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都市ヘルカイトの新任ギルド長


 浴衣のままどうかと思いながらも。酒場兼任の冒険者ギルドに顔を出すと私と同じように浴衣を来たままの英魔族が普通に居るのに安心し、そのまま椅子に座ろうとする時に声をかけられる。ウェイトレスのウサギ耳の女性に私は首をかしげる。


「お客様は何名でしょうか?」


「えっ?」


「……あら、お客様は何名でしょうか? ネフィア様だけですか?」


 バレてる有名人の私は首をかしげたまま聞いてみる。


「一人ですが……今日は冒険者ギルドに用事があって」


「ネフィア様、そうだったのですね。最近、ここは酒場とお食事メインでギルドは移設になりました。あの扉の地図を見ていただいてそちらでお願いします。目の前の目立つ建物なのですぐにわかると思います。握手いいですか?」


「ええ、どうぞ。教えてくれて、ありがとう」


「わぁ!? すごい!? 重た……いたたたたた!? すいませんすいません!!」


「ごめんなさい。力加減わからなくて」(手が重いってなによ)


 握手をやめて周りを見た後、雰囲気が違っている事ですぐに気付けば良かったと恥を感じながら私は簡略地図の前に立つ、そしてそのまま外へ出ると目の前の建物。盾の飾りに竜の紋章が描かれたいかにも騎士団の駐屯地ですよと言う、四角い大きな建物がそれなのだと気付く。人の通りが多く。こっちだったのかとポンっと手を叩いた。


 そのまま人の流れを横断し、建物に入るとそこは酒場と違って重々しい雰囲気の空間でテーブル、椅子、受付嬢などが忙しくしていた。酒場ののほほんとした空気ではなく泡立たしい空気に私の浴衣姿は浮いてしまう。


 冒険者ギルドの人達はいろんな仕事服を着て、色々と話しをし個室などで相談も請け負っているのが見える。そう、なんとも仕事しに来てますの空気がすごい。


「ひぁぁ……場違いかも浴衣でくるの。まぁいいや。とにかく依頼だ依頼」


 急募の足を頼むのだ。竜の冒険者を捕まえよう。そう思い受付にギルドカードと依頼書をいただき。そのまま……依頼を出そうとした瞬間。肩を叩かれる。


 トントン


「ん? どちらさ……」


「久しいのぉ。私よ」


 後ろを向くと火竜の赤い鱗のように燃えるような赤い髪に至るところに鱗のドレスを着ている。エルダードラゴンのボルケーノばあちゃんに出会う。おばあちゃんの癖に肌の露出が多く。ドレスの合間に綺麗な生足を見せる。


「お久しぶり!! 棺桶まだだったあがががが」


 私の腕があらぬ方向に曲げられて痛みを発する。一定を越えた痛みは感じなくなり落ち着いて話をする。


「お元気ですね」


「痛みを感じないのね?」


「一定を越えると感じないで……いでででで!! まって!! 地味に痛い痛い!!」


 腕ではなく指を捻られる。調整された地味な痛みに声を発し、周りの視線を寄せてはすぐに無視をする。


「ごめんなさい!! 若い!! すごく若いから!! ピチピチ!!」


「…………」


「いたたたた!? どうして!?」


「……それもそれでシャクにさわる」


 竜の紅き女性は私の指を離すつもりはないようで私はそのままバシバシと彼女を叩く。


「竜姉……なにしてんの?」


 すると、怪訝な表情を浮かべた軽装の少年がボルケーノの肩を叩く。なお身長差で手を伸ばして叩き竜姉はそれにハッとして私の指を離す。私の指は折れており、回復魔法で癒し。ニギニギした。とにかく地味ぃーに痛かった。


「デラスティ、こんにちわ」


「こんにちわ。ネフィア姉さん」


 少年はデラスティと言い。竜よりも弱い種族とされているワイバーン種の竜人である。かわいい少年のままの姿には年上の女性に人気がある。中性的な可愛さ声が好ましい人にはたまらないのだろう。目の前のおばあちゃんとかには。


「デラスティ……この小娘と喋ってはだめ」


「ボルケーノばあちゃん。黙れ。折れたんだぞこっちは」


「あん?」


「ああん?」


「…………二人とも。ここで喧嘩はやめてよ。それよりもネフィア姉ちゃん。依頼の紙もってどうしたの?」


「あっえっと……これ」


 私は少年に依頼の書き込み用紙を渡し、少年はそれを見ながら頷く。


「僕が運ぼう。速いよ僕」


「デラスティ!? ダメよ!! こんな淫魔を乗っけちゃ」


「竜姉。ネフィア姉ちゃんは安全だよ」


「ギルド長権限で禁止、デラスティ」


「ギルド長代理権限で反発。竜姉」


「ボルケーノ……ギルド長?」


 色々と突っ込みたい所だが。先ずはギルド長なのに驚く。


「なんで? 隠居してたでしょ?」


「ネフィア姉ちゃんがトキヤ兄、ランス兄とか首都に人材を奪って行くからだよ。それに竜姉ほどの人物がギルド長になった方がうまく行く気がしたからね」


「……別に私はな。まぁ暇で」


「デラスティちんが頼んで動かしたのね」


「うん、竜姉に頼んだらいいってさ。まぁ喧嘩を仲裁出来るからね」


「そうなのね……色々と変わったね」


 数ヶ月で世界が変わったようなそんな気がする。加速する変化を最近よく感じとり。染々となる。


「それよりもデラスティちんはいいの?」


「いいよ。運ぼう……竜姉いいよね?」


「デラスティ、まぁ……いいわ。くれぐれも気を付けなさい」


「はーい、お土産買ってくるね」


「うんうん、おこづかいあげよう」


「いや、おこづかい。いらない……普通に稼いでるし……」


「そう?」


「子供扱いなおらないね?」


「デラスティ……大きくなっても育て親は変わらないわ」


 ボルケーノが少年の頭を撫でながら。幸せそうな表情をする。まるで親子のような光景に私はほっこりしながら、依頼の受注をお願いする。デラスティの速さは私がよく知っている。きっとすぐにつくだろうと思う。


「まぁ育てた子に欲情するボルケーノもどうかと思うけどね」


「ふぁああああああああ!!」


 私はシャタコンをばらした事で盛大にボルケーノに殴り抜かれ、胸ぐらを掴まれる。まだ発展せずにいることがわかり奥手だなと邪悪に笑う。


「私はそんなことはしてない!!」


「ふふふ、知らないよ……早くしないと……誰かに」


「言うなぁあああ!!」


 デラスティはそんな中でも大人しく、静かに受付に依頼書を手渡してボルケーノを止めずに飽きれながらその場を後にするのだった。






「トキヤ、なんとか足ができたよ」


「そっか………とおおおおおお!? お前その体!? ちょっと待ってろ着替え着替え!! なんで浴衣が焦げてるんだよ!!」


「ボルケーノをおばあちゃん呼びで戯れてた……ケホケホ。内臓も焦げてるねぇ」


「……そんな。気にしている事を。まぁ後で聞こう。ええぞもっとやれ」


「えーい!! トキヤならわかってくれるね!!」パチン!!


 ボロボロでミニスカートのようになった浴衣とほとんど隠せてない布の状態で家に帰ってきた私はケホケホと煙を吐きながら。トキヤとハイタッチ後に内臓を修復した。エルダードラゴンに対してだけはトキヤは寛容である。





「えぐえぐ……デラスティ……ワシまだ若いよのぅ。若いよのぅ」


「えっと。竜姉は若いよ。若い若い」


「若いよのぉ……えぐえぐ」


「はぁ、竜姉。気にしなくても……」


「えぐえぐ……デラスティの肌。ピチピチやぁああワイ枯れておるの……」


「…………」


 デラスティは誰もいないギルドの執務室で何も言わず竜姉を慰めるだけに徹するのだった。










 


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