新たな犠牲者は天使
私はある日、トキヤから花束を貰う。生花や造花の花束であるそれを貰い困惑する。ブーケだ。
「えっ、トキヤ……呪文や魔法の触媒で何をしようと?」
「ああ、違う違う……帰りに綺麗な店が出来てたから。しっかりした結婚式をあげてないし、犯罪者だったし、それにな……なんでもない」
「……うれしい。じゃぁ早速」
私は帝国の宗教的儀式でそのまま窓の外へと花束を投げる。それを見たトキヤが大きな声を出して叫んだ。
「ばっか!! ここ空だし!! 投げると下の方で誰かに当たるぞ!! 不法行為だ!!」
「あああああああああああああああ!!」
私は慌てて窓の外を見るが……花束はない。
「ごめん、忘れてた。うれしくて……」
「ブーケトスしたい気持ちもわかるが……まぁバレないだろう」
「そう、だね」
そう、空から花束が落ちるだけである。
*
キィン!! ギャアアアアアアン!!
トキヤはそのまま、仕事に行った翌朝から私は夜中からずっと続いている物音に違和感を感じる。剣劇と叫び声。複数人がずっと戦い続けている。私はそれを訓練ですと報告は受けているがそろそろ何か変だなと異常性を感じており。見に行くついでに新しいチームメイトを誘おうと立ち上がった瞬間だった。
ドゴォオオン!!
窓の目の前に傷ついた天使が壁にぶつかる。そのまま、口元の血を拭い。回復の奇跡が血を消して天使が復活する。ただらない状況は続き、天使数人が空中戦を仕掛けていた。
それも血ミドロの殴り合いの天使とは似つかわしくない堕天使の姿に慌てて外に出る。
「なにしているの!!」
私の怒声は蒼天の空に響き渡り、天使が槍を納める。その槍、槍にはサインが刻まれておりそして……それは彼女自身への個人の信仰として力を持っていた。それは名のある天使であり、その名のある天使が『個人』でサインをお願いした結果だろう。それが彼女らの新たな強さの指標となる。
誰のサインが一番、強いかはわからない。
堕天使と天使の違いは。天使は神に従う『従者』であり。堕天使は英魔の一種族と変異した。そして……彼女らは膨大な暇の時間を堕落させる趣味に没頭し、専門家を生む。まるで妖精のような遊び主義だ。
故にそれが『殺し合い』をしている。だが、天使は不滅に近い故に長期戦なのだ。逆に天使と違い堕天使は好戦的で貪欲であり……それは回復奇跡をかけながら槍が壊れても殴り続けるヤバい奴らである。
「女王陛下!?」
「何があったか説明しなさい!!」
「………」
天使全員が黙る。血の気が上がった表情から一変、怒られると思い青ざめていく。その中で一人の天使が飛来する。
6枚の天使羽を持ち、女神と姉妹を裏切った唯一の大天使ルシファーが私の怒声に導かれて召喚された。
「ふぁ!? なんですか!? えっえっ? 天使たちが臨戦に!? おい逃げようとするな。槍の錆びにするぞ」
ルシファーはそのまま青い髪と同じ青い毒槍を構える。何故かそのサインは『トラスト』。ランスさんの父にして、帝国の戦場で死んだ英雄の名前だけが刻まれていた。
「しかも!! お前ら!! 仕事は部下に投げて持ち場を離れてるじゃないか!!」
「くっ……潮時か」
ルシファーが睨むと天使女騎士は口を開く。指を差しながら。そこには見覚えのあるブーケがあり、私は一瞬で冷や汗が止まらなくなる。ここにいる天使は幹部クラスらぢい。らしい……ヤバい。
「ルシファー様、女王陛下のブーケでございます。それが昨日に投げ入れられ……我々はそれを知り。そして……ルシファー様以外結託し、誰が一番かを決める戦いに身を投じたのです」
「……女王陛下……本当ですか?」
「ええ、昨日、窓から……投げました」
「私に皆が黙ってた理由がわかったわ。私が出れば決着し私の物になる。だけど、あなたたちだけなら『根負け』を狙い続けて根性勝負でケリつけるつもりだったわけねぇ」
「ぶ、ブーケにそんな事するなんて」
「女王陛下……こやつらのサインを見ましたか?」
「槍の?」
「はい、この大天使たちは付き合ってる殿方がいます。天使の付き合う、結婚は昔ではタブーでした。しかし、今は……強くなる理由になるんです。何故なら私たちは女王陛下……あなたに下った堕天使ですから」
「ふぁあああああああああああああああ!!」
私は察して絶叫する。天使にはブーケは死活問題だ。何故なら手にすれば必ず『結ばれる』と言う願いが詰まっている故に『安心』するのだ。皆が不安がっている。付き合っている方々との関係を。私にはわかる。わかってしまう。堕天使の仲にはすすり泣く者もいる。
「る、ルシファーちゃん。ごめん、私が……」
「女王陛下……こればっかりは事故です。ブーケ私が貰ってもよろしいですか?」
「え、ええ……まとめてあげてね」
私は頭を下げたい。落ち込む天使に。
「……このブーケはお預かりします。天使の館に飾って誰でも触れるようにしますので。あなたたちは順番に触りに来るように」
「「「「!?」」」」
「女王陛下は愛に寛容、故にブーケには『個人』より『多数』のが効用あるでしょう。一室に設けますので著名して触りに来なさい」
ルシファーの英断は天使たちの歓声に包まれる。隠れていた。あきらめていた様子をみていた天使も喜び。私はこんなにも彼氏持ちいるのかと驚く。まぁ、羽つき人間みたいな物だからそんなもんか。
「ルシファー様!!」
「私は貰っても相手いないしね。相手はもう既婚者でそして……亡くなってるから」
ルシファーの言う彼に私は違和感が拭えない。何故なら彼女にその彼と関わった事がないんじゃないかと思う。しかし、彼女の槍の名は確かに残り続けて輝き続けて彼女を守っている。
「女王陛下……天使族のお騒ぎ。申し訳ありませんでした。私が罪を被ります」
「「「「ルシファー様!!」」」」
「持ち場に帰れ!! 邪魔!!」
ルシファーのその男気に魅せられる天使が残り同じように『処罰』を求める。私は……私も悪いので。なんとも言えない気持ちを持ちながら『不問』とした。
「私もあなたたちも悪い。この場に裁ける者はおらず。裁判所に迷惑かかります故に私が治めます。異義ある者は!!」
一斉に『なし!!』と言う号令と共に私は『解散』を叫ぶ。すると雲の子を散らすように天使は離れ、ルシファーだけが残る。
「女王陛下ありがとうございます」
「いえいえ……ごめんなさい。でも、ブーケをあげる対価貰ってないわ」
「何でしょうか?」
「ルシファー、野球しようぜ!!」
「…………!?」
私は忙しい仕事ばかりで嫌がる彼女を強引に勧誘に成功した。




