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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
後日談~これからの英魔族たちのドクトリン~
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闇市番屋


 寒くなると思い。鍋物が食べたいなぁと考えて私は外出許可をいただき。こっそりとお出掛けをする。何かしらの物がないかを考えての外出だ。


「なんか良いものあるかしらね。あまり聞かないかも……」


 衣装は一般人に寄せ、角の飾りをつけ。化粧は紅のみにする。すぐ厚化粧ぽくなるためだ。そして、衛兵にお願いして許可を貰う時、慌てて顔を出したダークエルフ族長が駆け込んでくる。一つ二つ質問を返した。


「本当に護衛は要りませんね?」


「くどい、護衛されるほどにやわじゃない。私より強いのを寄越しなさい」


「……わかりました。では、これにサインお願いします」


「ん?」


 ダークエルフ族長が私に一枚の誓約書を用意する。内容を読むと『迷惑をかけない事を誓う』と書かれており。私はもちろんとサインをする。それに気を良くしたのかダークエルフ族長は一礼後にそそくさとそれを脇に挟む。


「ありがとうございます」


「はぁ……立場と言う枷は重々しいですね」


「それが我々にも言える事ですね。見られているのですからお気をつけください」


「わかったわ。でっ!! 鍋物したいのだけど何か良いところ知らない?」


「それでしたら、壁の外にある食品街『黒市』がよろしいかと」


「や、黒市?」


「戦争時の統治されない市場商品の売り場の名残です。壁の中で商売しようにも場所がなく。戦争時に集まった人向けに開かれたのが今では英魔族で国交が出来たので地方の豪商が集まって商売する場です。元々は商業都市からの落ち者なども集まっています」


「壁の中がいっぱいいっぱいだからですね」


「そうです。女王の近くに住みたい方々が集まり道路水道整備が急務で……驚くほどに壁の外側が発展しております」


 戦争が終わっての後。そんな流れがあったのかと私は納得する。


「でも、統治されない商業はあぶなくない?」


「昔の名残です。今は私の傘下です。衛兵団商業科であり……全権を私めが持っておりますね。黒市と言うのも兄上のエルフ族の壁内の商業街に対抗してです。そちらは『白市』と言ってますね」


「あなた、商売の才能あったの?」


「あるわけないです。やりだしたのも衛兵として国民いざこざの仲裁からでした。それが……いつしかお願いされてです。懐が凄く暖かいです。ですので球場はそこの近くに建てる予定です」


 ダークエルフ族長が照れながらも嬉しそうに報告を聞く。世の中の移り変わりが本当にわからないほどに早い。


「中々、凄いです。全土地の名産が集うのでね。特に海の幸が来るのに驚きです」


「ほえぇ~腐るのでは?」


「魔法や整備されている道があります」


「期待します」


 私は財布を持って、壁の外へ向かうのだった。





 壁の外。城下町の道路はまだ土で舗装されただけでありブーツでないと歩くのは難しいと思えた。大きな花畑が広がる土地はいつしか簡素な建物ばかりで少し自然らしさが消えていき。その簡素な建物も木の主柱に板を張って行ったものが多い。


 建築途中なのばかりであり、道路も穴を掘って凹の石を並べているし、色んな種族が沢山いる。人の形をした魔族や大きい昆虫の体を持った魔族など。多種多様で……本当に仲のいい声や喧嘩の声などの喧騒が私の耳に入る。


「本当に栄えるぐらいに人が増えたね」


 身を隠す事はせずに私は人混みを歩く。周りはもちろん目を向け距離を取ろうとするし、口々に私の事を……危ないと思い避けている人もいた。まぁ、ちょっとそれに関しては文句は言わず。もう、片手では数えきれない事件をお越してきてるのだ。『女王陛下がいる……もしかしてここ戦場になるのか?』なんて言われているのだ。飛び火の被害を避けている。中には手を合わせる者もちらほらいた。


「はぁ、人気者は辛いですね」


 呆れるほどに有名。だけど、距離を取ってくれるのでありがたかった。私も巻き込むのは心苦しい。


 そう、思いながらも鞄を背負っている私は近くの黒い刀の武器を持った巡回している衛兵に声をかける。道を聞くために。この衛兵は角があり、悪魔族ぽく肌の色は青い。


「すいませんちょっといい?」


「はい……じょ、女王陛下。こんな所で……巡視ですか? 巡礼ですか?」


「買い物」


「なるほど。黒市ですね。この道をそのまま行きますと看板があります。そこを右でして、その当たり一帯です」


「ありがとう」


「いえ。異常ありません女王陛下」


「それは良いことね。ご苦労様」


「はっ!!」


 衛兵が私に敬礼を行い。そのまま自分の仕事に戻っていく。私は教えて貰った通りに道を行き。大きな黒市番屋街という案内看板を右に進んだ。


 すると驚くことに、大きな道が広がり。石畳と側溝がしっかりと整備されているのが見てとれた。活気ある声と多種多様な種族の行商人にあの高潔そうなエルフ族さえも居るほど。栄えていた。


 吊るされたベーコンや、果物。何やらわからない魔物肉。そして……特徴な魚臭い潮の匂いもする。こじゃれた壁の店と違い。大衆化した簡素な建物の店が多く並んでいた。工事も行っており、まぁ。本当に人混みがある。


「うわぁ……帝国内の商人街並み……いいえ、それ以上かしらね」


 私の知らない世界。私の知らない場所でこうやって英魔は流れていた。全知全能ではない私にとって……非常に好ましい光景が続いていたのだ。


「……噂で聞いてたけど。壁の外は発展していってる」


 壁の外だから発展するのだろう。壁内では無理だから。逆に言えば魔物の心配もあるかもしれない。そこはどうしているかは私は想像することしかできないがきっと英魔達で解決しているのだろう。


「世界って本当に……広い」


 商街を歩きながら、私はそう思う。一人一人の人生、事柄など多くの物が混じり世界が出来ていると。商品一つ取ってもそうだろう。


「あっ!? あれは!? えっ!?」


 行商街を進み大きな大きな店の所で私は驚愕する。そう、大きな店の広場に吊るされた魚に見覚えがあったからだ。人だかりが出来てもなおそれが見えるのだから相当大きい。近づくとそれは建物と同じ大きさであり、私なんかは一飲みにされるぐらいだ。それがしっぽから吊るされていた。


「さぁさぁ!! 今から冬の旬の幸。見た目は変だが美味のアンコウ捌くよ!!」


 魚人の人が元気よく叫ぶ。もちろん、皆はこのアンコウがどういった魚なのかもあまり知らないらしく。不思議がっていた。


「アンコウ!! アンコウ!!」


 運がいいのか。私は目的の素晴らしい食材をすぐ見つけたのだ。数人かがりで吊るされたアンコウを捌き、それを大きな葉っぱでくるみ。売っていく。もちろん私もそれを人混みを抜けて頼んだ。


「すいません!! 一塊と肝ください」


「あいよ!! って!? 女王陛下!?」


「女王陛下!? まじか!!」


「おいおい!?」


 一瞬で広場がざわつく。様子を見ていた人も私を視認する。もみくちゃにはされないまでも視線を独り占めした。


「買う言うてるんだから。教えてよ。これとこれの塊ね」


「あっはい」


 まぁ私は気にせずに買い物を続ける。言われた額の硬貨を渡して水気を取ってもらい鞄に入れる。丁寧に安紙に美味しい料理方法も書かれた紙も配布されており材料も書かれたレシピを受けとった。


「ありがとう。ちょうどよかった」


「はぁ、女王陛下も魚食べるんすね」


「食べる食べる。これは鍋物にします。ここで魚を買えるなんて思いもしなかったです。いいですね」


「そりゃ~最近やっとでさぁ!! まいど!!」


 人魚の英魔から私はすぐに離れる。すると、後ろから注文をする人だかりが増えているのがわかった。なかなか内陸部で海の魚を食べるのは珍しい。どうなのか様子を見てたのがこぞって買い出したのだ。


「影響力あるなぁ~私は」


 その光景を見ながら私はその場から去り。鍋物の他食材を漁るのだった。





 ドチャ


 寝室兼自宅になりつつある城に帰宅後。膨れ上がった鞄を台所に置く。鍋物をする前に下ごしらえをするために準備を行う。鍋を用意しまずは湯を用意し……


「あれ?」


 私は鍋で湯を作った跡を見つける。いいえ、暖かい湯がある。それに紅茶の用意したあともあった。出る前に片付けていたような気がするので……気のせいのような気もするが。いや、イチゴジャムは片付いている。ならば片付けている。


「……なぜ?」


カチャ


「!?」


 私は物音がリビングからしたのを聞き逃さなかった。慌てて、誰かが居ると思い。その正体をトキヤさんだと思い声を出して顔をだすと……


「トキヤさん、お仕事早く片付いたんです……ね?」


「……ふむ。気付いたの」


「中々、早いの。気付くのが……勝手に紅茶をいただいてるヒントからかの?」


 頭が長く大きい男性に。簡素な着物姿の女性が一人リビングの椅子に座り紅茶を嗜んでいた。知らない人がいて慌てて私は体を隠して顔だけ出す。


「いや!? 怖い!? 誰々誰々!?」


「……ほう。普通の嬢ちゃんみたいやなぁ」


「いいや、そんな事ない。何故ならわかってるやろう」


「わかってるからこそ。意外やな」


 二人は私にはわからない事で話し合っている。勇気を出して言葉をかける。


「あのぉ……どちら様で?」


「妖怪、鬼のイバラキ。名をルリコと言う」


「妖怪。こっちでは魔族かの。ぬらりひょん。名をタカシと言う」


「ね、ネロリリス。名をネフィアです」


 私は自己紹介をする。そして……また何かヤバいのかと冷や汗をだし続けるのだった。

























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