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事件現場と影の死体


 次の日、私は事故現場へとやって来た。そこは一軒の集合宅であり集まって暮らす家だったそうだ。やって来た瞬間剣を取り出し私はコウモリ羽のデーモンに剣を突き出した。現場の保全を勤めているのだろう彼にちょっかいをかける。


「悪魔め!! なぜここに!!」シャッキーン


「ちょ!? 女王陛下!? わ、私は犯人じゃないです!! 悪いデーモンじゃないですよ!! 見た目あれですけど!!」ペコペコ


「善いデーモンってのへんじゃの……ネフィア。冗談はやめて中へ入るぞ」


「ええ、お勤めご苦労様」シャキ


「はぁはぁ……ははは。冗談きついっす。自分の姿を知っているので尚更ですよ。はぁ、怖かった」


 悪魔の中でも醜悪な姿でこれぞ悪魔だと言う姿の悪魔最上位とも言えるデーモンの兵士は胸を撫で下ろす。なお、装備はしっかりしておりチェーンメイルを着て胸に所属を示す表示がされていた。悪魔族長エリックの直属部下らしい。


「にしてもチェーンメイルなんですね」


「安くそこそこ防御もいいし着やすいのでこれ着てるんすよ。それよりも中を確認されるのですね。どうぞ……」


 そういい少し声音を下げて中を案内してもらえる。家の中に入ると……血飛沫の跡がベッタリと廊下いっぱいに広がっており。剣筋の傷も見てとれた。


「ガッツリ殺ってるね」


「全員殺されておったからの……でっ、怒り狂った仲間も皆も殺られてもうた」


「ふむ」


 私は手を合わせ祈る。


「すまぬが……何か慰められるような事をして欲しいのじゃが」


「既に誰も居ませんね……ヨウコさん。しっかりと供養された事がわかります。ここまで悲惨なら地縛霊にでも堕ちるかもしれないのに」


「そうなのかの? それなら嬉しいのぉ……悔いなく逝って良かった」


 ヨウコ嬢は胸に手をやりホッと一息漏らす。私は彼女がここで祈りを捧げたのか何かをしたのを感じとる。そう、悲惨な事故現場だが。ふんわりと優しい残り香があるのだ。期待する、頼んだ。と言うような言葉が頭に浮かんでくる。


「ヨウコを信じて逝ったようですね。エリックさんは夢魔でしたし、会話を出来たのかも」


「会話というかの……追憶を見せてくれたの。黒い服に刀と言う武器じゃった。それも数人じゃな」


 悪魔族長エリックは私とおなじ婬魔夢魔の男性であり。好色の俳優だ。見ようとしたら見えるだろう。


「それで……わかったのですね」


「そうじゃ……ワシらの戦いじゃとな」


「……ん」


 何とも言い難いがヨウコの目は狐目となり。殺意が滲んでいる。ピリッとした空気が漂う中で私はそのまま事故現場を跡にしようと言う。


「ここで見ることはないですね。もう」


「そうじゃな……保全ご苦労様なのじゃ。じゃがもうええ……ネフィア、退いておれ」


「?」


 私は屋敷から離れるとヨウコの手にマッチが用意され、そして木屑を撒いてそのままそのマッチを屋敷に投げ入れる。少しづつ木屑が燃え上がり。家が燃えていく。隣の家に引火しないように炎をヨウコは調整しながら私はそれを見続けた。


「次に生まれてくる時も狐に生まれてこい……今度はの……しっかりと護りぬいてやるからの……おまえたち」


「……」


 ヨウコは炎の煙を見つめながら空を見上げつづけたのだった。





 事故現場から帰宅した時、仮面を被った族長エリックとトキヤが帰っていた。そして生々しい音と共にトキヤが袋を床に投げつける。


ドチャ


 それは人の大きさの袋で……生々しい音と感触がし。死体であることがわかった。


「エリック族長。こんにちわ」


「……女王陛下。こんにちわですね。ちょうど……なにかあったみたいです」


 エリックのナンパがなく。私は本当に切羽詰まっているのだろうと察し、死体袋を指差す。


「トキヤ……この死体はもしかして犠牲者?」


「また、犠牲者がでたのかの……」


「違う。ネフィア。ヨウコ嬢」


「ええ、違いますね」


「……違う? トキヤ? どういうこと?」


「なに。簡単だ」


ビリビリビリビリ


 トキヤが何処で拾ったのかわからない小刀で袋を裂き、そして中身を見せる。それは黒い布を包帯のように巻いた死体でありエリックとヨウコが驚いた表情をしてトキヤを見つめる。


「俺は元々な……こういう殺しをする方が得意だ。一匹狩ってきたぞ」


 そう、死体は噂の忍者だった。













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