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無一文の女王陛下


 私は外出の許可を痛みとともに勝ち取った。そして……久しぶりに都市の外壁に降り……私は……計られた事を知る。


「無一文です」


 一文とは昔の貨幣。東国の貨幣だったはず。それされないと言うことは何もないと言うことである。そう私は……お金がない。


「計られた……勢いのまま出てきたけど……お小遣いもらいそびれました。いや、トキヤは居なかったから……狙ってこの状況を?」


 非常にまずい状況である。


「お金を借りるなんて迷惑かけられないし……」


 だが、お金がないと遊べないのであり、散歩するだけではさみしい。外壁の外に広がる新たな整備されていく城下町に私は腕を組んで考え……一つ冒険ギルドに向かって歩きだした。空を飛ぶことは免許証がなければならず、おいそれと天井を渡ることも禁じられている。法が私を縛るがそれは普通のように感じれた。


「……国の運営うまくいってる所ではあるのですね」


 城下町をフードで顔を隠しながら歩き、チラチラと様子を見る。衛兵所などはでずっぱりになっており……忙しい事がうかがえる。自治権、この場所の賃貸はダークエルフ族長が持っているので安心ではある。


 昔から、ずっとそういう事をしてきた一族。ノウハウは他の族長よりも長けている。故に急成長したとも言える。金を払えば傭兵としても雇えると聞く。それも直接交渉でギルドを介さずに。


 では、ギルドはと言うと……


「……わぉ」


 酒場併設が基本だったギルドが、いつの間にか専売で運営している状態である。目の前に立派な木造の建物が立ち、看板にデカデカとギルド名が記されている。中を覗くと教会、社、神社と書かれた案内とギルドはこちらと言う案内があり。複合型施設なのがわかった。大きい大きい屋敷みたいな物かと思える。


「……なぜ、教会とか社なんて?」


 質問に答える旦那はいない。私は仕方なく掲示板や仕事を探そうとギルドの受付へ向かう……が……剣を持った衛兵に止められる。姿から、亜人。エルフ族ではない……こう。透明の羽根を持った亜人である。触覚もあり、わかるのは……昆虫族だと思う。


「すいません……女王陛下」


「!?」


 私はビクッと体を震わせ声を主をしっかりと覗くが……覚えがない。


「……えっと。人違いです。夢魔なので似てるんです」


「……申し訳ないのですが……わかるのです。信心深いのでハッキリわかります。皆にもバレております」


「……」


 心の中で叫びたい気持ちになる。これが有名になり弊害だ。お忍びもできない。空気読んでほしい。


「それに女王陛下のギルドカードで出来るお仕事はございません……」


「ど、どうして?」


「女王陛下が如何なる依頼を行う場合、9人の族長のうち5人の信任が必要です。ルールです……個人が女王陛下を利用することを禁じてます」


「……え……ええ……」


「ご不満はわかってますが……申し訳ありません。それに……つけられております」


 私は周りを見ると数人が私の様子を伺っているのが見える。物珍しい者を見るように。


「女王陛下……このまま裏から出てください。騒ぎになる前に」


「……分かった……でも、いいえ。お仕事の邪魔をしたわ。ありがとう」


「いえ、女王陛下と会話出来たこと……嬉しくおもいます」


 そのまま私は彼についていき。連行されたふりをし……そのままギルドの裏道から抜ける。一つわかった事は私を見つける事が出来る人がチラホラと居るようだ。


「はぁ、ギルドは先回りしてルール、規則をつけてる」


 生きづらい世界になっている。きっと知らない縛りが多い。まるで私を弱らせるために設けたような物。


「……力を持つとそうなる。そういえば皇帝陛下もきっと後世ではああも自由がなかったのだろうなぁ」


 故人を思う。故人は思い出して貰えるのが一番の祝福であり……そうすることで消えない、生きる。そんな事をふと考えながら頭を振った。


「だからといって賢者のように淑やかになるつもりはないかな。大人の女性はもうやめたやめた」


 人生楽しみたい。欲が勝ち、溢れる。いい年した大人でもあり得る物。『無欲』の女王とよく言ったものだが、権力に無欲なだけである。


「……だけど……どうするか」


 ギルドに職業斡旋さえできない。なら……私は考えながら歩き出す。表通りの人混みの中で……一つのお店を見つけた。従業員募集。衣食住あり。張り紙に目を奪われて昔を思い出す。


「……僥倖」


 もちろん、大きい大きい扉に飛び込み。お店の従業員。受付する獣人の娘にお願いする。繁盛しているお店なのか、テーブル席には多くの客人がいる。従業員は……女性が多い。衣装も凝っているが、衣装の張り紙があり、それは宣伝も兼ねている事が伺える。地図と一緒に広告が貼られ。多くの情報がある。店にいる人も種族はまばら……驚いた事にアラクネらしい女の子が働いている。


 昔は魔物と衛兵に詰められていた筈の種族。それが受け入れられている。


「働きたいのですが? 店長は?」


「あっ募集の張り紙見た方ですね。ついてきてください」


 お話を聞いてくれている人はどうやら私を知らないようで……非常に助かる。案内された場所は店内の控え室。そこで私は座り待つこと数分。中からオークの一人が顔を出す。どうやらオークの主人が店をしているらしい。


「……? えっと……こんにちは」


「こんにちは!!」


 違和感を持っている表情。だが、心が読める。私がこんな場所にいる筈がないと。


「えっとギルドカードはお持ちですか?」


「はい、これです」


 募集要項にギルドカード提示があった。ギルドカードによる……信用を大事にする店は多い。昔にトキヤに無理矢理取らされたカード。それは今も有効なのだ。逆に言えば……冒険者ギルドは多角的のスパイでもあり。要注意する必要があるとのこと。


 まぁ、英魔国ギルドは全て族長の傘下へと落ちたようだが。


「ちょっと確認……偽装はしてない。えっと……お名前は……」


 ギルドカード偽装を暴く魔法によって信用を得たあとに店長は大きく目を見開く。はい、バレてます。


「じょ、女王陛下!? 何故ここに!?」


「働きに来ました!!」


「いや、その……」


「お願いします。お金がないんです!!」


「女王陛下……噂の貧乏なのは事実なんですね」


 何かしら私に関して噂が流れているらしい。貧乏と言うより稼ぎ口がない。


「旦那の稼ぎを手にできないのです。オヨヨ」


「女王陛下。心中察しますが……」


「お願いします!! 働かせてください!!」


 オークの顔がひきつる。気持ちはわかる、わかる。けど、私だって引けない。椅子から床に座る。


「一歩も動きません!!」


「……うぅ……くぅ……はぁ……」


 オークの主人は苦悩する。苦悩し、そして頭を抱えたあとに頷く。床に座り目線を合わせようとする。


「女王陛下……一つ教えてください」


「はい」


「偽装せず、ギルドカードを出した事は何故ですか?」


「嘘は流石にバレるとおもいます」


「そうですか。わかりました……俺もお店をここまで大きくした自信がある。協力しましょう」


「あ、ありがとうございます!!」


「それで……一つ提案です。身分を隠して働いてくださ。簡単に騒ぎになります。あと何が出来るかを教えてください」


「給仕、洗濯、料理です。はい」


「……じゃぁ。給仕で様子を見ます」


 オークが立ち上がり、契約書と給仕の服装を見繕う。一般の給仕服だが。ちょっと違い可愛げある。昔は恥ずかしげもなく着ていたが……スカート短い。


「こんな給仕服しかないですが……」


「いいえ。がんばります!!」


 私はささっと着替えを済ませて懐かしさに身を震わした。帝国でやったあの日々を思い出して……あの店を懐かしむ。そして……黒歴史も思い出す。昔の私を思い出しては頬をつねって身悶えを抑えるのだった。




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