初の顔合わせ
私の名前はチャチャ。女王陛下に私は呼ばれ参戦する。私の黒衛兵へと続く夢を駆けるために……お呼ばれした場所に到着した。
空にある、その場所は何事も新鮮で……そして……私自身が場違いだと感じる世界がそこにあった。
「では、自己紹介。さぁ、ご存知のとおり、英魔国第一女王ネフィアです。ポジションは投手、外野手、内野手です。ヒッターはパワーです。野球の経験ありですわぁ~」
軽いノリで自己紹介を行う女王陛下に私はなるほどと思いつつ。女王陛下と野球するのかと染々、縁とは不思議なものだなぁと私は思う。自己紹介は最後でいいや。
「では、では、続きまして。英魔国内最高裁判員、刑務所長。裁きを司りますわ英魔の神族、エメリア。野球経験は1ヶ月。ポジションは三塁手希望です」
えっ……
「いやぁー初顔合わせドキドキしますねぇ。お仕事サボって来たかいありました~」
「サボって来たの!?」
「ネフィア、天秤置いてるから大丈夫」
「天秤?」
「力が強くなったので天秤を神器へと昇華しました。円滑に仕事をするため。だから、私はいらないのです。天秤が傾かない水平の時に私はいる」
女王陛下の知り合いならと思うだろうが。英魔国内で新設された平等に裁く最高の地に居る方が目の前にいた。非常に強力な法の者であり、非常に嫌われてもいる。特に特権階級だった方々に。
「では、次の方」
「あっはい。こことは違う異世界で女神失職中のアンジュと言います。ポジションは捕手、遊撃、二塁手です。外野もちょこっと」
私は何を聞いたのだろうか? 異世界? 少女のような体でフワッとした髪の彼女が私より幼く見えるのにその実は凄い方だった。想像がつかない。
「どこ守ってもそこそこなんですよね」
「ネフィア姉さんより、上手いよ? ねぇ、ポジション守れる? スタメンから」
「9人しかいないのでスタメンです」
「そっか!! 下手くそでも空きのあるところに入ればいいね」
「」
「」
私の見えない所で火花が散る。怖い。
「アンジュあとで、ネフィア姉もあとで、続きまして私はウィンディーネです。泉の女神しており、落とし物管理してます。海側の海難防止救助支援も行っております。はい……ええっとポジション内野手で」
水色の髪に軽装の鎧とバットとヘルメットを既に装備した彼女が笑顔でバットをふり回す。最初のインパクトが大きすぎて慣れてくる。女神様しかいないのではと思い……他の方を見る。男だけどきっと女なんだ、あの彼はきっと。性別魔王かな。
「では、緑の子。お願いします」
「緑の子です!! 名をユクドラシル・オーク!! 豚屋商会の令嬢です!! 皆さんの生活から、戦争の準備まで。この世の物をお金で、最高の品から下等品まで勢揃い!! そこのお兄さんもお姉さんも!! 豚鼻印の豚屋。よろしくお願いします。ポジションは理由があって外野がいいです。玉拾いにワンちゃん用意してます」
商売人のような宣伝と一緒に元気いっぱいな子、大商人の令嬢様であった。やはり、ただ者じゃない。
「じゃぁ、私からは以上!! です!!」
ビシッと決める姿に幼さを感じるが虎視眈々と目を輝かしている。そして……一際に天使の亜人と思える女性が声を出す。翼を閉じながら槍を携えている。
「ネフィア様の聖域を守護する堕天使族長ルシファーです。ポジションは……外野を望みます」
「槍をしまって来なさいよルシファー」
「盗まれるかも……女王陛下」
「盗まないわよ。はい没収」
「ああああ、神槍がぁあ」
女王陛下は問答無用で奪い。そのまま荷物置きに投げる。地面に刺さったそれを女王陛下は満足そうにしていた。
「100点」
「0点です!! 女王陛下!! 投げるの危ないです!! 投げたら浮遊島一個消し飛ぶんですよ!!」
「ごめん、ごめん……本当に神槍なんだね」
私は背筋を冷やす。なんと言う物を武装してるんだこの天使長は。
「まぁ、次の方~」
女王陛下が流すように話を振り、昆虫亜人の女性が答える。一際体の大きい亜人である。品がある所から見るにお姫様だろうか?
「えっと。昆虫亜人族長を務めさせていただいてますアラクネのリディアと申します。粗暴などございましたら教えてください。人成りを勉強中です」
「安心して、粗暴ばかりしかいないから。特にここの女神って言う存在」
「「「ああん?」」」
女王陛下が悪い笑みを浮かべる。バカにされたとわかる女神たちは睨むが、女王陛下が一つ二つ言うと押し黙り、説教が始まりそうになったあとリディア様に口を防がれる。
「私が押さえている間に次の方」
「はい、蜘蛛姫様。冒険者をやっております。スカシバと申します。昆虫亜人族です。初心者ですので何卒。王子共々、お手柔らかにお願いします」
「はい、私はクンカ・アクアマリンと申します。スカシバと同じく初心者です。何ともいいずらいのですが……こんな場に誘っていただきありがとうございます。恐縮です」
私は驚く。声からするに男性だった。そして……王子とその従者と言うこともわかり。アクアマリンと聞き、もしや彼が噂の冒険をする王子様なのだと納得する。
「………」
「先輩? 先輩の番ですよ?」
「………あっ、ごめんなさい。私は……」
私は自分の番に来て自己紹介を焦ってしまう。何て言おうか考えてなかった以上に私が場違いすぎると思えるのだ。
「い、一般人です。チャチャと言います……えっと」
なんて言えばいいんだろ? というか好奇な目線を感じる。
「クビになったお店で仕事中に出会った先輩です。はい」
救いの手は女王陛下からあった。そして……
「一般人?」「本当に?」「何か隠してるのでは?」
ざわつく、口々に私を詮索しそして……リディア様が手を伸ばす。
「ああ……ネフィア様の犠牲者ですね。これからよろしくお願いします」
「は、はい。よろしくお願いします」
何とか乗り切れそうか。そう思ったつかの間新たな問題が勃発する。
「では、チーム名と選手名を一緒に発表します」
「「「「!?」」」」
そう、ぞわっとする得体のしれない悪寒があった。




