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懺悔室~小さな影


 懺悔室で姉をいじりながら真面目なお話をする。トキヤは狭いゆえに去り。懺悔室の外で何やら揉め事が行われているのをまとめていた。


「なぜここに?」


「あなたがここに入ったから。ここが私の復活した場所になるの……」


「ほうほう」


「だから、引っ張られてここにいる」


「じゃぁ要件もないし帰ろうね」


「……ひどい。話を聞くぐらいいいじゃない!!」


「わかったよ。短くね」


「じゃぁ……」


 向こう側で姉の声を聞きながらどうせ微妙な話だろうとたかを括っていた。だが……


「実は私って今のままでいいのか不安なの……破廉恥な見た目だし……女神とか何すればいいのか今一度考えるけど……わからない」


「……」


 重たい。重たいよ。


「そこは女神。なんとかしてよ」


「……だって……あなたの方が女神女神してるじゃない!!」


「いや、魔王です」


「女神よ!! あなたは女神に類するって言った!!」


「いや、生きてる間は魔王です!! 死んでから好きにして」


「いいえ……生きた女神ですよう。首都で色々教会回るんですよぅ……」


「ええ」


「第一声なんだと思いますか?」


「挨拶でしょう」


「……挨拶の後の第一声は?」


「世間話?」


「女王陛下と一緒に回られないのですか? だよぉおお!!」


「一緒に回られないの?」


「うああああああああああん、このアバズレェ!!」


「品行はいいほうじゃないね」


「実績ねぇ……全部が全部、私じゃないよ」


「ふぅ、器の大きさを見せられてます。余裕ですねぇ」


「……」


 私は腕を組む。スッゴい……やりずらい。


「そういえば鎌扱えるようになりました?」


「あっ見ますか? うまく曲芸できるようになりました」


 ブォン!! がしゃん。ゴン!!


 目の前に鎌の柄が飛び出し、懺悔室を壊し鎌の先にある刃の背に顔面、顎に強打する。


「あぶぁ!?」


「あああ!?」


 後ろに吹き飛ばされ、そのまま私は懺悔室から転がって外に出る。何事かとトキヤが近づき一言。


「ネフィア!? なに怒らせてるんだ!!」


「違う!! あのバカが狭いところで武器だしたんだよ!! おいっ!! エメリア姉さん!!」


 トキヤが懺悔室の裏側を見る。そして、顔を出して首を振った。居ないと言うことだろう。


「ふふふ、はははははは」


「ネフィア、頑丈なんだから許してやればいいじゃないか?」


「それでも痛いんじゃぁ!! エルミアぁ!! 覚えておけよ」


 トキヤに肩を借りながら、振るえ足を叩き直し立ち上がる。周りの目線を感じながら怒りを示し続けたのだった。






「……そこにいるのでしょう。エメリアさん」


 英魔国首都にあるエルフ族長の執務室でエメリアがスッと現れる。神出鬼没の彼女に全く恐れない彼は椅子から立ち上がり扉に鍵をかけた。


「なんでしょうか? 何か良からぬ事でもありましたか? 表情が暗いですよ。非常に難しい事件ですかね?」


「実は……」


 エルミアは懺悔室で武器を出してネフィアを吹き飛ばした事を説明し、エルフ族長は大きく笑い指を差す。


「はははははは!!」


「笑い事ではないです……」


「しっかりと話を聞いてくれた人を吹き飛ばすのは流石……ネフィア様に似た方ですね」


「……鎌の試し斬りいいですか?」


「私が死んだらネフィア様は黙ってないでしょうね。それもまた……楽しみではあります」


「あなたも……ネフィアネフィアって言うのね」


「いや、私が一番始めにですが? 妻もよく似ている方を選びました」


「そうでした……」


 エルフ族長は箱からワインを取り出してエメリアの目の前に置く。


「これ持って帰ってください。以上です」


「……」


 エルミアはそのままそれを掴み。消え、エルフ族長は大きく溜め息をつく。


「それよりも女王陛下……早く帰って来てもらいたいものですね。少し……変な虫が英魔を飛び回ってますからね……忍者と言う物が誰かを探しているようですね」


 エルフ族長は報告書を見ながら一人、空を見上げる。影で暗躍する新たな他勢力の動きに敏感に感じとる。


「グレデンデさん……会議の時間です」


「わかった向かおう」


 耳元で嫁のフィアの囁く声が聞こえ、エルフ族長はマントを羽織り執務室を出るのだった。

















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