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人を拒む未開地①


 私は女王ネフィア・ネロリリス。英魔共栄圏共和国初代女王を拝命し、英魔族悪魔神族婬魔族が種族で、性別は元男で今は女だから魔王と言う性別だ。そんな私は紆余曲折あり、王配の人間勇者トキヤ・ネロリリスと結ばれ悠々自適な生活をしていた筈だった。そんな私は仕事をする王配である旦那のトキヤに会議に呼ばれる。


 もちろん、了解して暇をもて余した私はトキヤの言われるまま会議室に顔を出す。族長たちは満面笑みで待っては……居なかった。リザード族長が若きオーク族長に迫っていた。


「クンカ王子を金で引っ張った事、個人で調整した事に関して俺は異議を唱える」


「王子が選んだ事をグチグチ言うな、リザードの兄貴。金が欲しいと相談を受けて出せる金額を既に知ってたからすぐに契約出来たんだ」


「俺らでも同じ金額を用意できた」


「運がなかったな。それに関してはこれからルールを決めよう。リザード族長として……悔しいだろうがな」


 オーク族長にしては珍しいスラスラと喋る。リザード族長は言い負かされたようで唸るしか出来ていない。そんな中でエルフ族長とダークエルフ族長も睨み合っていた。


「首都で2球団あるのはいいが、首都一番の座は我々が貰うぞ義弟よ」


「はははははは笑わせる。お前らは門を開けて多くの種族に開いた。我々は衛兵団のそれも黒衛兵になれる逸材の精鋭のみ。烏合の集とは違う」


「野球は軍隊じゃない。スポーツだ」


「いいや、戦争だ」


 ダークエルフ族長の厳しい硬派とエルフ族長の軟派で別れる。なお、軟派の方がいいとの声が多いが。それはそれ、衛兵団の一から厳しく鍛えられた選手も私はありと考える。難しい問題。で、違う問題で色々考えさせられる話をしているのはセレファ族長とスキャラ族長だった。


「……あの4人本当に資金潤沢ですねぇ」


「私、あんなにお金がかかるなんて思わなかった」


 二人は資金繰りに苦労したと聞くそしてそれはまだまだ続くようだ。何故なら二人の都市領土は狭く、発展途上であり。そして………4つの族長より資金は全く違う。ダークエルフ族長はこの首都を事実上、権力持っているためただの衛兵長から大躍進した。私のお陰らしいがまぁ運が良かったのだろう。


 そんな会議室の風景を私は「平和だなぁ」と思う。


「おい、ネフィアが来たから席に座れ。ネフィアはOKしたから説明を」


 トキヤの号令に私たちは座り、話を伺う。もちろんエルフ族長が話をする。


「おっほん。では、女王陛下には『未開地』へ旅立って貰います。トキヤ王配と一緒にあの我々が静かに線引きしているサイレントラインのその先へ探索お願いします」


「………ふぁあああああああ!?」


「ネフィアうるさい」


「ふぁああああ!? トキヤぁああああ!?」


「旅行、行きたかっただろ? 喜べ、珍しい外出許可だ」


「トキヤ!? はめたなぁあああああ!!」


「まぁ、静かにしろ。どうぞエルフ族長」


「はい。探索目標ですが『英魔国内で出発させた精鋭の募集した極秘先発探検隊』『無法の冒険者』『募兵した探検家』たちの生死を確認してください。特に『精鋭の募集した探検隊』をお願いします」


「ああ、ユグドラシルちゃん言ってた話しはこれかぁ……生死ってあんな膨大な広い土地探せないよ」


「はい、そんなのはわかってます。だから『女王陛下の運と勘、頼み』なんです。誰一人帰って来ていないため、これ以上我々は国民の犠牲者を出せないのですよ。例え、遺言が書いて出発しても。家族は待っています」


「それってもう。『お手上げ』てこと?」


 エルフ族長は頷いた。そして、ダークエルフ族長が会話を引き継ぐ。


「女王陛下にお願いするのは『最終手段』です。要はここにいる族長では……俺たちでは全く歯がたたない。だから、『女王陛下が居ない状態の英魔国の危険性』を賭けても………部下の命を大切にしたいと思ったのです」


 私はその言葉に人命第一と言う考えが読み取れた。探索隊は覚悟してるだろう。だけど、だからと言ってここにいる族長たちは「見捨てる」事ができなかったのだ。


 見捨てる事が出来ないならきっと考えて話し合われただろう。どうすればいいかを。そして、その結果にミイラ取りがミイラにならない方法で私が選ばれた。


「最強の冒険者を募る案で『女王陛下でいいじゃんん』と言う話になり。救援者の回復魔法や寒さに対する炎の魔法使いが必要で『女王陛下でいいじゃん』となり。救助隊をわからせるため目立つ人がいいと言う事で『女王陛下でいいじゃん』となって。そして、トキヤが説得する流れになりました」


「わぁお、私って凄い適材適所」


 私の話にトキヤが乗っかり「ネフィアは俺がケガしたり色々な事で救援として最高の人材になっていったもんなぁ」とウンウンと頷いた。


「なので、どう考えても『女王陛下が一番の適任』と言う話になりまして。トキヤと一緒にお願いするのが我々立場です。どうか……女王陛下自ら。苦難の旅に旅立った同士。英魔国民をお救いください」


「「「「「「「お願いします女王陛下」」」」」」」


「わぁお、これもう断るの無理な流れじゃ……」


「探索隊の兵士家族に『女王陛下が助けに行ってくださります。覚悟はしておいてください。ですが必ず、女王陛下なら何かを見つけて来てくれます』と説明済みです。もう泣いて、お願いされました。極秘なので誰にも言えず無事を祈る家族の心はもう大変な想いでしょう」


「くぅ!?」


 族長たちは決定し、勝手に私が逃げないように手を打った後だ。だから私は最後の反論を言う。心苦しいが。


「エルフ族長の奥様が居るでしょう!! それに英魔国を留守にしてはいけない」


「留守問題は『女王陛下が異世界へ行くこと』で一度我々は切り抜けました。その時にフィア義姉さんには大変活躍して貰いました。最強で最高の影武者です。ご安心ください。それに……女王陛下が未開地へ旅立った噂はそれとなく流します。流しても英魔国内は荒れませんでした前回」


「うわぁ、なんでそんなに安定してるのよ」


「族長が9人も居ますし、我々の下に族長以下の族長領内選出議員も居ますので安定したんですよ。女王陛下は権力者ではないんですよね。実は」


 そう、私が国の方針を決めているわけではない。どちらかと言えば助言のみ。何があるかと思えば権威のみで魔王と言う立場だけである。しかも、魔王と言われるのは稀で「女王陛下」と言われる方が多い。魔王言うのは英魔国民外が魔王と呼称する。


「私に拒否権ってもしやもうない?」


「女王陛下、裁判所で争ってもいいんですよ? 女王陛下が素晴らしい反論と代替案があればですが」


「くっ!!!!!!!」


 頭を抑える。首都の女神裁判所で命令が出されたら私は従うしかない。それだけ強制力がある。法を強くした結果だ。女王禁止令なる物がある時点で私には本当に拒否権がない。まぁ、あれは……跡取りが『バカな子』でもなんとかなるためにある物らしいが。


「わかった。行く!! 行くよ!! 旅行じゃないのに怒っただけだから。一応、出発者リストは見せてね」


「はい、わかりました。10人ほどの指名手配書を用意します。また、装備に関しては雪国の装備でお願いします」


「雪国装備?」


「ネフィア。俺は大剣を置いてナイフ数本持っていく。ネフィアも火剣と白金の物は置いていく。金属が冷えるし皮膚にくっつくからな。だからほとんど無防備だ」


「まじで、魔物もいるのに?」


 未開地はヤバいと言うのが一瞬で理解出来た。無力だ。


「そして、サイレントラインと名前がついてる理由は実は別の意味もある」


「なにか?」


「魔法が使えない。または極限に魔力が低下する線があって。そこでは熱も奪われるからか雪と地面の境界が出来ている。地面側は暖かいのにライン越えた先は極寒と空は雲に覆われて続けていると言うおかしい場所も見受けられた。だが、魔石など固形物は影響が少ない実験はそこで行われた」


「そ、そんな魔境があるなんて」


「そう、あるが誰もその線を越えなかった。だからサイレントライン。静かな線引きがあったんだよ。だがな、その先に……確かに昔の文明の利器や何かがある事は予想ついてるんだ」


「え、あるの? 何か?」


「ああ、世間を騒がせる『遺物』に昔の地図と綺麗に残った写真があった。昔はあんな感じではなかったらしい。そして危険が孕んでいる可能性もあり……それを目を閉じて待つ事が英魔国の学者は出来なかったんだ」


「『遺物』は危ないもんね……最近、本当によく出るね」


「戦争なくなった結果。傭兵が溢れて、英魔国内自由に動けるから探検、冒険者が溢れてるんだ。冒険バブルだな。過去の財宝も見つかってるし。あのガルガンチュアも『遺物』からのヒントだ。人は空を飛べる道具で飛べるってな。海側のスライムは自力で見つけたけどな」


 本当に発展が目まぐるしい。しかし、私はそれを知っている。何故、発展するのかと。


「だいたいわかった。で、その見つけた物も見せてくれるの?」


「もちろん、エルフ族長見せてあげてくれ」


 エルフ族長が透明なガラスに封じられた写真を見せてくれる。綺麗なカラーのそれは……過去に見た事のある。「不思議の国の本の世界、もう一人の千家時也がいた世界」で経験した世界に良く似ていた。だからこそ私は一つ思い付く。


「あの世界があるかもしれないのか、あの未開地の先に」


 私は背筋が冷える。あの日、あの時、あの経験が今になって追いかけてくる感覚にただならぬ運命を感じながら。













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