年末の魔王様③
「では、一番目なので……基本お願いします。成りそめから聞きましょうか」
「は、はい……えっと」
リディアが口ごもる緊張と言うのが見て取れたがすぐにランスさんの言葉のフォローが入った。
「出会ったのは、今は大都市になってる場所で。真冬で水浴びをしていた所を目撃しました。元々、私は帝国内で仲間を裏切った者として国外追放の罰を受けました。父親母親に迷惑をかけて……ただ、旅をしている。本当に仲間を倒した事が正しかったかを自問自答する旅の途中でした」
その時に私は出会った。このイケメンに。
「そこで、水浴びをしている彼女に逢い。そして……餌ですね。捕まりました」
「………」ブルブル
リディアが震え出す。緊張ではない、真実を話されるのが辛いのだ。汗が出てるし、複眼の一個が涙目だ。
「餌としてまぁ終わるのだろう思ったんですが……こんな綺麗な女性に目を奪われて捕まった事。そして……色んな話をする結果。非常食として生かされてました」
「ひ、非常食なんて考えた事はないです」
「そうだったのか? でも確かにすぐに解放されたね」
「あのときは確かに餌としか見てませんでしたが……関わっていく間に立派な雄と認識を改めました。だから……時効です」
「なるほどね」
私は手を叩き話を止めさせる。
「はい、わかりました。変わった出会い方でしたね。では、質問時間です。この6面のサイコロを振ってください」
「これか?」
大きい四角のサイコロには質問が書かれている。それをランスさんが投げて転がし、質問内容が決まる。
「質問『ぶっちゃけ、怖かった事。恐ろしいと感じた事、嫌な事。負の感情を吐露してください』です」
私はランスさんを見る。リディアは恐る恐るランスの言葉を待った。
「ああ、そうですね。恐ろしいと思った事なんですけど。リディアはアラクネなので補食行動のように抱きつく事ですか? やはり体が大きく体重差もあり、体当たりみたいな感じで大変ですね」
「グスグスごめんなしゃぁい……」
「おら、リディアちゃん。泣くな。族長でしょうが」
「ははは、まぁ。色々、種族が違いますからね」
ランスの事になると萎縮するリディア。私は彼女にも質問内容答える事を要望する。
「えっと……私は不安なのは……浮気ですね。アラクネ族や昆虫亜人族内でも今は人間の雄に雌に魅力を感じると言うことを聞いてます。ですので……ナンパされるんです。嫌ですけど、昆虫亜人族は一回目は立派な雄を選びやすく。2回目は雄なら挑戦すると言うのがあって……嫌です」
「えっ……族長の旦那でも?」
「はい……いい遺伝子の取り合いがルールを無視するんです」
それにトキヤが外野から声を出す。
「持ち帰ったあの女王蜂の亜人の話しか?」
「えっ……ランスさん」
「待ってください!! トキヤ!! 君、あの時に断ったの見てたでしょう!!」
「さぁね」
リディアの瞳が変わる。
「糸でグルグル巻きにして持って帰ります」
「リディア、僕を信じてほしい」
「信じれない……だって……魅力的だから」
「嬉しいけど。流石に……信じないと……」
「うぅ……脅すの?」
「ああ、脅す」
何か弱みを握ってる気がしながら私はリディアにサイコロを渡す。
「リディア、帰ってから家族会議してね。はい振って」
「……うぅ。ネフィア姉さんひどい」
そう言いながらも振り、質問が出る。
「えっと『子供は作る作らない?』だね」
「それはもちろん作ります!! 月一で頑張って頑張ってます!! 酷いんですよ!! ランスさん、それを脅して怒ったらやらないと決めてるんです。足元見てます!!」
「ランスさん本当ですか?」
「……月一と言う約束ですので。それ以外は私の意思です。流石に毎日は無理ですよ」
「リディアちゃん、節操ないのはダメよ」
「……アラクネ族は」
「リディア……俺が聞いた話だと年一と聞いてるが?」
「あわあわあわ……」
何とも生々しい話であるが。私は頷き、トキヤが『時間だ』と囁く。
「おおっとお時間です。リディアちゃん、男は仕事もあるの休ませないとダメよ。嫌われるから」
「……はい」
「では、リディア昆虫亜人族長夫妻でした~」
私は区切り、次に来る族長夫妻を呼んだ。次の夫妻は吸血鬼と幽霊のお二人だ。




