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多重諜報員


 私は……凄く息苦しい場所に居る。数人の男に囲まれて背筋が自然と伸びる。女王陛下の前とは違う空気感。重々しい空気の中で私は詰問される。


「サン……流石に緊張した表情だね」


「はい」


 女王陛下の作り物を提出したのちにすぐに呼び出しがあり私は廊下で倒れて眠りについた。お義母様の睡魔術と言う恐ろしい引き込みの力である。一瞬で昏倒させる。防御方法は気をしっかりすることだ。


「しょうがない……か」


 お義父様の優しい声と共に私は詰問する面子を見る。9人の長と代行。正夫である王配だ。知った顔も多い。


「……女王陛下が生み出したこれに関してだが。今は何本出来ている?」


「……10本。うち、私のが1本。試作品です」


 私は報告する。するとダークエルフ族長が思いを声に出す。


「9本……族長に一本ずつと考えるのが正解か? 試作品としてどうかと言った事か。サンライトお嬢の戦いも見た。その力を誉める以上に危険な物だ」


「女王陛下には釘を刺しました」


「王配からもお願いしよう」


「まぁ……た。俺が……」


 トキヤ王配殿が頭をかきむしる。だが、必要な事なのだろう。そして……私は金髪の王子様のような綺麗な顔の騎士様と目があう。昆虫亜人族長代理ランスロット様だ。人の身であり、亜人族長と結ばれた人が口を開く。


「戦いの中で見た刀身は聖剣に良く似ております。また、刀貨と伝えた所を見ると貨幣としての側面。誰にでも手にする事が出来ると思われます。トキヤ……」


「わかってる。わかってる。それは……非常に不味い」


「……どうしてでしょうか?」


 私は報告する中で女王陛下への否定に口答えする。浅い年もそんなに達していない小娘の私が口答えをする。


「女王陛下は皆に護れる力と考えてます。これを使い自己防衛力が高まると思います」


「鍛冶士の職を失わせる等、時期尚早なのだよ。サン」


 お義父様の静かな悟る声に多くの事が変わる物なのだと理解。私は黙する。


「……」


「サンと言ったかな。ちゃん付けでもいいかい?」


 重い空気の中で王配の優しい声が響く。それに私は頷く。


「はい」


「サンちゃんはネフィアを慕ってくれてありがとう。だがな……ああいう、型破りがネフィアだから。そういうのは多いんだ。全肯定はやめた方がいい。逆にネフィアでも間違える。それは……それで、いいことだ」


「……」


「君たちと変わらない。女の子だから、これからもよろしくお願いする」


「はい、かしこまりました」


 王配が指を鳴らす。それが合図なのか私の視界は一瞬で明滅し、天井へと視線は映る。そして……女王陛下の表情が見える。


「……?」


「廊下で倒れていましたので介抱しました。トキヤさんに言われたのでね」


 女王陛下は笑みを溢しながら私の頭を撫で頬を触る。


「ありがとう、庇ってくれて。見ていたわ」


「女王陛下……申し訳ありません。何も……」


「知恵を持つの9人が価値のある特徴。長所。利点を探し、価値のない特徴。短所。欠点を探すでしょう。私が考えるよりもよりいいものに出来ると信じます」


「女王陛下……」


「まぁ、内職は禁じられましたが9本は欲しがってるのでこれからです。崔は投げた。1か6かまたは100か1000か。どうなるでしょうね? まぁこれで通貨を武器にする発想が生まれいつかその技術も鍛えられるかしら。有事に金を集め剣とするより早いでしょう」


「……そこまでお考えですか?」


「考えてもわからない。まぁ衛兵の仕事も増えるでしょうね。でっ……サンちゃんへ」


「はい」


「一つ、眠れる女神をおこしに行きませんか?」


「……?」


 女王陛下の優しい笑みに私は小さく頷く。そして……空間に魔力が溢れ一人の男が跪きながら現れる。


「準備が出来ました故、打ち合わせに」


 魔王らしからぬ好青年の声が部屋に響き。私は慌てて体を起こす。魔王らしき方はそのまま椅子に座り、腕を組む。


「も、申し訳ありません」


「気にしなくていいです」


「ふふ、板についてきましたね。魔王として」


「ええ、おかげ様で……早く早く……終わらせたいので」


「では、おこしに行きますか?」


「……打ち合わせ後に」


 私に二人は視線を向ける。この場を離れるべきかと私は思ったのだが……どうやら違うようで私はそのまま立ち指示をまつ。


「彼女におこしに行って貰います」


「ええ、わかりました」


 私は静かにお辞儀と社交辞令。そして……自分の名前をこの世界の魔王に伝えたのだった。







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