすぐさま酒場を後にした。






 僕は答えを決めきれずに時間だけが過ぎ。彼女と別れた。


「はぁ………僕はなんと情けない」


 アラクネと言う魔物であることで冒険者に狙われている彼女を護って行くこと。彼女を無理矢理、人のように生活させる事の難しさや。果たしてそれが幸せかを悩ませる。自分の好意で決めるわけにはいかない。そう思ってしまう。


「親友なら、きっと。『護ってやる』と簡単に言うんでしょうけど………僕に果たしてその力があるか?」


 答えはない。わかっている。親友のように魔術が得意じゃない。親友のように知識があるわけではない。親友のように力強くはない。


 そう、彼は長い年月をかけて……それが使命として本気になって鍛えた。僕は胡座をかいていた。その差は山と谷の違いがある。


「彼が何故強いかを再確認出来たよ」


 自分ならどれだけ時間がかかるだろうか。それまで彼女はリディアは待っていてくれるだろうか。


「ランス!! リディアさんは!!」


「ランスロットさん!! リディアは!!」


「ん……二方……慌ててなにかありました?」


 彼らの真面目な表情で、何かしら状況が悪いことを察する。


「ランス。落ち着いて聞いてくれ」


「はい………なんでしょう」


 胸がざわつく。自分は選択を迫られている気がした。


「ランスロットさん。魔国でアラクネ族を魔物とし、討伐指令が出されています」


「そ、それは!!」


「四天王、アラクネ族長が許可を出して危険の排除に乗り出しました。特に集まって巣を作るアラクネが対象でしょう。そう、ちょうどここに住んでいる者を対象に」


 今までうやむやだった事が今になってはっきりとした問題として魔国で決定された。それはつまり。


「リディアは魔物として討伐されます‼ 巣に兵団が囲んでいます!!」


「く!!」


「ランス!!」


 僕は剣を握り締めて走り出した。時間は残されていなかった。今ある力でどうにかしなければならない。





「ランス!!」


「トキヤ、待って‼」


 ランスロットを追いかけようとする彼を引き留めた。腕を強く握って引っ張る。


「何故!! あいつは昔と同じ事をするぞ!!」


「違う!!」


「違う? 何故だ?」


「そう!! 彼は昔に剣を振ったのは失望と若さの過ち!! 今回はあなたと同じ理由で剣を握ったの!!」


「じゃぁ………追いかけて一緒に戦えば!! 冒険者にやられるぞ‼」


「私たちが行っても同じ!! トキヤらしくない!!落ち着いて‼ リディアは助けるよ!! 絶対に彼は!!」


「………確かにあいつなら」


「トキヤ、今私たちがしなければいけないことは逃げ道を作ること!! 私たちにしか出来ない!!」


「ああ、そっか冷静になった。そうだな、退路は必須だ」


「信じましょう。王子さまを」


 私たちは、展開している兵を偵察することした。





 私は自分の巣で頭を抱える。「一緒についていく」と言ったことを後悔し始める。悲しいことに彼を悩ませ苦しめてしまった。


「今さら、大丈夫なんて………言いたくない。ついていきたい。けど、悩んでしまう」


 胸のなかにハッキリしない気持ちがクルクルと回転しているようで。胸のなかに雲があるかのようなモヤモヤとし、苦しめる。


ドンッ!!


「そっちいったぞ~!!」


「ファイアーボール!!」


「木を燃やせ!!」


 今日は外が騒がしい。気にしていなかったのだが次第に叫び声が聴こえ恐る恐る私は巣から顔を出す。


「!?」


 そして驚いた。眼下で炎が上がっていたのだ。木々が燃え上がり巣を焼こうとする。目の前に仲間達が巣から逃げ惑う。


「これは!?」


 眼下で激しい戦いが行われていた。色んな種族が私たちと戦う。木々を斧で倒したり、炎をつけ巣から私たちを地面へ降ろして剣で戦う。


 何人もの冒険者が腹を裂かれ、絶命しながらも私たちアラクネも足を切られ腹を裂かれ、首も落とされていく。そう、狩り合いがそこで行われていた。


「あっ」


 私は恐怖する。仲間の死を見た瞬間に死んだら彼に会えなく事を理解し逃げようと違う木々に乗り移った。


「逃げなくちゃいけない!!」


 仲間たちは巣を焼かれ、怒り、冒険者を殺しに行く。私は巣に未練がない。飛び移った木々が斬り倒される前に移動しようとした。その瞬間。


「あそこ!! ファイアーボール!!」


「うぐぅ!!」


 火球が腹に当たり爆発。地面に落ちて転がる。痛みはするが致命傷には程遠い。だが、倒すのが目的ではない。


「前衛二人はお願いします!!」


「姉ちゃん任せな!!」


「ええ、行きます!!」


「あれ? 服を着てますね? でも、いいでしょう!! 詠唱始めます!!」


 3人。耳の尖った種族2人と人間の冒険者が私に向かって殺意を向ける。やるしかない。


「よくも、叩き落としてくれ…………たな………」


 何故か、口調が尻すぼみする。3人、そう3人だ。倒せる筈。だけど、体が緊張する。3人の人生を奪う事に躊躇いが生まれた。


「あぐぅ!! くぅ!!」


「逃げるぞ。追う!!」


「はい!!」


 私はもう殺したくない。殺したら……彼に嫌われるかもしれない。


「足止めします!! ファイアーウォール!!」


 炎の壁が邪魔をし。その場に私は立ち止まる。炎の壁が彼等と私たちを囲む。前衛の二人が大剣を握り直し、距離を詰める。


「ひぃ!?」


「さぁ……行くぜ!!」


「はい、左右から挟みます!!」


 私は、泣きそうになりながら。頭を抱える。殺さなくちゃ死ぬ。でも殺したくない。でもでもと思考が回る。


「どうしたら、いいの? ランスロット………助けてよ………」


「ランスロット? 服を着ている………もしや!?」


「おい、止まるな!! 俺からいく援護を!!」


「あっはい!!」


 右側から、耳の尖り毛並みがある男が剣を下段に構えながら走ってくる。


「右足は貰った!!」


「リディアアァアアアアアア!!」


ドンッ!!


「ぐげっ!!」


「おやっさん!!」


 私は吃驚して口に手をやる。目の前に炎で燃えている背中に見覚えがあるからだ。そう、彼は炎の壁を越えて私を庇うために体当たりをし、彼を私から突き放す。肩が上下し、顔を下げて荒く息をする姿はここまで走ってきてくれた事を知らせてくれた。


「げほげほ!! 獲物の横取りは許さねぇぞ!! ランスロット!!」


「はぁはぁ…………うるさい、こいつは僕の…………知り合…………いいえ」


 一瞬の逡巡。そして………彼は叫んだ。



「僕の女です!!」



 剣を引き抜き、真っ直ぐ構える。私より小さい背中が強く、大きく見え、目の前が滲む。初めて熱い物で瞳を濡らす。内から溢れ出すこれが何なのか、すぐに私は理解した。うれし涙だ。


「ランスロット!? 君が言っていたのは彼女かい!?」


「ええ、そうです。僕のパーティメンバーのリディア・アラクネ・アフトクラトルです」


「ランスロット坊主、そいつは魔物だ」


「ええ、元魔物です。ですが僕だって元皇子。今では、同じ冒険者です」


「ら、ランスロットさん!! そんな!! あなた……えっと格好いいあなたがそんな!!」


「文句は剣で伺いましょうか? いいですよ、騎士として正々堂々、受けて立ちましょう!!」


「ちぇ!! 行くぞ!! こいつとやっても金にならん」


「そうですね。早く他を探しましょう」


「ランスロットさん………憧れてたのに………」


 口々に不満を言いながら、彼らは次の獲物を探しに行く。


「はぁ、久しぶりの味方殺しは避けられたね。全く僕の運命と言うやつは……」


「ランスロット……」


「リディア。話は後で今は逃げましょう……ん? 泣いているんですか?」


「はい……嬉しくって……止まらないんです」


「そうですか。しかし、今は我慢してください。僕が責任を持ってあなたを逃がします。ついてきてください」


「………はい」


 私は涙を拭いながら彼について行く。





 私は機を伺う。ダークエルフの二人組が立ってアラクネを見張っている。そこをトキヤが一人の背後に忍び寄り、口元を押さえて気絶させた。


 すぐさま引きずって木の裏へ隠す。私は顔を隠してもう一人の前に出る。


「はい!! こんにちは!!」


「だ、誰だ!? んごぅ!? んん………」


「よし、気絶したな」


 手早く、もう一人も気絶させ、木の根本に転がせる。遠くで人の叫び声等、騒がしい音が木々を反響させ、凄まじい戦いなのが連想出来る。


「本当に闇討ち得意だねトキヤ」


「本職ですから」


「じゃぁ、彼らを呼ぶね」


「ああ、俺は再度。周りを確認してみる」


 私は即席呪文を唱える。


「………ん。音拾い」


「見つけたか?」


「僕の女です………だって!! リディア、啜り泣いてる。終わったら声を伝えるよ」


「いい所だったんだな~」


「愛の告白だよねこれ?」


「まぁ……告白だな。いいのかよ……一応、許嫁いるのに。あっいないかもな犯罪者だから」


「どっちかな? でも……いるんだぁ………うん。収まった」


 私は騒ぎが収まった瞬間に音を伝え。誘導する。すると彼らが木を避けながら向かってくるのが見えた。


「ありがとうございます。さすがトキヤですね」


「発案はネフィアだがな」


「うんうん。リディア、ランスロット。おめでとう」


「「?」」


 二人は首を傾げた。


「ネフィア。先ずはここを離れるぞ。話はそれからでも遅くはないさ」


 自分達は合流し、そのまま都市を目指すのだった。





 私は都市の外壁で暖を取りながら話を始める。アラクネはほぼ滅ぼされるだろう。しかし、ここに一人のアラクネだった者がいる。


「私はこれからどうすればいいの?」


「僕もどうすればいいか。悩んでいたんですが答えが出ないです。すいません不甲斐なくて」


「私もない」


「ネフィア、私を唆して「彼と一緒に旅をすればいい」て言ったじゃない!!」


「言ったけど‼ 言ったけど‼ ごめん!! 結ばれたらいいなぁしか思ってなかった!!」


「結ばれた? 結ばれたとはなんですか?」


「えっ? ランスロットは僕の女だって言ってたよ? ねぇ?」


「ははは………聞いてたんですね」


「僕の女は? どういう意味ですか?」


「ええ~気付いてない!? あれだ!! 人間の求愛の言葉だよ‼」


「!?!?!?」


 リディアが顔を押さえ、ランスロットを見る。


「はは、ええっとそうだね」


「私もランスロットならお受けします」


「おめでとう‼」


 二人が幸せそうで何より、何より。


「おい!! 見つめ合うよりも先ずはこのあとどうするかだ!! 童話の王子さま姫さまは結ばれてチャンチャンだが。これは現実。続いていくんだぞ!!」


「「「……」」」


 沈黙。そして、3人ともトキヤを見つめる。


「視線が俺に集まってますが?」


「トキヤなら、僕よりも上手く立ち回れる。お願いだ。教えてほしい」


「トキヤ、私も。勇敢なる者としてきっと妙案が浮かぶと信じてる」


「ネフィアの夫さま。私は魔物です。何かいい方法があれば………ランスロットにご教授をお願いします」


「お、おう」


「トキヤ」


「トキヤさん」


「トキヤさま」


「ちょ、ちょっと待て…………わかった!! わかった!!」


「さすが親友」


「さすが私の夫さま♥」


「さすがランスロットの親友でありネフィアの夫さまです」


「……………ちょっとはお前らも考えような?」


 トキヤが溜め息と共に考えを話す。そして、自分達はダメ元で行動をするのだった。トキヤしか出来ず。勇者とは程遠い行為だが、これほど彼が似合う行為もないと思われる。





 ギルド長の部屋。煙たい空気の中、婬魔のような悪魔のギルド長に話をする。私はトキヤの背後に隠れ。顔だけ出す。険しい顔のギルド長にちょっと私はビビっている。


「アラクネを冒険者に登録しろだと? 正気か?」


「魔王を嫁として連れている彼に正気を疑いますか?」


「………それもそうか」


「何で私を連れてると変人扱いなの!?」


「おい、俺を変人扱いするな。かわいいじゃないか? この代の魔王は」


「トキヤぁ~。そうだよ!! ただの夫婦だよ!! 普通だよ!!」


「…………………のろけるなら、つまみ出すぞ」


「あっ………それはダメかも」


「ネフィア。少し黙っていてくれ」


 彼が真面目に話をする気になったらしく。底冷えする声が響き渡る。


「つまみ出すならこの都市は崩壊させるぞ。魔王軍を唆して破滅させてもいいし、俺が暴れまわってもいい。都市の壊し方は知っている。やめてくれよ? 史上もっとも多くの人を殺し都市を壊した個人になりたくはない」


 私が背筋が冷えてしまう。やりかねないっと思ったからだ。見ている。彼の最上級の魔法を。あれをここで打つと………きっと都市は姿を保ちながら悲惨な状況になるだろう。ランスロットは彼に任せているのか一言も喋らない。


「ほう? 私に脅しをかけると?」


「脅し? 脅迫? いいや、これは命令だよ。竜狩りって知ってるだろ?」


「はん、そこのランスロットも竜狩りだ。精々、人智は越えないがな」


「鋼竜ウルツァイト」


「ほう………なんだいそれは?」


「俺が狩った。エルダードラゴンだ。ご存知ない? 『自分自身と混ざった竜を狩った』と言うのも変な気分だがな」


「………」


 ギルド長の顔に一筋の汗が滴る。実は気付いているのだろう。トキヤの強さに。現に賞金首を何人もお金に変えている。


「まぁ、今回だけしか無理は言わない。それにそっちだって魔王の情報を売ったりしてたんだ。本来なら殺すけど、見逃してあげている。それに簡単だろ? リディアと言う名前の冒険者証明書を発行し押し印をするだけさ。悪い話じゃないだろ?」


「…………はぁ。金をくれ。やる気がでない」


「ありがとう。ほれ、金一袋だ」


 腰につけているお金を酒が置かれている丸テーブルに置いた。


「畜生。悪魔め」


「ははは、知らなかったか? 人の皮を被ってるデーモンだよ。当たりだ」


 嘘は言ってない。嘘はデーモンみたいに強いこと。


「さぁ、表で待とうぜ。ギルド長、英断ありがとう。君はいいギルド長だ」


 私は思う。夫が敵ではなくて良かったと。その気になればトレインも殺れるだろう。


「君が親友で良かった。敵ではなくて本当に良かった」


 ランスロットも同じこと思っていた。


「今は敵じゃないだけだな」


「脅かすのはやめてくれ」


「事実」


「ふむ………冒険者トキヤ」


 悪魔のギルド長が立ち上がり、トキヤの目の前へ立ち上から下を舐め回すように見る。


「せっかくだ。1日、夜はどうだい?」


 背後にいる私は顔を出し、怒り声を出す。唐突の告白で私は声を荒げて睨み付ける。


「おい、いまなっつった? ゆうてみぃ?」


「あら、魔王さん。彼を一日貸して欲しいんだけど?」


「あん!?」


「まぁ意思はトキヤから、聞くわ。ねぇ~こんな子ばっかりよりたまには違う味も良いわよ」


「おい、人の夫を誘惑するな。切られたいか? 殺されたいか? 燃やされたいか? 好きなの選ばせてやる」


「あなたには聞いてないわよ。冒険者職務放棄の威を借る女狐さん」


「ぐるるるる!!」


「ギルド長。お断りします」


「あら、残念。いい男なのに遊ばないと勿体ないわ~」


「へへ~ん!! 私がいるもん!!」


「まぁ、そういうことらしいので」


「人の夫ほど美味しい物はないのに。残念」


「悪趣味め」


「いい趣味だと思うわ?」


「目の前に奥さんが居て。一晩どうって言うのいい趣味ではないです!!」


「ふふ、悲惨な状況が美味しいのよ。目の前で奪われたら泣くでしょ?」


「奪え返す。目の前で、こうやって」


「んぐっ!?」


 顔に勢いよく口を合わせる。私は見せつける。


「キスして仲がいいことを見せつける。婬魔の力でね」


「ふ~んあなたも中々の悪魔ね。まぁいいわ、発行してあげる。これっきりよ」


「ネフィア………時と場所をわきまえろ。うぶなランスロットが角で縮こまっているじゃないか」


「婬魔にそれを言うの? ごちそうさま♥」


「私も、あなたみたいに一人の男性を愛するべきかしら? さぁ仕事するから待ってなさい」


 ギルド長が証明書の金属板を用意する。トキヤがそれを受け取り、偽物かを丁寧に確認した。しっかり、確認する彼。ここで私は帝国のあの日の事を、懐かしい思い出を思い出した。この一連の行動は全く勇者らしくなく、今はそれも含めて大好きである。












 


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