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ネフィアの1日..

 朝6時30分、起きるのは自由だ。しかし、私はトキヤより起きるのが早い。もちろん隣で彼が寝ている中での起床だ。


「ふぁあ~ん」


 欠伸をしたのち、彼の顔を覗く。何もない日は数分だけ眺める予定。愛しい人の寝顔を独り占め出来るこの瞬間が私は大好きだ。朝食を作りに起きるか2度寝をするか悩む。もちろん。仕事がないので彼の顔を見ながら2度寝をしようと思う。手を繋ぎ直して。





 7時30分、トキヤが起き上がったのを察知して目が覚める。大きな欠伸をし彼が背伸びをする。


「………ふぁあああ!! んんん」


 自分も合わせて起き上がる。


「おはよう、トキヤ」


「おはよう。朝食どうする?」


「うーん、パン焼くよ」


 私はベットから出たあと、寝間着を脱ぎ出す。


「なぁ、部屋分けないか? 着替えする間とか明後日の方向を見なくちゃいけないのは辛い」


「気にしないで見ていいんだよ? 見るの好きでしょ? 男はそういうの好きだから。それにもう……いっぱい見たでしょ? 隠れながら」


「見たけど……何故わかる?」


「だって、元男だし? それに私は婬魔。視線はわかる」


 私も鏡を見て変な気持ちになったのは過去の事。今は見慣れてしまった。美女は飽きるとはよく言ったものだ。


「それにトキヤに見られるのドキドキするし………見て欲しいかな。なんちゃって」


「やめてくれ。朝から目に毒だ」


「そうだよね。だって………トキヤの好みだもんね。色々」


「好みとは?」


「もう~白々しい。私は知ってるよ~何が好きかを全て」


「ないない、そんなのないって」


「ムッツリさん。女の子好きでしょ? それも、足が太めな。私は夢魔。わかるんだよ」


「……………早く朝食を食べよう」


「はーい」


 本能が告げる。朝食後に攻め続けろと悪魔がささやく。





 8時30分、トーストを食べたあと。本能通り行動する。


「ここたま!!」


「あー」


 両手を広げてトキヤに近付く。もちろん抱き締めてくれる。


「う~ん。落ち着く」


「俺は一切落ち着かないがな。今日は買い物がしたい」


「………デート」


「一人で買い物がしたい」


「私はトキヤの『好み』を知ってるよ」


「そうか、んでそれが何か?」


「『フェチ』て言うんだよね?」


「ああ、まぁ~言うな~」


「トキヤは胸が好きでしょ?」


「ああ、聞こえない聞こえない」


 彼は耳を押さえる。私はニヤニヤして話し続ける。


「胸でも大きいのが好き。手いっぱいで少しだけ溢れそうな、少し弾力のある胸が好き」


「…………」


 彼は耳を塞ぎ続ける。


「あと、ウエストは気にしないけど。おしりは少し大きい方がいい」


「…………………」


 頑なに耳を塞ぎ続ける。


「目が少し切れ長なちょっとツンとした感じがお好き。太股は女性なら細いのがいいんでしょうけど。男はちょっと肉がついてる太股がいいらしく。トキヤもちょっと肉がついてる私の足が好き」


「……………………………」


 聞こえている。目が泳いでる。


「えーと、身長は少し低めが好み。頭半分ぐらいちょっと下。私も小さい方が好き、包んで抱き締められる感じがする。トキヤもそういうのが好き」


「…………………………………………」


 露骨に目を逸らし出した。


「今、言った事を音の魔法で拡散しながら練り歩く」


「やめろおおおおおおおおおおおお!!」


「聞いてたんだ。ムッツリさん」


「畜生!! なんで的確なんだ!!」


「だって!! 鏡を見て自分の体を判断したらそうなんだもん!! 淫魔だぞ!!」


「くっそ………なんでこう。変態に聞こえるんだ。誰だってあるだろうに………」


「トキヤ、残念でした。デートしよ」


「はぁ、仕方がないな。いいぞ」


「やった!! でも、拡散しがら練り歩かないよ………」


「練り歩かなくていい!!」


「だって、好みは私だけが知ってればいいもん」


「慣れねぇ………慣れる気がしねえぇ………」


 私は勝ち取った。オドオドする彼は新鮮だ。そう……守攻は変わったのだった。







 12時00分。外でお散歩、外壁を練り歩き周辺の確認。


「お昼ですね」


「やっと、昼かぁ………やっと、昼かぁ………」


 疲れた表情の彼、攻勢は順調である。


「何を食べに行こうか?」


「お店は無くて、1件の酒場だけです。料理も品が揃えが悪いですね」


「そうか、でもそこしかないしなぁ………この都市は不便だ」


「ドラゴンフルーツ食べましょう‼」


「おやつだぞ?」


「いいんです。他に食べるもの無いんですから」


 私たちはそのまま壁から降りて酒場へ行き、お水を貰った後。ドラゴンフルーツを頼む。


「楽しいですね‼」


「………めっちゃ疲れる」


「大好きです!!」


「店で叫ぶな!!」


「大丈夫ですよ? 音は遮断してます」


「そ、そうか…………もうちょっと落ち着こう。な? な?」


「落ちついたら、何かくれるんですか?」


「あっいや………何もない」


「仕方ないですね。大人しくなります」


 これ以上は望まない。指輪なんて望まない。大丈夫。


 彼が一番だから。


「トキヤさん。実は………相談したい事があります」


「ん、なんだ?」


「傷が癒えましたら魔王城に向かいます‼」


「わかった。付き合うよ。絶対送り届けてやる」


「あっ、それは少し。その………食後でもう一度お話ししましょう」


「ん? いいけど………なんだ?」


「あ・と・で」


 私はウィンクして人差し指を当てるのだった。






 13時30分、食後。家に戻る道中。歩く人なんていない寂しい場所。


「本当に誰もいないな」


「竜人は少ないらしいね」


「まぁ、ここまで来る物好きは少ないだろうしな。で、話は?」


「魔王城に行くといいましたね?」


「ああ、言った」


「沢山、刺客と名声を得るため沢山の敵と出会うでしょう」


「そうだ、だから護ってやる。ん、どうした? 立ち止まって」


 私が立ち止まってそれに釣られて彼も立ち止まり振り向き私の顔を覗いてくる。


「………ありがとう。でもね、違うの」


 私は歩き出し、彼の横に並ぶ。


「最初は、背中を見続けていました」


「………」


 彼が私の独白を黙って聞いてくれる。空気を読み、聞き手に徹してくれていた。


「背中を見続ける。護られているばっかりは嫌になりました」


 彼の隣そこから。


「私を護って死別は嫌。私は共に歩いていきたい。隣で、ずっと」


 彼の隣から目の前にすっと出る。両手を後ろで結んで。スカートをはためかせた。


「だから、私は強くなります。背中を見続ける姫様とお別れします。何故なら私は魔王だから。勇者の目の前に立てれるように頑張ります。元魔王なんて言い訳です。魔剣の持ち主は私のまま。だからけじめをつけてきます」


「ネフィア………」


 自分は見た。目的のために努力する彼を。


「宣言します。目指す先は魔王を辞め。この都市でトキヤと暮らすこと。そのために魔王城へ行き、魔剣を彼に譲渡します」


「………俺はどうすればいい?」


「私の背中を見続けて欲しいです。背中を押して欲しいです。背中に居続けてください。振り向いたら安心できるように。あなたの横に並んでも遜色ないようになりますきっと!!」


 護って貰ってはいつか彼は命を落としてしまう。それを防ぐためには私が強くなればいい。


「…………わかった。約束しよう」


「ありがとう。もし、全てが終わったらここへ帰ってきましょうね?」


「もちろん。例え、道半ばで尽きようと君一人にしない」


「同じことをそのまま言います。私も、トキヤが折れた瞬間。この体を貰った炎の剣の鞘になります」


「それじゃぁ………護って死ねないな。生き続けないと」


「あまり怪我もしないでください。心配する女の子がいますから」


「善処する」



 私は彼に話をし意思を固めた。狙われる理由を消して望んだ平穏を手にいれるために。







 16時00分。体を鍛える。鍛えると言っても剣を振るだけである。トキヤは大きな剣を振りまわしていた。


 傷は癒えた訳じゃないだろうけど技は鋭い。嵐を纏っているかのような激しさの剣劇で本調子に戻ってきたのが伺い知れた。


「トキヤ。ちょっとまって」


「なんだ?」


 上半身を脱ぎ。体を鍛えた彼の汗を拭き取る。


「ちょっ!! 自分で拭ける!!」


「拭きたい」


「………わかったよ」


 彼が大人しく剣を置く。鍛えられた体は固い。男らしい、筋肉。ドキドキする。こんな体に抱き締められたんだと思った。


「気持ち悪くないのか?」


「トキヤだから全然そんなことない。嫌だったら一緒に寝てません」


「結構、尽くすタイプなんだな……」


「うん。尽くしたい」


 今までの事、これからの事を感謝してる。私を生かしてくれた人。恩人だ。


「かわいい女性にここまでしてくれるなんて贅沢な気がする」


「トキヤ、いきなり誉めないで………照れちゃう」


「はは、俺もそんなに照れているからもっと落ち着いて欲しい」


「こんなに屈強なのに。ほんと私という女性のことになると弱いね」


「数日で慣れろてのが無理」


「そうなんだ。じゃ………二人で慣れてこ。時間はいっぱいあるから。想い出をいっぱい作りましょ」


「だな」


「…………汗拭き取ったの嗅いでもいい?」


「そんな変態な事はやめなさい」


 タオルを取られてしまった。





 18時00分。汗を流すため、お風呂をトキヤが入っている。


 木の扉隔た先に彼がいる。脱衣場に着替え持って来た。脱いだ服を洗濯籠に入れ、声をかける。


「トキヤ、着替え置いとくね」


「お、おう………」


「背中、お流ししましょうか?」


「やめてくれ」


「一緒に入りましょうか?」


「悪化してる!! まだそんな時間じゃない。やめろ!!」


「男の癖に。私なら喜んで入るよ?」


「………痴女」


「いいえ。恥ずかしいですけどね。夢魔です」


「まぁいきなり入って来ないだけ有情だな」


「あっ…………そうすればいいのか」


「おい!! マジやめろ!!」


「うぶだなぁ」


「仕方ないだろ………好きなんだから」


 自分は顔を抑える。心臓の鼓動が聞こえてくる。


「ふいうち。よくない!! ううぅ……」


「あの………いつまでそこにいる気?」


「か、からだ拭くまで」


「自分で拭く!!」


 仕方なく。脱衣場から出るのだった。楽しいです。





 23時00分。何もなく。夕食をすました。トキヤは距離を取り。追いかけても避けられる。しかし、寝る前は同じベットに入ってくれた。


「おやすみ、トキヤ」


「おやすみ………はぁ疲れた」


「ふふふ♪」


「どうした? 機嫌が良いけど?」


「1日ずっといれました。寝る前に愛しい人の顔を見ながら眠れる事を女神に感謝します」


「黙って寝てくれ」


「はい。明日も幸せが続きますように」


「………安心しろ。続かせるから」


「大好き。トキヤ」


 瞼を閉じて、感謝しながら。眠りにつくのだった。





























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