表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
430/732

夜が始まる


 クイーンは誰もいない城壁に座り。日が暮れるのを待っていた。首都イヴァリースで衛兵が厳戒体制を敷く中の、ワイングラスに赤いワインを注ぎ、太陽を肴に口に含む。


 そんな彼女に悪魔の男性がゆっくりと影から現れて声をかけた。


「クイーンのあねさん……準備出来やした」


「……そう。なら、さようなら。組織も全部あげる」


「ありがとうでさ。それよりもあねさん……あんたは一体何者なんでさ? ここまでしてくれるなんて」


「そっか、そっか、人は知りたがる。知りたがる……けど。それが命とりよ……」


「……」


「まぁ、お酒も全部、気持ち良かったし、楽しかったから。教えてあげる!!」


 一枚のトランプを見せつけて真面目な表情で答える。


「クイーン。女王よ。それ以上でそれ以下でもないわ」


「……わかりました。組織、貰います」


「ふふ、じゃぁね~組長。王になれたらよろしくぅ~断頭台用意しといてね。女王の首を落としたいでしょう?」


 クイーンが自分の首をトランプでスッと斬る動作をする。ネフィアに似た女性がネフィアの首を斬る動作をし、悪魔の男性はニヤニヤと口を歪ました。


「………」


 しかし、何も言わず悪魔は去る。クイーンはトランプを捨て、笑みを作ったままワインを一気に飲み干しボタボタと溢した。


「ふふふ!! できる私ならね……できるわ!!」


 そしてそうこうしていると太陽が沈みきり、立ち上がった。クイーンはグラスを手から落とし、グラスがゆっくりと落ちる中で大きく大きく声をあげる。都市に届けるように。


「ふふふ!! はははは!! ようこそ!! おはよう!! こんにちは!! 我が名前はクイーン!! さぁさぁ始まりました残酷劇!! 彩りはたった赤1色!!」


 大きく声量は夜の風に乗り都市を覆う。夜の幕は落ち、誰も見ていなのを知りながらクイーンは石壁の上で踊り出す。


「染めて魅せましょう!! 石畳を赤い絨毯に!! 壁を赤いカーテンに!! アンコールは!! 皆の綺麗なお声を頂戴!! 大歓声は心地いいの!!」


 語りかけるように、大きく手を広げてクイーンは翼を広げる。


「さぁ!! 怖い怖い悪夢の始まり始まり!! さぁ笑いましょう」


 ガラスのグラスが地面に落ち、破片が散らばる。その瞬間だった……都市の至る所から火の手が上がり明るさを生む。多くの悲鳴がクイーンの耳に届き、大きく笑い……壁から飛びたち大きな大通りに降り立つ。


バサッ!!


「ふふふ!!」


 機嫌なクイーンは大通りの中心から城へ向かって歩き出した。誰にも止められず。誰にも声をかけらず。見たものは皆、逃げ惑うほど。恐怖を振り撒きながら。彼女はくるくる周りながら、一歩一歩踏み出す。


 楽しそうに……始まったばかりの夜に彼女は堪能する。





「……ちっ」


 夜になるその瞬間に……都市内で大量の爆発と燃え盛る炎が上がり、多くの悲鳴、怒声、泣声、歓声が全て渦巻き。夜を騒がしい者にする。


「義兄さんの舌打ち、久しぶりに聞きました」


「……バルバトス。許せるか?」


「全く……許せませんね!!」


 ダークエルフ族長とエルフ族長が怒りを露にし、城から全ての状況を見ていた。そして、逐一耳元にかわいい夢魔の声が二人に届けられる。城の上から逐次報告をしながら民間人を護る事を順位付けた。


「脱走者の一斉蜂起……女王陛下を恨む者共を焚き付けたわけだ」


「……まぁ、女王不在でわからないでもないですが。少し、舐められた物ですね」


「おまえは行くのか?」


「……ええ、衛兵ですから。皆には目の前の敵を狩れと言ってます」


「おまえの所はいいな、指示せずの色々する」


「簡単な決まった事をするだけですからね。都市を護れと言う事を!!」


 黒い鎧に兜を被り、斧槍を手に窓から飛び降りるダークエルフ族長は無事着地し、駆け出す。一人の衛兵として暴徒を狩りに野獣のように吠えた。


「エルフ族長さま!! 大通りにクイーンが!!」


「……全員を大通りから下げる。準備をしてください。セレファに連絡を」


「はい!!」


 エルフ族長は耳元で聞こえる夢魔の声に答え指示をし、弓を構え、背後にある大樽に入った矢を一本掴み弦を引く。


「……屋根に上がるのをここで狙撃します」


「エルフ族長!! セレファ様がクイーン様と出会いました!!」


「……10分持ってください」


「はい!! お伝えします!!」


 エルフ族長は矢を放ち、屋根に上がった遠い所で登った悪魔一人の頭を撃ち抜く。


「……1」


 そして、彼は作業をするように見える者を撃ち抜いて行き夜は始まった。











 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ