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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
後日談~都市アクアマリンで潮風に靡く魔王旗~
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アクアマリンの加治屋


 ある日、私は人質と言う身分から何故か冒険者となる機会を得た。準備をし帝国へ戻り、知り合いに別れの挨拶を行おうと考える。お金はあるだけを持って行き。英魔女王の直筆の親書も書いてくれた。


 しかし、不安は拭えない。帝国の中で何年も育った自分は刀でしか生きる技術がなく。使用人のいない世界なぞわからない事だらけだ。


 だからこそ、冒険者仲間を探していた。そのときに英魔の冒険者に出会う。透明な虫羽にモフモフの毛を持ち。変な触覚。その姿は何処か雀蛾を思い出させる女性がいたのだ。


 アクアマリンの市民は不気味がる。しかし、慣れているのか女性は気にせず店を見て色々と買い込んで鞄に詰めていた。


 誰も距離を置くなかで私は英魔を知らない事を思いだし。いい機会だと彼女に近付き声をかける。


「すいません、英魔の方ですね。こんにちは」


「はい、こんに!? こ、こんにちは!!」


 大きな目の綺麗な英魔の女性。話しかけられるのが意外だったのか少し緊張が伝わり、私の緊張がほどけた。そして英魔に出会って仲良くなりたいならあるものを託されている。


「英魔の人に聞いてみたいのですが……ネフィア様の話を聞きたいですが、お時間大丈夫でしょうか?」


「えっ……その……」


「ネフィア様、ここに来てましたよ。証拠はこの親書です」


「えっえっ!? まじですか!?」


 どこかナンパみたいだなぁと私は思いつつ。英魔の事を知ろう事と冒険について教えてもらおうと歩みよるのだった。





 私は都市アクアマリンから辺境地にいる加治屋を訪ねた。私の正装である白金の鎧を製作し、今は持ってきていないが普通のブロードソードをそのまま打ち直した火剣(銘がない剣)の製作者でもある名工だ。あまりの業物だったらしく最後まで折れずに今はエルフ族長に貸して展示されている。


 そういえば何故、辺境に加治屋を置いているのかと疑問に思わなかったが今にしては理解出来た。変に気難しい人であり刀を打つよりも剣など色んな物を打ちたがりたい加治屋なのだろうことが店の雰囲気でわかったのだ。


チリンチリン


 お店に入り鈴がなる。多くの武器が並ぶ中で刀だけが用意されていない。やはりである。


「いらっしゃい……おや、お主。久しぶりじゃないかトキヤ!!」


「よぉ……ボルボおっさん。元気そうだな」


「こんにちはボルボさん」


「ほぉ、嬢ちゃんも元気そうだな。まぁ噂は聞いている。聞いているが……何故こんな辺境へ?」


「近くを寄ったからな。それにボルボのおっさんに謝らないといけない」


「おっ? なんだ? 武器でも壊したか? 両方とも持ってないようだからな」


「俺の武器は……あれはなんだろうな。まぁその……世迷い言じゃぁないんだが……神様がいるとする」


「……」


 トキヤが真面目に説明するのを私は落ち着いて聞く。


「その神様と戦って折れた……」


「……」


「……」


「トキヤ。嘘はいけない」


「そうか。見苦しい言い訳だ……お前がそんな事を言うまで落ちたか……」


「ネフィアああああああ」


「はあははははあは……あははははひぃ……ひぃ!! 面白いの!! 面白いの!! 頭おかしいとか言われてる。笑う」


「……ネフィア」


「なーに? ああああああああああああ」


 私はほっぺを両手でつねられ痛みで手をバタバタする。


「ごめんなひゃい!!」


「このやろう!!」


「いたたたたた!!」


カランカラン


「あっいらっしゃい」


 店内に新しいお客さんが顔を出す。私は解放された頬の回復魔法を当てて筋繊維を優しく癒す。そして店の入ってきた二人を見ると一人は知り合いだった。


「あっクンカさん……こんにちは」「こんにちはクンカ殿」


「こんにちは、お二人方。こちらに来ていると衛兵に教えて貰ったのです」


「………こ、こんにちは」


 クンカ第2か第3王子と英魔族だろう。女性が恥ずかしそうに大きな黒目である目線を反らして挨拶をする。透明な羽を持ち、モフモフのマフラーをつけている彼女は何となくだが昆虫族の亜人である事はわかっていた。ただ……細かい区分は難しい。ただ、異常にモフモフしている。


「えっと……こんにちは」


スッ


「えっ? スズメメさん?」


 クンカ王子の後ろにその子は下がり、羽と特徴のアンテナのような触覚フルフルさせた。


「……」


「スズメメさん。会いたかったのですよね」


「……」


「すいません、ネフィアさん。少し時間が欲しいと思います。ちょっと店を出ましょう」


 クンカ王子が店を出る。私は首を傾げながらトキヤを見た。


「ここが人間の地域だからな。英魔ではここまでおおっぴらにできんぞ」


「……まぁ、そうでしょう」


「いや、覚悟した方がいい。人気者とか言ったらわかるか?」


「それはわかる。ちょっと想像できないけど。人気者なんだね私は」


「ボルボさんこいつの今までの武勇伝聞きますか? 剣と鎧の物語」


「そりゃもちろん聞かせてくれ……中々ハードだったのだろう。母さんもう店じまいだ。ちょっくらお茶を用意する」


「「ありがとうございます」」


 私たちは頭を下げ、店の外に出たあと木のテーブルと椅子の所で待つ。そしてあのクンカ王子と英魔の女性は普通にクンカ王子が聞きに撤し、英魔の女性は手を振り回して元気よく語っていた。


「かわいい子ですね。あの英魔」


「ああ、かわいいな」


「目を潰す」


「ネフィア!? 理不尽!? 誘導しただろ!?」


「下心の調査です」


 私は爪を立てた。








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