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年末の魔王様⑥


 昼食会、ただご飯を食べるだけの時間。日頃、私が何を食べているかを知る機会を設けた。私は寒いので鍋物をお願いし、オーク族長の全て用意してくれた「豚」「人参」「ごぼう」「大根」「長ねぎ」「こんにゃく」の具が入った。ダシ味噌で味をつけた物を啜る。


 主食もオーク族長領内のお米である。質素であるが漬物と一緒に食べれば問題ない。「女王陛下がオーク族長の陣中飯が好きだとは思わなかったぜ」とオーク族長も驚いていた。まぁ、今は戦い中と言えばそのとおりだが。


「トキヤも好きですよ。陣中飯」


「そうだな。まぁ、味噌が好きだからな。昔はトロールとオークが門外不出で全く出回ってなかったよな」


 私は啜りながら、悪意を感じとる。辛味を感じ、舌の上に変な味が混じる。毒が入っていた。


「あっ、毒が入ってる」


「ははは、ネフィア。本当に?」


「変な味が混じってる。悪意も含んでる」


「ネフィア、だからって飲み干すな」


 空気が一瞬で「ピリッ」とする。慌てて族長達が衛兵に指示を出して……驚く言葉が出た。オーク族長が叫ぶ。


「毒味してないだと!!」


 衛兵が言い訳で「忙しくてそこまで確認していません」と述べる。もちろん、私は飲み干し。私用に用意された鍋からおかわりを注ぐ。


「女王陛下!! 食べてはなりません!! フィア!! 追憶でこの鍋の出所を追ってくれ!!」


「えっと……料理人が一人。単独犯みたい。逃げようとしてる」


「バルバドス捕らえろ!! 女王陛下はそのままお椀を置いてください!!」


「やーだ。ずずずず」


 今さっきの変な味はしない。ごぼうがうまい。


「ネフィア、お腹空いてたんだなぁ」


「全力投球、女王陛下質問コーナーをやってるんのよ? そりゃぁそうでしょ? エネルギーカツカツよぉ」


「まぁ、でも。毒だぞ? 大丈夫か?」


「塩も量で毒だから。量を飲まなければ大丈夫でしょ? たぶん、塩のが毒」


「そうだなぁ、砂糖も危ないな」


 私は本当に味噌が一番の毒と思う。


「そこの二人!! のほほんとしない!! ダークエルフ族長が捕まえて来ました!! すぐに処刑します!!」


「待ちなさい」


 私はエルフ族長を制止し、犯人を連れてくる事を言い渡す。すると一人の悪魔が縛られて、私が座っている場所に突き出さる。悪魔の青年は角が大きく。立派な悪魔なのだと思った。皆が武器を持って左右で座り、威圧感を出しながら睨み付ける。


「ちょうどいいんじゃない。皆が見てますし……なぜ犯行に及んだがを聞きましょうか? あと毒の証拠でもあるんですか?」


 ある異世界毒飯わからず完食事件を思い出していた。証拠と言ったが……有能すぎるのか見つけて来てしまった。3本の薬瓶が私の机に置かれる。証拠不十分と言うには難しいようだ。そして、エルフ族長が叫ぶ。


「証拠もあり、明確!! 情状酌量の余地はありません!!」


「なお、面白い事言うけど。実は裁判所があるから判決はそっちで決まるので私もあなたたち全員に彼を裁く事はできませんよ?」


 族長たちの顔に驚いた顔とそのとおりだと言う顔の二種類があり、私はトキヤを見ると笑っていた。


「流石、ネフィア。わかってるな」


「いや、そう言うの作るって皆で判子押したよね?」


 何人か顔を背けた。ああ、これは忘れてるなぁ。そしてエルフ族長もまた顔を上に向けている。そして問いかけた。


「なんで女王陛下は彼をここへ?」


「現行犯に聞きたいじゃない。『動機』をね」


「なるほど。では、何故毒を持ったのですか?」


「……」


 男は黙秘し、私を睨む。嫌われている雰囲気に私は考えた。悪魔族に恨まれるのは心当たりがある。そんな中でエルフ族長の妻である彼女の口が開いた。


「元々、女王陛下を殺す側近側の悪魔族です。犯行動機は悪魔族冷遇される事に反発と政策などの批判。反女王派で不幸になった理由として狙われてます。嫉妬もあるかと」


「……ちっ。婬魔の下級娘が」


 私は納得する。そして笑みを彼に向けて笑った。


「お馬鹿ね。私を殺してもあなたが幸せになることも、政策なども変わらないと思う。今の環境も変わらない。何故なら私が指示をしているわけではないし、私が全てではない。ここにいる族長の誰かが変わりになるだけで変わらないと思う」


 私はまだ空いていない毒瓶を一つ掴み開けて飲み干す。その行為に周り、犯行を行った悪魔さえ驚く。飲み干した瓶を置き。悪い笑みを浮かべて威嚇する。


「まぁ、一番愚かなのはこんな毒で死ぬと思う浅はかさよ。私を殺したいなら、族長5人を集めて軍を用意し、神を一人でも二人でもお願いして連れてきなさい」


 トキヤは私の行為に納得したのか座って見つめてくる。


「私はここに居る、逃げも隠れもしない。首はここにある。取りに来い」


 強くかかってこいと宣言する。すると目の前の悪魔が項垂れ、肩に力がなくなる。反発する私に対して堂々とし、毒も効かない事を見せたためにこれからは毒殺を狙者も減るだろう。


「ネフィア、もっと簡単に言え、族長たちはわかってない。まず、毒殺にしようとしたのはお前が強いからだ。戦って殺せないから毒殺で、ちょうど仕込める時期が来た。忙しいため衛兵の監視が少なくチャンスだったからだろう。じゃぁ、毒殺以外で倒すにはどうすればいいかと考えて毒殺しか選べなかった反魔王派政治暴力達成の努力家は失敗。しかも、毒殺できない。『全く手が出ないから、諦めろ』とネフィアは言ってる。わかったか?」


 トキヤが説明し、族長達が納得した。私は鼻を掻きながら頷き捕捉する。


「ごめん、もっと分かりやすく伝えるのが理学だったね」


「偉そうに言って伝わらなければ意味がないからな。でも、大体伝わっただろう。『魔石で毒殺される瞬間を見ようとした奴』にはしっかりと伝わったさ。無駄ってことを」


 裁判所が雇っている衛兵が現れて縛られた悪魔が連行される。そして私は予想を出す。


「まぁ、判決は重い物になるかな。計画的殺人未遂事件で」


 私はパンパンと手を叩き。誰かが見ているだろう魔石の先の英魔族に話しかける。


「皆さん、リアルの暗殺未遂事件。お楽しみいただけたでしょうか? 次は悪魔族長エリック夫妻にお話を伺いましす」


 私の言葉に族長の一部は震えた。「狂ってる」と言う言葉と共に私は年末の時間を浪費する。










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