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年末の魔王様②


「今年もあと僅かですが、今年は大事件が多くあり。気付けば大変な年になりました。しかし、皆様の努力の結果。国家破滅は起きておらず。新年を迎え入れそうです。ここの感謝を述べさせていただきます」


 私は一人、玉座のない王の間で正装。それも新しいドレス風の騎士鎧を着て剣を持ってたち短い言葉を述べた。だが、脇で見ている族長たちが時間を伸ばせと言う。口調も変えて男らしく言えと注文もあった。


「もっと喋れと言うのか? えっ、口に出すなって? 生放送? あのね、私は長々と講釈垂れる話は嫌なんだ。短く端的にがいいの。直立不動で動く兵のためにな。それに言葉を真摯に受け止めるのは……私より身近な恩師だぞ」


「ネフィア、あのな……予定時間でお前が30分挨拶が予定していて……」


「ささっと次に行こう、次の方が見たいでしょ? 甘った時間は私が埋めてやるわい」


「言葉に二言はないな……仕方ない、お着替えしますので少々、皆さんお待ちを」


 不満げだが、私の意見は通り。慌てて着替えて場所を移す。その間は衛兵募集、仕事募集の発表をギルドが行っていた。婬魔の奴隷解放による人手不足が目に見えて現れているためだ。衛兵はゴーレムに変わったが。ゴーレムでは出来ることがすくない。


 場所を移し、移動。移動先はエルフ族長の個人所有の野球場である。突貫工事により出来あがったグランドの御披露目であり。素晴らしい大きさに仕上がっている。人の姿で思うのは……一塁がくそ遠い。


「一塁遠い……」


「デカイ、速い奴基準だからな。ほらネフィア。グローブと来年へ向けてのボール」


 私は受け取ったボールを大きく振りかぶってスタンドへ投げつける。客席に当たり大きく大きく跳ねて転がる。儀式終了……そして……


「じゃぁ行くぞ。『ネフィア投球、打ち返せるか族長たち』を初めるぞ。捕手俺、守備は英魔族昆虫亜人族ミツハチ族の姉妹です」


 トキヤが紹介後、透明の羽根に黄色い綿毛のようなのを首に着けた亜人が登場する。小柄な少女の姿で守備につく。そして一際大きいお姉さんのような子が声を出す。


「しっかり守りなさいよ!! あなたたち」


 どうやら母親だ。彼女ら亜人種の生体はハーレムを形成する。だから姉妹なのだ。私もマウンドへ立ち。右手を回す。右投げの方が安定し、力一杯投げられるのだ。


「特殊ルールでヒットで打者勝ち、アウトでネフィア勝ち。ネフィア~練習投球しなよ」


「しなくていいよ。すぐに暖める」


 私はすぐに始めようというと……トロール族長が細く長いバットを持って現れる。大きさはトロール族長の手に対して棒みたいなバットだ。ただ表面積は大きい。筋肉隆々のトロール種が大きいバッターボックス左側に立つ。右打ちだ。


「えっ……ボールに対して大きくない? バット」


「ルール上、体の大きさでストライクゾーンとバットの大きさが決まってる。ボールは絶対同じだがな」


 ホームランばっかりさせられるんじゃと思うが……種族ごと体の大きさによって違うので仕方がない。


 ただ、体が小さいとストライクゾーンが広く。ほとんどストライクだろう。逆に遠くへ飛ばせる能力が高いらしい。


 塁に出やすい小型種と一人で1点とりやすい大型種。そういう事だろう。逆に投手は大型種のがパワーあっていいのかもしれない。


 負けてらんないね。


「よし、行こう」


 様子見、私は背中を見せてそのまま投球に移り、足を上げて回転を加えるイメージと腕の鞭をしならせて打ち出すイメージで鍛えたフォームで投げる。投げる瞬間は巨岩を押し込むイメージで振り抜く。


 直球ど真ん中。回転数は低めでブレる。そして初級打ち。絶好球、しかし……


バキィ!!


 だから芯がずれてバットが折れた。表面積大きいし質量があるにも関わらずに折れてボトボトのピッチャーゴロになり、打球を拾って一塁に投げて終わった。


 そして……皆の顔から笑顔がなくなる。若いトロール族長が同じく若いオーク族長に耳打ちする。


「えっ? 怖い、どうして? 遊びでしょ?」


「来年、トーナメントするからさ。ちょうどいいんだよネフィア。球を見とくのにな」


 私はこの時、気が付いた。来年は皆は敵だ。そして……彼らは私に試す。勝てるかを。はめられた。勝負はもう始まってる。


「ネフィア、適当に投げてもいいぞ……なぁ、手札を見せない方がいい」


 トキヤの忠告。だが、私はニヤリとする。


「私から『打った体験』で自信つけられると困ります。全力で『一時の希望』を摘み取ってやります」


 その気なら……私は『絶望』を振り撒いてやる。そう決めて球を握った。






「つかれたぁ……もう無理ぃ」


 野球勝負は全勝。折れたバットも数知れず。勝てない打てない事を叩き込み。来年の布石へとした。終わった後に球場を後にして城に戻ってくる。


「ネフィア喜べ。魔石で見ていた視聴者を釘つけにして大好評だ。来年、ネフィアから打てたらエルフ族長が大金袋発表もしてお前を倒そうとする奴頑張ってるぞ。族長を越えるってな」


「うえぇ……休憩……」


 今は九大族長達による。集まりで何かをしている。それが終わったらまた私のターンだ。


「トキヤぁ……もうつかれたぁ」


「大丈夫だって。回復するだろ。族長たちも元気で大喜利して時間を潰してるし」


「大喜利?」


「東方の文化でも、オペラハウスでやってる。演者が間の時間を埋める方法。最後に演者で集まって閉める演劇だな。まぁ素人だから変な回答、身内回答ばっかりだから……まぁ新鮮でいいんじゃないか?」


「なるほどねぇ」


 私は休憩する中で奥から談笑が聞こえる。つい気になり、水を飲んで立ち上がって休憩所から私は顔を出すすると。皆は椅子に座り……四苦八苦しながらお題に答えて。木札のポイントを積み上げていた。お題を読むのがエルフ族長であり、ダークエルフ族長ががっつりエルフ族長を弄っていたり、セレファ族長がうまいと思わせる物など出る。


 そして……


「では次のお題です。あんな魔王は嫌だ嫌だと皆さんは言ってください。私が何が嫌なんだと言いますので、その後に続けてください」


 何か不穏な空気になり、ダークエルフ族長が愚痴る。


「あぶねぇお題だなぁ」


「はい、ダークエルフ族長」


「ふっざけんな!? 狙ったな!?」


 クスクス皆が笑ってる。そういう弄りを許されている空気なのだろう。


「何が嫌なんだ? ん? ん?」


「エルフ族長と抱き合ってる」


「「「「ぶぅううううう!?」」」」


 族長の一部が驚いて吹き出し。エルフ族長も慌てて吹き出し、私もおぞましくて吹き出した。トキヤは爆笑し、『奥さんと勘違いでやりそう』と言っていた。あり得ない事はないと信じたい。大事故で一部が震え出す。


「いつかやると思ってましたわ」


 スキャラ族長が口を抑えて悲しそうに言う。


「全く、婬魔の僕が言うのもなんだが……節操のない婬魔だね」


 悪魔族長もそう言う。結果全員が同意し、全員のポイントが没収されてケンカする。


「ネフィア、仲いいな……あいつら」


「ええ、まぁ好評だしいいんじゃない?」


 昔なら殺し合いしてたのに……本当にいい時代だ。


「ダークエルフ、ここで決着つけるか?」


「いいだろう。来いや!!」


 前言撤回、緊急彼らの嫁召還。





 嫁召還で事なきを得た。なお、そのまま……私のお時間だ。


「はい、女王の王宮のお時間です。族長は既婚者が多いので……ああ違う。族長の生活とかまぁ結婚するきっかけとか聞いて行きましょう。なお、目的は支持者に好感度を持って貰うため、支持者に顔を覚えて族長の立場を強固にするための政治作戦ですのでご了承ください」


「ネフィア……黙ってないと……」


 トキヤが外野から告げ口を言う。アウト判定者だ。


「喋らないとみーんなわかんないですよ」


 この夢魔から見せる事は一種の好感度稼ぎなのは確かである。族長は遠い存在となった、それはどんな人なのかを強固にわかり。そして……族長の選びに関わる。


 族長を決めるのはその領民である。特に顕著はエルフ族長だった。知らなかったが信任は強い。そして……結構。他の種族の族長って謎が多いのだ。


 何故、私が魔王で有名なのは……実は研究でわかった事だが。英魔国内練り歩いたのが効いている。あれで顔を覚えたらしい。今までは知らない魔王。私から知る魔王になったわけだ。


「では、一人目は新人のリディアさんとランスさんです。どうぞお入りください。紹介しますと英魔族内昆虫亜人族長、教会の大司教の一人として活躍し、ランスさんはギルド長と族長代理を兼任してらっしゃいますね」


 私は二人を呼び、座らせて話を伺う。出会いから、結婚までを聞き。夫婦生活を聞いた。そうこれが基本となるように。





















 



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