蒼天の霹靂
過去の私の記憶が漏れだし、過去で大きな戦いがあった荒野の世界へと変わる。無風で太陽の日差しが私を熱する。暑さを感じるが……汗はかかない。
キィン!!
そんな荒野で過去の私が剣を振るって来る。私を消そうと私自身を殺そうと迫る。その剣を私は大剣で打ち合い弾き返す。
私に雷が伝わる。だが、痺れを起こさず受け流して相手を睨み続ける。打ち合い弾き合いは異常に厳しいと過去の私は思ったのか距離をとり、息を吸い込んだ。何か来ると私は身を引き締める。大技の後の隙を突く。
「地滑り晴眼」
呪文か技名だろう事をボソッと唱えた昔の私の体から青い稲妻がはと走り、私の目の前から高速で右へと移動し衝撃音を伴って地面が抉れ。背後に立たれた雰囲気を感じ、勘で大剣を振り向いて叩き斬る。
だが、手応えはなく。脇腹に剣先が触れ私を斬り、そのあと複数の剣筋を受けた。流れるように速い剣筋に稲妻の速さを連想でき、大剣を盾にして猛攻を止めようと護りに入る。大剣に斬られる圧を感じながら、翻弄される私は唇を噛む。
「うぐ!!」
痛みはないが速いため斬られていく。しかし、私は跪くことはなく立ち続け、斬り口はすぐに治り。耐えながらほくそ笑んだ。
速い。だが、速いだけだった。その速さで多くの者を斬り伏せて勝って来たのだろう。だが、それは生き物。私は女神で人と違い、血が流れてない。斬られても生きている。そう、斬られても生きている。いいや、回復が上回っているのだ。魔力が霧散しない。
「……ぐ」
耐える中で、猛攻を切り開く方法を考える。避けられない一撃を……叩き込めればいい。だったらどうするか?
「……」
私は盾にしている剣の影でほくそ笑み。その行いで昔の私は攻撃を止める。何か来ることが勘で伝わり、身構える。その隙に大剣を捨てる。
「くる!!」
「……こない」
私はそのまま、剣撃のなかに体を入れ込み。切り傷を増やし、体を刃が通り抜ける。だが致命傷には至らない。切れ味がいい武器、そして私にとって不足分な武器による攻撃故にだ。身に雷が伝わるが……私には意味が薄い。
バチィ!!
「!!」
睨み付ける。足に力を入れ、相手の猛攻を行う素早さを真似し。雷が纏わりつく。眼孔を開け、相手をずっと睨み付けて笑う。昔の私はその威圧に足を下げた。
そう、押す攻撃が引く攻撃へと変わり。防御を意識しだす。動きのキレも悪くなり、私はその女神に肉薄し手を伸ばす。
ガシゥ!!
「……掴んだ」
私はか弱い細い首を掴み握りしめて逃げないようにし、身長差を埋めるように飛んだまま左手をあげ。虚空を掴む。イメージは使い込んだ大剣。幅広い……鉄の塊。それをしっかりと掴んだ後。何もない場所から大剣が造くられる。
「そ、そんな!?」
「捕まえた!!」
私の腕を斬り、私は距離を離そうとする。だが、私は既に振り下ろす準備は出来ており。逆に離れたために大剣の刃のリーチちょうどの場所になる。柄で殴る必要がなく必殺の振り下ろしを私は行った。
ドゴコオオオオオオオオオオオン!!
空間が響く。鈍重のハンマーを叩きつけたような威力に目の前にいた昔の私は真っ二つ、半身が消し飛び。回復さえさせず、剣ごと吹き飛ばした。創造した大剣は砕け、逆にそれが散弾となって私と私に遅いかかり。刺って消えていく。
「……ぁ」
言葉を発する前に昔の私は散り、魔力へと霧散する。すぐに回復することもできないほどのダメージに復活が遅れだろう。その魔力を私は触れ、奪う。
「返して貰う。記憶を……今の私が」
傷口がふさがり、魔力を吸収する中で私は掌を見る。創造した大剣を思い出しながら。
「全く同じ全く一緒の大剣を創ったのに……非常に軽い剣でした」
投げた大剣を拾い、それに皮の装具を着けて背中に背負う。ずっしりとした重さを両足で支えながら私はいつの間にか青空になっている蒼天を眺める。戻って行く記憶を受け止めながらも……私はネフィア姉さんと出会った今の私を忘れることなく。過去の私を受け止めたのだった。
「……マオウ、ごめん。でも、もう一発殴らせて」
そして……起きたら彼と椅子に座って説教もとい。ネフィア姉さんからも何か言って貰おうと考えて目を覚まそうと念じたのだった。




