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黒騎士団長との密談


 私は何度も頭を下げる。机には真っ二つになったアーティファクトが転がり。黒騎士団長は腕を組んで唸る。


「俺からも妻が粗相を……申し訳ございません」


「いや、あまり情報を出したくない魔王の策略だった。これで真実かどうかはわからなくなる。それに、あんな簡単な嘘で壊れる耐久実験として協力してくれたのだろう」


「えっ……そこまで考えてな」


「ネフィア!! 黒騎士団長がわざわざそういう事で処理してくれるって言ってるのにその言い方はなんだ!! 大目にみてくれたんだぞ!!」


「すいませんでした!!」


 もう一度頭を下げる。不問と言うにはいささか遠回りな言い方だった。


「……はぁ。私たちは彼女に負けたのか」


「……ごめんなさいごめんなさい」


「黒騎士団長。戦うと全然違う。平時はこんなの感じです」


「そうか。切り替えがうまい人なのか」


「切り替えがうまいですね。それよりも……今なら何でも情報を売ります。嫁の粗相に見合う物があればいいですが」


「……そうだな。では魔国のこれからと狙いを聞こうか」


「ネフィア。2階に行って貰っていいか?」


 私は頷き席を立った。


「後で呼んでくださいね」


「ああ、皇帝陛下の墓の話になったらな呼ぶよ」


「ん、皇帝陛下の墓? 皇帝陛下の死は隠されている。まだな……跡取りが決まるまで。何処で知った」


「ああ、ネフィアが夢で看取ったんだ。それで……目的なんだが」


「黒騎士団長……私はお祖父様のお墓を参りたいと思います。もし、良ければですが……」


「……ククク。そうか……ははははは!! 魔王がな!! はははは」


 黒騎士団長は大きく笑いだす。そして……大きくため息をつく。


「いつから。我ら帝国は……心を失ったのだろうな」


 疲れきった声で彼はそう囁いた。






 トキヤに話が終わったと言われ私は2階から降り。エプロンを纏ってパスタを茹でる。瓶詰めのソースも温め即席で済ます予定だ。3つ皿を用意して準備し。まな板でベーコンを切っていく。


「……トキヤ。魔王にここまでさせるのか?」


「一応、俺んちのルールだから。まぁ今回、簡単に済ますらしい」


「ちょっと長話しすぎ。ごめんなさい料理しながらで」


「いや、魔王の手料理なぞ味わえんだろう。文句はない……いや。感謝しよう」


 黒騎士団長が紅茶を飲み。一息ついたあとに要点を教えてくれる。私は茹でたパスタを水をきり、友の置き土産の聖剣。緑のフライパンに入れてトマトペーストをぶちまける。5人前作るのだ。塩コショウもまぶす。ジュウウウとフライパンの上のパスタが唸る。


「場所はひとけのいない荒れた教会の地下。カタコンベに寝かせてある。いつ、葬式になるかわからない。教会は町の北側にある。それも都市壁の外な」


「壁のそとか……」


「ああ。魔物がいる練習用ダンジョンの奥さ。一般人は入れず。冒険者も今は崩落と言う事で入れないようになっている。騎士が常駐し見ている状態だ」


 私はフライパンのパスタに焼いていたベーコンを入れてあえながら悲しい気持ちになる。


「……皇帝陛下なのに。壁の外ね……」


「ああ。まったくな。カタコンベと言ってもダンジョンのように入りくんでいるから気を付けろ」


「ありがとうございます……トキヤ」


「ああ。明日行こうか」


「うん」


 フライパンから大皿にパスタを移す。そしてパセリを振りかけてどうぞとテーブルにお出しし。あることも聞いてみた。


「そういえば黒騎士団長様は目の前のこの人を嫌ったりしませんの? 裏切り者でしょう?」


「裏切り者だが。帝国の益になるなら利用する。それが黒騎士だ。残念だがな……倒すと言う結果が多くの優秀な黒騎士を失う結果となった。全く!! 後々……隊長にと思い甘くしたツケさ」


「黒騎士団長どうも……見逃してくれて」


「ふん、王配なぞ成り上がりやがって」


「いやぁ……本当に。成り上がった……」


 トキヤが照れたように鼻を掻き。手を合わせたあとにパスタを小皿に取ってそそくさと食べだすのだった。


「美味しくできてる?」


「普通に美味しい家庭料理。いいんじゃないか?」


「よかった。いただきます」


「……」


 黒騎士団長は仮面の下で複雑そうな顔をしてたのだった。




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