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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
後日談~神を倒し、魔族統一を成した夢魔であり女体化の最強最悪トラブルメーカーの英魔族の魔王様。何故か世界を救う勇者兼白翼の天使と勘違いされて異世界転移してしまう……
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女神とマオウ


 マオウは玉座でずっと私を待ち続ける。時間が経つなかで魔王の治める地が多くなり。いつしか海を越えた先を攻める覇道を進む中で。その中でさえ、マオウは待ち続けた。


 マオウの家臣はいつしか、覇道の大志を抱く者ばかりの荒々しい者たちへと変わり。大きく大きく土地を征服していく。ルールを設けては居るが……マオウの目の届かぬ場所はマオウは切り捨てながら。ただただ……魔王を演じた。


 そんな中で海の向こう側の噂や情報が流れ着く。


 二つ剣を携える。聖女の話だ。


 その噂から、マオウは一つ聖女に試練を課す。『聖女を倒した者が次の魔王になる』と刺客を用意し、煽動する。だが、耳にするのは聖女の武勇だけ。ただ、その報告を聞いた彼はほくそ笑み。静かに時だけ過ぎていく。


 その感情は何処か……非常に清々しいものだと私は感じた。今の世を終わらせたいと言う強い意志が伝わる。


 そんな日々に唐突に終わりが来る。聖女たる昔の私が城に攻め入ったのだ。飛ばされる前より、逞しい姿になった私が……玉座に顔を出す。


「来ましたか、アンジュさん。お待ちしておりました」


「マオウ……どうして!!」


 『どうして!!』と言う言葉に私は多くの質問が詰まっている気がした。私は彼の記憶を見ながら理解出来る。だが……理解もしている。マオウが簡単に言葉にしないことを。


「どうしても何も、自然に戻しただけです。あなたが女神で私が魔王。何も間違いはないです。覇道を進む私に、それを防ぐ女神。それだけのことです」


「なら!! 何故私に全てを教えたの!!」


「弱い者を刈っても民は認めてはくれない」


 嘘である。嘘しか言わない。仮面をつける。だから昔の私は苛立つ。欲しい答えではない。本心からの答えではない。だからこそ……剣を抜かない。ポロポロと涙を流す。


「……手を抜いて斬られるおつもりでしょう」


「……」


 マオウの眉が、顔がひきつる。不味いと言う気持ちで心情は相当焦っていた。だが、マオウは一瞬で冷静を取り繕い、声を出す。


「剣を抜かぬのか女神? なめられたモノだな」


「マオウ。本当に……お前のその行為は必要かえ?」


「土海竜……そこに隠れていたか」


 古い私の肩に黒いダンゴムシが顔を出す。そして……肩から飛び降り土海竜はマオウに近づく。


「お前のそれは……必要かえ?」


「……私が思うに必要と思います」


「お前……わかった。ワシはどうなるか見定めるだけにしよう……何を言っても情に動いたワシが悪い」


「……」


 沈黙が続き、古い私がボソッと溢す。


「……私……私には……できない」


「アンジュ!? そうか……育てた恩をそこまで……なら。仕方ない……」


 マオウが近づき、魔法を唱える。何十年前に私を連れ去った時の魔法であり。それは……刷り込みを消し去ったあの忘却する魔法だった。それに古い私が気付き、慌てて距離を取る。私は理解した。記憶を奪ったマオウの行動に。


「いやぁ!! どうして!!」


「……私には荷が重いんです」


「うぅ!! 私は……あなたを殺すなんてできない!!」


 マオウの魔法が弾かれる。強い意志によって、マオウの手に弾かれた余波で皮膚が薄く裂け血が滴った。そして……古い私はその場から逃げ出す。マオウは追いかけようとするが。目の前に竜が大きくなり土海竜が立ちはだかる。


「!?」


「……これしか出来ぬ。処すがいい。料理方法はステーキがいいの」


「…………」


「お前が手を出せない事、それが分かるなら。無理強いはいかんぞ」


「……少し方法と時間をかけます」


「頑固者め」


 マオウの失意が感じとりながら私は……一つの事実に背筋が冷えた。


 古い私は記憶を奪われていないである。















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