人を拒む未開地④
早朝、曇り空は今日も重々しい。そして油臭いニオイのような雰囲気がする。それはそうだ、起きた理由は私の耳に物音がしたからだ。
「トキヤ起きて、行こう」
「ああ……わかった。寝袋は置いていくな?」
「ええ、強行で帰りましょう」
荷物を最低限にし、背負って私たちは町を出ようとする。出ようとするが……最悪な事に気が付いた。
「……なぁネフィアどう思う?」
「うーん、絶対絶命だよね」
町の出口をぐるりと報告書のゴーレムが囲んでいたのだ。平地にわかる異質な鉄の固まりの人型に異質以上に恐怖を生む。ゴーレムの色は肌色にしては黒く、土色と言われれば白い色をしており、バケツのひっくり返した顔に赤い複眼がいっぱいついている姿だ。
一対一ならどうにかなっただろう。だが、10対1は絶対に難しい。それに私はあの銃の口径に恐れる。玩具の銃とは違うだろう大きさに撃たれたらひとたまりもないだろうと考えた。
「ネフィア……魔法はどこまで? 俺は全く無理だ」
「私はほんの少し炎を出すだけ。魔石で爆発させられる」
「どうする?」
「体の大きさで私たちに有利だから……町で戦おう。トキヤ、そこにあるゴーレム見てて」
私はゴーレムだったであろう物の腕に拳を叩き込む。すると鋼鉄だろう板を突き抜けた。
「体は影響ないみたい。でも、弾に当たるのは危ない」
「わかった。一か八か……やるか。槍はおれそうだから素手か……」
「ええ、ここでは素手のが強い……こんな所で剣を扱わないなんてね」
荷物を置き、トキヤと私は一緒になって町に逃げ込んだ。それが合図だったのか町に炎の吹き出る音が響く。ゴーレム達が火を出しながら動き出したのだ。多くの音がする中で建物に隠れた私達は驚く状況になる。パシュと音が聞こえた瞬間に槍が飛んできたのを二人で見てたのだ。
「「えっ、ミサイル!?」」
知識があるからこそ良かった。ゴーレムの肩から出された爆発物を避けるようにあわてて建物を出たあと。建物は複数のミサイルの爆発で消し飛んだ。そのままゴーレムが銃を向けて打って来るが全く当たる気配がしない。走りながら銃を打つ機体に察した。
「トキヤ、あれ。口径でかすぎて私達に当てるの至難の技だ!!」
「あ、そうか!! 俺達では『的が小さすぎる』」
そう、走りながら横へとジクザクに避ける。そのまま大きくジャンプしたりして建物を盾に動いた。路地の先で目の前に現れたゴーレムに気付き、そのままゴーレムは手を伸ばす。それを私は上に避けて、右手拳を握りしめてゴーレムの顔付近に飛び乗り、大きく殴りぬく。
ガッゴオオオオオン!!
激しい音を出して顔の部分を吹き飛ばした。効く事に満足してトキヤに声をかける。
「トキヤ!! 殴り倒せる!!」
「おめぇ化物か!?」
「トキヤも出来るでしょ」
「格闘は不得手側だが、狙ってみる」
「殴るだけでいい!!」
私はゴーレムから飛び降りる。ゴーレムは視界を失ったのかそのまま建物を掴んだ。それに向かって銃撃が行われ私たちはまた建物の影へ潜む。同士打ち、もしくは見捨てたのだろう。
「無力化できるのわかっただけでいいね」
「ネフィア……お前。格闘才能あるぞ」
「あっそ!! 次やるよ」
私はトキヤと一緒に建物の影から出た瞬間だった。目の前にいるゴーレムが横から来た黒いゴーレムに蹴り飛ばされた。黒いゴーレムはそのまま腕から光る剣を生んで斬り、白熱した鉄の焼ける匂いにオイル臭さがまじる。そのままゴーレムが爆発する。
黒いゴーレムは土色のゴーレムより体が複雑な形をして頭が尖鋭化し、角が出ていた。目に当たる部分は曲面した窓ガラスのように一枚物だ。体もスラッとした人の姿を連想する。そして、銃も大きく。背後から火を吹いて移動する。
「同志撃ちか? ネフィアわかるか?」
「………わからない。わからないけど……私……あれ……何処かで見た気がする……わからないけど。敵じゃない」
「ネフィアがそう言うならそうなんだろう」
黒いゴーレムはそのまま土色のゴーレムを蹴り壊したり、斬り壊したりと活躍する。機動力が高くミサイルを避け、射撃を受けても全く傷がつかずに9体のゴーレムを動かなくさせた。そのまま壊れたゴーレムは一部爆発する。
そのまま様子を見ていると黒いゴーレムは私達の元へ飛んで来た。一応身構える私達、するとゴーレムは肩肘をついて胸の辺りの扉が開く。そこから、一人のスーツを着た人間が現れた。耳が尖っており、肌色から同族を思い浮かべる。英魔国人だ。
「ダークエルフ?」
「女王陛下に王配!? 本当に二人なんですか!?」
「あ、はい。えっと……誰だっけ?」
「ネフィア。探索隊だ。名前はグルーメ」
「な、なんでお二人ともこんな場所に!?」
「グルーメ、すまないが落ち着いた場所で情報を交換しよう。君がそれに乗ってる事も、俺らが襲われた事も。ネフィアがいることもな」
「すいません、取り乱して。わかりました……では、ここではあれなので場所を移動します。お願いします『鴉』さん」
「もう一人誰かいるんですか?」
「女王陛下。『鴉』はこの機体の人です」
「?」
私は首を傾げ、それに「後で話します」と言いながらまたゴーレムに入り立ち上がる。そのまま、手を差し出し私たちは荷物を取りに行ったあと、空いた扉に荷物を投げ込んだ。そして私たちは肩に乗せて貰う。そのまま肩の上でゴーレムが歩き時間にして数時間移動すると、一つの大きい大きい穴が空いてるの見えた。
「ネフィア……これは……驚いた」
「ええ、驚いた」
肩の上で穴を覗くと、厚い厚い雪の壁の穴に蒸気が上がる建物郡とパイプで組み立てられた都市が見えた。パイプ先は全て穴の真ん中に集まり、大きな塔の煙突が煙をあげている。金属音が響き。重々しい都市の風景に言葉を私は数秒失う。
「ネフィア……ちょっとさぁ……俺達。なんかすごい所に来たな」
「う、うん」
冷えた体に熱が生まれる。私は目に焼き付けた、こんな極寒な地で熱を生み生きる人間たちの都市を。




