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空城の聖域


 1つ2つ3つ。神の白いお城の廊下に天使の羽根が続く。消えることなく輝き続け、それを天使たちは見つけて追っていく。


「外にルシフェル様がいます。我々だけで仕留め損なっても外で罠を敷いてますので行きますよ!!」


「「「おおおお!!」」」


 隊長と名づけられた天使が槍を持って進む。心当たりのある場所に部隊を連れて進み到着する。扉は開かれており激しい戦闘の傷跡を残すその場は英魔の勝利を確実にした聖域であった。


 堕天使としても大切な場所であり、堕天使たちの自我が解き放たれた場所でもあった。


 そう、女神と魔王が戦った場所。その場所に羽は続いていたのだ。


「……ファン!!」


「……ん……」


 一人の天使は羽をむしとられ。床に置かれていた。堕ちた鳥のように力なく倒れ……腕も片翼も失い。ただただ倒れ気絶する。


 部屋の神座には羽が舞い落ち、これが天使の羽根であることがわかっていた。白い羽根が光を伴って舞い……彼女の周りに落ちる。


「……ファン?」


「……」


 隊長は隊員に捜索を頼み。そして……彼女を起こそうとした。







「……突入っと」


 空で待つクイーンは女神の間に入った事を耳で感じとりながら。様子を伺う。いつ、どうしてやろうかや、天使の悲鳴がどんなのかをわくわく考えながら。


「ん?」


 だが、そんな彼女は何かを感じ……後ろを振り向いた瞬間。顔面に一枚の鉄板が頬にぶつかる。


 ゴバァアアアン


 鈍い音ともに体が捻れたクイーンの口から血が滴り、それを彼女は唇に塗る。紅をつけるように。


「……しっかりと隠れたと思った」


 ヒョンヒョン!!


 青い小さな盾の鉄板は空を動き回り、ある堕天使の元へと帰る。クイーンはその堕天使を見つけニヤッと笑った。


「青い髪の堕天使ルシフェル!! よく分かりましたね!!」


 一枚の盾がルシフェルの周りに止まる。それを撫で、青い槍をクイーンに向けた彼女は大きく叫ぶ。キラキラと綺麗な青い鎧を身に纏い。青白い翼で空を飛びながら。


「指名手配クイーン!! 我が領地の蛮行、死に値する!! 我が槍で首を落とす!!」


「おうおう、勇敢な騎士天使様。今のお姿のが昔よりも可愛いですねぇ」


「……女神の下僕時代は忘れたわ!! 今は族長である!!」


「ふぅ、会話もさせてくれないの?」


「戦いながらでも出来るでしょう?」


 ルシフェルが盾を飛ばし、それをクイーンは天使から奪った槍で弾く。その右手は不釣り合いなほど肌が白く。継ぎ目があり、ルシフェルの眉を歪ませ、クイーンに槍を突き立てる。


「……その手は!!」


「……いただいたんです。まーだ使い慣れてない。翼も」


バサッ!! キィン!!


 クイーンが翼を広げると6枚のうち一枚が灰色であり。ぎこちない動きをする。ルシフェルはその行為に怒りを示し槍を何度も何度も突き入れ、小盾で背後にぶつけながら致命一撃を狙う。鎧のスカートの中からもう一枚盾が飛び、クイーンの行動を邪魔をする。


「あああああ、盾ウザイ!!」


「……クイーン!! あなたは何者!? この槍捌き!?」


「妹ちゃん。ラファエル? ラファエルちゃん。この3人の誰でしょうか?」


 クイーンは声を真似て3人の天使の真似をする。覚えがあるのはラファエルであり、ミカエル、ガブリエル、ウリエルという姉妹の声そっくりであった。


「愚妹愚姉。3人の残留思念なら。地獄へ落としてあげましょう。私に地獄へ落ちろと願う3人に同情はない」


「……あら、ルシフェル。同じ血を持った家族じゃない」


「同じ神から生まれた人形であり。血は通っていない!!」


 シャァン!!


 クイーンの槍をルシフェルは弾き、蹴り飛ばす。そのまま盾がクイーンの背中に当たり強く押し返しそのままルシフェルは槍を突き入れる。心臓の辺りを突き刺し、そのまま空飛ぶ島目掛けて突き入れて手を離す。


 ゴオオオオオオ!!


 たまらず、クイーンは翼を散らしながら落ち。勢いよく島の大地に落ちて窪みを生む。槍は地面に刺さり縫い合わされるように動かなくなる。


「げふ……ふぅ。ああ、おかしいおかしいと思った。この槍……強いなぁおもったよ。名前書いてるじゃん……」


 倒れたクイーンの元にルシフェルは降り、盾をスカートの中に格納し。右手から一本の銀の剣を創造する。形は盾のような形をした幅広の剣であり。盾に持ち手がついたような剣だった。ただ、それは幻想であり一回振れば壊れる物である。


 だが、その一瞬だけ。世界にその剣は存在した。


「おっと……創造する? あなた……その力。すごくない? 神話実現?」


「すごいですね。ただの天使がここまでの高みに来れるなんて」


「……理由知ってる? その槍って大切でしょ?」


「……」


 クイーンに向けて創造した盾大剣を大きく振りかぶって構える。


「トラスト・アフトクラトル……この槍の名前って知ってる?」


「!?」


 ルシフェルの動きが止まる。驚いた表情でクイーンを見た。


「直に書いて頂いた名前が残っている。戦った記憶はなけれど魂に刻まれている。天使と堕天使の違いは……作り物の魂か本物魂の違い。だけどそれって弱点にもなる」


「……クイーン!? あなたは何者!? 忘れた世界を知っている!?」


「へぇ~ちょっと覚えてるんだ。ふふひ!! だけどそれがちょっと大きな隙となる。ショォーターイム!!」


 クイーンはパチンと音を鳴らした。






「んん……あれ……皆」


「ファン!? 大丈夫!?」


「隊長……あれ!? 違う!! 逃げて皆!! この間から!!」


「どうした!? ファン!!」


 ファンという天使が隊長を掴み怒鳴る中でフッと扉から黒い羽根が入り込み。ボッっと燃え上がる。その瞬間だった。床の羽根が黒く染まり、燃え移り一斉に燃え上がって天使を焼く。


 開け放たれた扉から悲鳴だけが逃げ出して。






ボガァアアアアアア!!


 空に大きな爆撃音が響き、空間を揺らす。ルシフェルは驚きその音の方向を見たとき、何が起きたかを察する。


「……ルシフェル。おめでとう!! 天使のびっくり箱だよ」


「この畜生がああああ!!」


 ルシフェルらしからぬ怒声と共に大きく剣をクイーンに向けて振り下ろす。だが、目の前に黒い羽根が舞い降りそれが着火し、爆発。吹き飛ばされ剣もくだけ散り……あわてて空中で姿勢制御を行う。


 クイーンはその隙に、グッと槍を抜くのではなく奥へ奥へと進み。縫い合わせた大地から抜けだし……ビキビキと傷を修復した。黒く赤い血がボタボタと落ちたあとだけ残し、綺麗な肌をさらす。


「……くっ!?」


「ネフィア女王の翼は爆発しますよねぇ? いいでしょ。壊すのにはね」


「何故!! 冒涜を!! その強さを正しい行いにするつもりは何故ないの!?」


「興味がない。だってそんな我慢して生きるよりやっぱ自由に力を示す方が楽しいでしょ? 楽して強いなら? その世界に生きてる者をめちゃめちゃにするのが流行ってるのよ。強い者を倒すのも楽しい!!」


「無秩序はもっと多くの弱者を殺す!!」


「無秩序はもっと多くの強者を殺す。フフフ!! 目的は終わったから私は降りるね? さようなら……ルシフェルお姉ちゃん。私はミカエルちゃんだよ」


「待て!!」


 ルシフェルが盾を投げつけるが、それを黒い翼で弾き。そのままクイーンはトランプを投げつけて落ちる。トランプに何かあると思い盾で防ごうと当てる。だが何もなく……表裏のトランプだけがヒラヒラと舞い。それをルシフェルは掴む。


 表にはハートの⑫番。裏は無地に血文字でフェイクと書かれた文字があり。ルシフェルはそれを握りつぶし……唸った後に部下の天使の元へと飛んだ。一瞬の隙でクイーンは何処かへ消え……ルシフェルは追うのを諦めたのだった。





 地上、エルフ族長は泣いているルシフェルと夢の中で出会った。ルシフェルは大きい涙を溢して対談する。


「ルシフェルさん……お疲れ様でした」


「えぐ……護れなかった。トラストさんにいただいた力を使っても」


「……いいえ、退けました。目が覚めないのはクイーンの婬魔の力です。天使は比較的不死に近いですが。本当によく思い付く」


「うぐ……苦しんでます。悪夢を見せられてる」


「……ええ。だから奴を一刻も早く倒すか。私の夢魔部隊で何とか夢を解錠をします。泣いてる暇はないです……」


「しかし……私は島から動けない」


「天使の部隊を送ってください。出せる分だけでいいです。今は……危機レベル5以上。族長が解決すべき状態なのです」


「……うぐ。わかった」


カツンカツンカツン!!


 夢の中に足音が響く。二人は足音の先を見ると一人の吸血鬼が歩いてきた。背後に幼女のインフェという幽霊を連れている彼はセレファ族長といい。都市インバスを治める闇、夜などの眷属の長である。


「……ルシフェルさんが退けたクイーンという化け物。私達が殺りましょう。エルフ族長、遠い地の族長たちの中で動けるのは私だけです」


「セレファ族長……ありがとう。無理を言う」


「いいえ、あと。オーク族長他は兵を寄越してくれています。大忙しですね。英魔国内は」


「……全くだ。遠い地の四神なんかが暴れるから……女王陛下も動けない」


「……それについてですが。エルフ族長……1つ確認します。本当に動けないのですか? 女王陛下は?」


「……ははは。セレファ族長……レベル5以上と言っただろう」


「満場一致ですね。わかりました……」


 セレファ族長はそのまま夢から消え去り、ルシフェルが涙を拭う。


「……ありがとう。エルフ族長……落ち着きました」


「ランスロットさんに慰めて貰えば良かったですか?」


「……ランスロットさんカッコいいですけど。私はあの父上が好きなんです。では、さようなら」


「はい」


 族長の夢はそこでおわり。また、事件の匂う現世へと皆は帰るのだった。






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