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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
後日談~神を倒し、魔族統一を成した夢魔であり女体化の最強最悪トラブルメーカーの英魔族の魔王様。何故か世界を救う勇者兼白翼の天使と勘違いされて異世界転移してしまう……
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終わった手に残る感触


 天井。そう、天井だった。それも質のいい天井。まるで物語の姫様が寝るような部屋の天井が見えた。そう、あの戦場の空でもない。ただ……太陽が優しく部屋を照らしている。


「……」


 何も夢も見なかった。ただ、横を向けて頭が回る。聖剣が飾られていた故に。頭が回る。


「!?」


 私は布団から起き上がり、周りを見渡す。知らない部屋と知らない家具達。そして……私の相棒の聖剣。


「勝った……いいえ勝ったの? 本当に?」


 手を見る、そして……聖剣を見た。鈍い輝きの私が全く模倣さえ創造さえ出来ない聖剣を見て。優しく触れる。


「……最後……お姉さまは……なんであんな言葉を……」


 私は声の出ない姉さんの言葉を思い出しながら、胸に手を当てる。苦しい……苦しい。愛しい姉上を斬ったという事実が苦しかった。最後の言葉と優しい笑みに私は胸が焼けそうになる。そして、聖剣を私はそのまま撫でた。


 太陽の光で暖かく。そして頼もしい。私はその聖剣を抱きしめる。小さい体で抱きしめる。


 そう、この聖剣が私のためにあった。


「……お姉さん。わからない……わからない……どうして……」


 終わってから、私は涙を流す。泣けない筈の女神なのに私は涙を溢し続ける。


「なんで、この聖剣を私に託したのですか……」


 わからなかった。これがあったからこそ姉さんを斬れた。わからない。わからない。


「……………頑張れって。どうすればいいのよ……姉さん。どうすれば」


 もう、私はもう何も出来ない。身が裂けそうになるほどに私には姉さんが大きかった。いや、全てをそう。教えてくれたのは姉さんだ。姉さん達だ。


「私……恩を仇で返すしか……出来なかった……」


 そして……私に『愛』を思い出させてくれたのは姉さんだった。


「嫌、嫌……いやぁあああああああ!!」


 そして……私に『愛』を教えてくれたのも姉さんだった。


 こんなに辛いのに私は……戦った。我慢して戦い。そして……







 涙も枯れた時に……部屋に彼が来る雰囲気がし、顔をあげる。音もなくその人は立っていた。右目に眼帯を当て、彼は優しくその場で立っていた。


「……ま、おう」


「ああ、マオウだ、アンジュ。おはよう……」


「右目……」


「ああ、そうだね。それは些細な事だよ」


「私……私は……大切な……あの人を……」


 枯れた涙がまた溢れそうになる。だが、マオウはそれを拭い去った。


「……女神アンジュへ。親愛なるあなたへ手紙ですよ」


「……えっ? 手紙?」


「我が城へご招待します。ネフィア・ネロリリス」


 私は聞き間違えたのかと……その時、思ったのだ。思い……そして……手紙の直筆に見覚えがあり。そして……マオウの綺麗な左目を覗き込んだ。


「さぁ……行こうか。僕の女神さま」


 差し出された手を私は優しく触れる。













 









 



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