暗殺玩具
多くの出来事を経て平和な世を満喫する私は暇を潰すために『偽物』に対抗するために本当にあったことをかけれる範囲で紙に書いていた。徒然なるままにである。
「……そういえばこの世に……東方の読み物はあるかな?」
噂で聞く、東の国。海を越えた先の国だ。風の噂もよく聞くようになった。海を渡って『学び』にくると。学ぶ物があるのだろうかと私は考えるが……目に見える世界を見に来てる旅行者と言われれば納得である。
「生で見るのは新鮮ですから」
「ええ、女王陛下……そうですね」
「!?」
私は窓に目線をやっていたのをドアに向け、慌てて立ち上がり指を差す。
「ノックしろ!! エルフ族長!! ビックリした!!」
「申し訳ありません。陛下」
「……なんのよう?」
「そう、身構えなくてもよろしいかと……トキヤ殿は不在ですか?」
「……トキヤさんは眠っています」
今日は休みだ。だから、裸で寝ている。
「そうですか。これを鑑定してほしかったんですが」
ガタッ
「……これは? 魔法銃」
私は机に置かれた長い棒状の物に見覚えがあった。珍しく、そして……異様なそれは……珍しいと言うより異質な物。机に置かれたそれを私は手に持ち構える。アイアンサイトを覗く。
「女王陛下……ご存知でしたか」
「ええ……」
魔法銃、昔に私を暗殺しようとした者が持っていた武器であり……私を撃ち抜こうとした武器だ。詳しくはないが1点に貫通させる槍のような武器だが。
「でも、詳しくない。暗殺用の武器しかわからない……トキヤなら詳しいかも」
暗殺を生業としていた夫なら。
「ええ、お願いいたします。トキヤ殿」
「ふぁ、休みにうるさいと思ったら。グレデンデ……来てたのか……」
「トキヤ、これの詳しい説明を聞きたいそうよ
「……魔法銃か」
トキヤに筒を渡す。寝間着の上から眺め、レバーを引くと中から弾だ出てくる。カラーンと金属音が響き、それをトキヤは拾って眺めた。
「…………グレデンデ……これを何処で?」
「女王陛下の暗殺任務を請け負った者から、私の部下が拾って調べていた者です」
「ネフィアを狙った奴か……殺してそのままだったな、そういえば……」
トキヤが一つ一つ銃を鑑定する。
「魔法銃、弾丸は貫通力、威力を魔法を刻み高め。魔法の火で圧力によって押し出して射出する。しかし、威力を高めたとしても人型の頭を撃ち抜けるぐらいしか威力がない。人を殺すだけの道具だ。それに……大切なのは銃の魔法に弾を作るのも大変だ。魔力を込めて丁寧に作らないと傷も負わせられない。殺せる相手も選ぶ、狙いがうまくないといけない。製造が面倒で高い。だが、遠くから倒せる確率があると言う武器だな」
「なるほど、これで女王陛下を倒せないのですね」
「……ああ」
ガチャ!!
「えっ!? トキヤ!?」
トキヤは弾を装填し、私に向ける。そして……
バァアン!!
弾を射出し、私はそれをはたき落とした。
「あっぶなあああああああ!! トキヤアアアアアアア!!」
「叫ぶな。驚いた……叩き落とせるぐらいに遅いようだ」
「……これでは、オモチャですね」
「待ちなさい待ちなさい!! 当たったら死ぬでしょ!!」
「ごめんごめん。ただ死なないかな……だから魔法銃は欠陥だ。使い手の魔力に頼らないがそれまでだ」
「ふむ。では……そんなに脅威ではないわけですね」
「そうだな」
「では、なぜ……研究員は殺されたのでしょう」
「殺された?」
「はい。魔法銃を研究していた場所が襲撃されました。そして……私は夢魔の娘を使い状況を夢見。どうやら……魔法銃を奪いに来たようでした。研究員は魔法銃を隠し、地縛霊となり研究結果だけを残してもらいました」
「……きな臭いな」
「ええ、そして……今日……今、無事に終わりました」
エルフ族長が笑みをこぼし、報告を始める。
「娘により、襲撃者のアジト含む。魔法銃により暗殺を生業としている者たちの一掃が終わりました。そう、一般人には十分な威力があるのですね。魔法銃は」
エルフ族長は多くの夢魔を抱え込み。そして……今、この瞬間に終わらせたのだろう。
「……魔法銃を『専売』し、『独占』している組織がございますね。驚いた……英魔国内はまだまだ秘密が多い。お話ありがとうございます」
「解せないけど……お茶も飲んでいかないの?」
「娘たちが待っていますので」
エルフ族長はそう言いながら魔法銃を置いて去る。私は一瞬の事の裏で大きな大きな事件があったことがわかった。
「……魔法銃で暗殺未遂事件多発してたらしいな。暗殺に使うには……威力も低いのにな。なんで……使うんだろうな」
「便利と……トキヤのその楽しそうに触る理由でしょ。こだわる理由は時に不利益でも我慢する」
「……オモチャだな」
「ええ、オモチャですね」
私は過去の覇権を握ったであろう武器を眺めながら……銃で死なない我々は何者なのかと深く疑念を残すのだった。




