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英雄の駒①


 学園が出来たが学園の運営資金は学園内での知識や技術を売ることになっていた。授業受けるためにはお金がいる物。無料な物もある。そこなどは族長達も派遣した者達が取り決めし、巨額の資金元を集めようとしていた。


 その中で偶発的に始まったのが冒険者ギルドへの連携だ。冒険者ギルド内の冒険者は無法者などに技術や知識を与える。そして、あわよくば傭兵のように働く者も生まれた。そう、傭兵に新たな項目が生まれてしまったのだ。学園内の傭兵は学園内で手にした知識、力で学園外からの傭兵の仕事を奪い出したのだ。


 元々、魔法使いは多く居たし、彼等の救済案だった。その魔法使いの『魔法組』が発足し学園を根城に生徒を呼び込みながら魔法関連の派遣もするようになった。


 また、帝国元白騎士団所属のランスロットが盾と騎士剣の技術研究の『白騎士組』を作り出し。それに憧れる冒険者や昆虫亜人族などが生徒となり、その冒険者に護衛や警護の依頼をするようになる事が予想された。


 そしてなんと、私の旦那であるトキヤも先生として学園内に『黒騎士組』が誕生した。トキヤは嫌だと言っていたが、ダークエルフ族長と同じで名前貸しとなったようで教える方は違うようだ。白騎士は護り方、反撃、奇跡回復などの専門を、黒騎士は攻撃的な事を教えるようだ。なお、魔法組と同じ合同授業はあるらしく。基本は一緒の授業とのこと。


 そしてそして……我こそは拳で戦う者であると叫び、『組』を作ったりと細分化されて行き。数が増えて工事が多くなって設備投資が始まっていた。


 そんなのを報告で聞きながら、学園内での喧嘩も、問題も、忙しさも聞きながら……上の空でボールを追いかけていた。そんなある日の事。学園内を担当しているエルフ族が私の元に訪れた。


「女王陛下、学園内で流行っている遊びがあります」


「野球以外で?」


「野球もですが、別にです」


「興味ない。今からバッティングするの」


「そう言わずにご確認ください。学園の商品になります」


「……」


 学園は研究などでお金がかかるために商品開発で色々な挑戦をしていた。中には玩具も多い。


「最初はいったい誰が強いかと言う事で『組』同士の抗争を簡略化するために開発されたものです」


 彼は鉄のカードをチェス盤の横に置く。


「チェス盤を見ていてください……」


 私はそう言われて眺めているとカードの絵柄が輝きチェス盤の上にエルフ族が白く輝く弓を持って立って現れる。それはよく見た事のあるエルフ族長の姿だ。真面目な姿に驚く。


「わぁ、弓を持ってる」


「ええ、弓です。族長は柄しか持たず弓は持たなくなりましたが。女王陛下への信仰心で輝く弓を持つに至ったそうです。では彼に対して……ダークエルフ族長を用意します」


 今度はまた別のカードを使い。ダークエルフ族長が反対側に召喚される。そのままチェス盤ではにらみ合いが始まった。


「一応、今のダークエルフ族長です。レベルと言う概念がありますが……今はそんな事より戦わせましょう」


 エルフの成人がそう言うと……盤面で戦いが始まる。状況的にはダークエルフ族長の方が強いようでエルフ族長が負ける。それは見ていて面白い物だった。


「あーやっぱり、平面だし距離が近いもんね」


「はい、なのでチェス盤を森や平原などに変えて戦わせるとまた違った結果になります。このようにして『組』同士の戦いを見て変更するべきことや考え、体を修練してます。いちいち決闘しなくていいのが便利なんです。これを将を置いた物もあります」


「一応、チェスと言うの?」


「まぁ、駒ですので……あとこれをゲームルール化して、カードの強さを調整した物を売りに出しました。なので交渉です」


「はい」


「女王陛下、カード化してもよろしいですか?」


「ああ、いいですよ」


「それでは……この鉄のカードにお願いします」


「う、うん」


 エルフの成人が箱に魔方陣が書かれたカードを運ぶ。それを見ながら私は冷や汗をかいた。箱が運び込まれて来たのだ。一枚手に取り、魔力を流すと金色になり私の肖像画が出る。


「えっと……」


「カードに女王陛下の魔力を流していただきます。そのままカードが女王陛下の今を模倣し、過去を透視します」


「そうじゃなくって………その……何枚あるんですか?」


「初回限定販売なので10000枚。お願いします。最初の一枚は女王陛下がお持ちくだだい」


「一万!?」


「学園の財源確保のためお願いします」


 私は久しぶりのお仕事は内職だった。1万の鉄のカードを見ながら途方にくれる。


「あの………魔力流すだけなら……」


「念じて流してください一枚一枚。ちなみに装備も念じてください」


「は、はい……」


「私は次があるのでまた顔を出します。よろしくお願いしますね。給料出ますので頑張ってください」


「はい……」


 こんな予想外な所から、お仕事が来るなんて思いも寄らなかったのだった。給料で懐はちょっと潤って私はボールを買い足したのだ。





 後日……


「女王陛下の初回特典は大いに盛り上がり、一気に知名度が増えましたが、女王陛下が強すぎるため調整版の販売を行いますので……」


「う、うん……噂でも、トキヤがハマって野球版にしてやってるの知ってる……」


「びくびくしないでください……では、今度は簡単に念じず5枚いっぺんに魔力を流すだけでいいのでまとめて十万枚お願いします」


「ひん……」


「あっ、買えなかった人が多かったのでその暴動ではないですが喧嘩もあって……納期が近いんですぐに取りかかってもらっていいですか?」


「ひ、ひん」


「3日後来ます」


「………」


 私は睡眠を削りながら……5枚づつ作っていくのだった。







 

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