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英魔の名医


 その日、私は非番だった。


「女王陛下!! 大変です!! 天空の病院に襲撃者が」


「天空の病院?」


「はい!!」


 天使の一人が私に助けを求めて来た。その日、暇である私に来る緊急の依頼に背筋が冷える。そう……私に天使が助けを求めるのは並々ならぬ事件があった時なのだ。取り決められた私のお仕事は国家の危機である。


「場所は?」


「第1浮遊大陸です」


「総本家じゃない!!」


「だからです!! しかも相手は……我々に攻撃が通じます!!」


「……何者よ」


「……貧乏神と観測されました」


 そう、私は驚かされる。神と言われる存在が露骨に攻めて来たことに。そして現場へと向かい、霧を纏った黒紫に淀んだ髪を持つ化物に出会った。そして……彼女と戦う大天使との言い合いで私は察する事も出来た。青い天使はいない。


「……時間を稼いで。私は私で解決を導きます。青天使も呼んで」


 言葉は必要だ。何を求めているかを伝えるために。





 エルフ族長が耳を当てて誰かと会話をしていた。私はそれを盗み聞く。


「疫病神は?」


「……今、お繋ぎします」


「……うえぇ……だれぇ……気持ちわるぃ……おえぇ」


 苦しそうな声に私は疑問を持つ。数ヶ月前は元気だった。異常に……強く。天使さえ、困っていた。危機的な状況だったと言える。


「ああ、体調悪いのは『いい事』ですね」


「お、おう……いいこと……ああ、キツイな今日。皆健康すぎぃ……嬉しい限り。で、用件は?」


「エルフの里が疫病で絶滅しました。私たちはどうすればいいですか?」


「……ひえぇ。まじかぁ……なんで病院に来ないんだよ」


「人里と絶交してましたので……エルフの里って」


「アホめ……エルフだろ。この前の風邪だろうねぇ。はぁ……一応消毒するから帰宅する森の位置教えて……天使送るわ。外界から何かの原因で持ち込まれたかもねぇ」


「わかりました……遺体が残ってます」


「火葬で……一応、迷い込むんでしょ。病原菌の苗床じゃん」


「はい」


 連絡を聞きながら私は目を閉じてため息を吐く。


「エルフ族長……その故郷がね……」


「いえ、あまり気にしていません……逆に冷徹になっているので何処かで故郷とは思ってないのでしょうね。火葬してほしいそうです。女王陛下……焼き払ってください」


「わかった……」


 私たちはエルフの里に出た後に里を焼き払い。遺体もろとも焼却し……祈りを捧げた。絶滅したハイエルフの里に対して。呆気のない、里の最後に私は一つ学ぶ事となった。





 森の外へ行くと仕事服の天使二人に丸眼鏡のかけた小さい尖った角二本ある黒髪の少女が座っていた。彼女が疫病神だろう。あの日より縮んでいる。


「あーあー……おえぇ」


 病気のようでつらそうだ。


「ちゃちゃっと殺菌して」


「はい」


 疫病神がそう言うと天使たちは光を発して私たちに浴びせる。それが数分続きそして……疫病神が頷く。


「はい、おけ。消毒でけてる。帰ってええよ……」


「ありがとうございます。疫病神」


「ありがとうございます」


 私たちは御礼を言う。それに彼女笑みを溢す。そういえば名前は……


「ええよ、ええよ……好きでやってるからねぇ……女王陛下には多大な恩があるし……」


「あれは、当たり前の事をしたまでです」


「それが私にはありがたかった。疫病神やが……名前もある……異国での地でありがたい充実した生活おくらせて貰ってる……ぜぇはぁ」


「辛そうです」


「いやぁ……疫病神だから。反対の状況は弱る悪神。だけど消えたりせんから病気はあるし、逆に別神でもあるからね」


「……立派です」


 彼女は辛そうな表情を歪ませて満面な笑みを浮かべた。






 私はわかった。彼女が疫病神と。それは東方の地より疫病のお告げと力拡大のためにやって来たのだと。


 神は居る事を示した故に分かりやすく具現化したのだろう。ただ……


「そこをどけぇ!!」


 彼女には時間がなかった。理由は勿論、彼女のせいでもある。


「災い者よ、我が槍が通さず」


 そして……天使の警備長だろう彼女には理解もない。故に、私は羽をばら蒔いた。周囲に。それは二人を一瞬で視界奪い。私の声を通し、準備が終わる。


「部屋番は101号室……私が命じます。お通ししなさい」


「女王陛下!! しかし!!」


「1階は閉鎖、隔離してます。そこのあなたの待ち人がいる。罪人が」


 私は問うた。彼は語った。疫病神を匿った事で多くの物を英魔国内に入れたと。そして……彼女は霧になり天使を避けて建物へ向かう。不満げな天使長に私は近付き事の流れを伝える。


 彼女は理解してくれた。そして……天使は疫病神を最後に出てきた所を捕まえるために動き出し……その時には青い髪の大天使に任せて私は帰宅する。私は予想した故に……私が思う丸く納める方法で。





 彼女は辛そうな表情を歪ませて満面な笑みを浮かべた。


「女王陛下……」


 神が女王陛下と言うのも違和感がある。


「彼は生まれ代わりは英魔国内に?」


「……あなたが望むならそうなるでしょう」


「では、今度は死なせないように……健やかに……長生きしてほしいですね」


「……あなたを忘れています」


「私の罪です。私が……憑いたから」


 後からエルフ族長に聞いた話で……彼女は医師として、神の知識を授けているらしい。あの日、何があったかは私は知らないが。死に目に逢えた事だけは彼女のこれからで察し……私ではどうする事も出来ない病の存在を明確にする。


「……女王陛下」


「はい?」


「消毒費はエルフ族長からにします」


「……」


 世の中世知辛い。



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