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女王の瞳④


 私は他の妹達に比べて夢魔の関わりが少ない。理由は私がお義父さまのエルフ族長以下の部隊ではなく。ダークエルフ族長側の黒衛兵であることが距離を取らせる。だけど……私の義姉とは今も深く繋がっている。


「ねえぇちゃあああん!! ヒサ”シ”フ”リ」


「うん。今さっきお昼寝で会ったね。元気だったみたいです」


 ピンク髪に大きいリボンを背中つけ、大きい両手の義手が特徴な子だ。義手には鋭い爪がついており、握りしめれる形にもなっており、質量と爪による切り裂きが得意な形をしている。小柄な体で大物を殺し削るために開発された彼女は今は……この土地で頑張ってる。


「それはもう。脳を握り潰してたよ。処刑人だからね」


 誰もやりたがらない極刑の執行者や、個人的に殺ってしまうのだろう。


「ねえぇちゃあああん、そんな顔をしてぇ、私が無差別に殺したのなんか~ねえぇちゃあああんに会ってからやってないよ。やれ言われた奴を一瞬で殺るだけよ。薬で気絶した子をねぇ」


「いいつけをまもってて偉いです」


「ふひひ」


 こんなにいい子なのに……皆は嫌がる。本当……わからないですね。彼女が威嚇するのも無視すればいいのに。


「姉さんだけだよ。威嚇しても無視してるの」


 読まれたかしら? 心を?


「まぁ……怖くないですから」


 女王陛下に比べれば怖くない。それにしても……


「そんな手でご飯食べれるの?」


 私は彼女の大きい義手を指差す。戦闘用に開発されたそれは異常に使いにくそうだ。


「出来る。姉さん食べさせて」


「……行きますよ」


「ああ、無視したぁああああ」


 私はクスッとする。甘えん坊な所が本当にシィを思い出す。シィは彼女の事が大嫌いらしいけど。私的には仲良くして欲しい。


「シィと仲良くしてほしいですね」


「……ええぇ……」


 そんな事を思いながら、道を歩いていると皆が避けてくれる。いい感じに人払いしやすい子だ。


「あれ、『破壊者』だ。隣に居る人は?」


「面白い情報だ……『破壊者』に使用人……」


 ただピンク髪が目立つためか道行く人にジロジロと見られる事だけは本当、有名人だと思う。それに意も介さないのは偉いと思う。


「有名人ですね」


「そりゃねぇ~やりすぎちゃったてへぺろ」


「立派に仕事してて偉いです。夢魔として誇りに思います」


「……じゃぁなんで女王陛下の遠征参加させてくれなかったの?」


「信用がないんです。暴れる、管理として一人つけなければならない。あなたの大きいリボンは暴力者注意の目印にしてるんですよ。暴力者なのでお義父さんは選べなかった。話も聞かないでしょうし、作戦に支障がでる。駒としては使えません」


「姉ちゃん嫌いになる。フォローないの?」


「日頃の行いです。ですが……ここを空けるのもあまりよろしくない。あなたではないと抑えられない化物多いでしょう?」


「ああ、お姉ちゃんみたいな? 暴れないでね? 勝てないよ?」


「勝てない? 戦う前から決めないでください」


「今さっき夢で……ほんの一瞬でボコボコにした癖に……」


 先に戦いと言ったので時間短縮のため全力で戦った。手加減はしない。


「だから、力に頼った正面はやめなさい。もう少し頭を使いなさい」


「……勉強嫌い。動かす方がいい」


「はぁ……わかりました。都市に長居するので訓練しましょう。体に覚えさせるのです」


「おお、仕込んでくれるんだ」


「ええ、私の勘が魔眼の窃盗犯に会いそうです」


「……姉ちゃん……また事件に巻き込まれるの?」


「……そういう性分ですから」


 暴力者と言われる妹さえ、呆れるらしい。本当に私は女王陛下の祝福を強く受けて強く呪われている。黒衛兵は皆がそうなっていくだろう。


 トラブルに黒い影あり。


「あっここ、ちーっす!!」


 妹に連れられて私は店に入る。人型用の店内であり、慣れ親しんだ首都のお店を彷彿させる。匂う香辛料に店の商品がわかってくる。


「姉ちゃん、ここ」


 予約済みと書かれた席に妹がつき、私も対面に座る。多くの労働者が一斉に私らを向くが無視をし、そして……妹は店員を呼び。注文をする。


「いつもの2つ」


「野菜多めのカレー2つと」


「アーム……あなた。偉いじゃない」


「カレーなら野菜で食べれる」


「あの、お連れさん。スプーンでいいですか?」


「はい」


 私は頷く。すると数分後にお米にかけられた野菜が多く盛ったカレーが運ばれる。作り置きのすぐに出てくる料理は多忙な労働者に人気だろう。カレーの穀物は長米種だろう。ここでしか食べられない本場の料理だ。


「いただきます」


「いただきます」


 私スプーンに手を取るが、妹はそのまま皿に口を寄せて長く鋭く平たい舌で器用に掬って食べる。手が使えない故に進化した舌に私、なるほどと思う。私もスプーンを置き、妹と同じように口で少し食べようとする。


「姉ちゃん?」


「うーん、難しいですね。人外の方法」


「……姉ちゃんはスプーン使いなよ。人型はスプーン使わない方が変だよ」


「妹と同じ視線でご飯したかったんですけど。ごめんなさい。スプーン使います」


「……」


「どうしました?」


 妹が食べるのを辞める。そして……少しして黙々と食べる。


「変な子」


「……」


 私は首を傾げながらカレーを楽しむのだった。







「ネフィア……晩飯のこれ、大変だったろ?」


「そうでもないですよ? 今は固形化された調味料と天使の売り場で売ってます。ただ、野菜は高いです」


「そうか……うまぃな。カレー」


「でしょう? 美味しいですよね、カレー」


「ああ……何故か懐かしい」







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