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死都マクシミリアン


 快晴、冒険する中で雨もあるが今回は比較的に天候に恵まれての空の旅。平原、森、山岳等を騎士団が通っただろう道を追い飛び続けてとうとうマクシミリアンの旧き死都の近くまで来ることが出来た。


 疲れをトキヤ成分でごまかしながらの強行行軍。その中で私たちは驚く光景を見つけた。


「テントとか、煙が上がってる!?」


「至るところで焚き火をしている煙か……戦闘の魔法の残り煙か……」


「炊事ぽくない?」


「そうだな。炊事ぽいな」


 大きな毒沼地が広がる草も生えない平地にマクシミリアン騎士団の旗が立ち。私たちを困惑させる。


 その旗の付近で降りると。鎧を脱ぎ、木を運んだりと忙しく働く騎士団員が歩みをやめて私たちを見る。驚く表情を無視しながらトキヤをほどき。翼をおさめる。


「えっと……どちら様で」


「ちょっとまった!! 俺が対応する。無礼はやめろ……下がってマクシミリアン騎士団長を呼べ……国賓だ」


「!?」


 若い騎士がご挨拶に来るがわからなかった事を先輩に怒られて慌てて駆け出す。


「そんな小事、不問でいいです。エルミア様は?」


 私は大真面目にその先輩だろう騎士に問う。周りの騎士たちが集まり出してガヤガヤとする。こういう立場である事も理解しながらも憮然な立ち振舞いを見せる。ここは英魔国ではないのだからあまり微妙な感じでは祖国に申し訳ない。


 そうこうしてると人混みを掻き分けてよく知ったエルフの女性が躍り出る。軽装の装備を着た彼女は満面の笑みだった。


「ネフィアちゃん!!」


「エルミアおばあちゃん!!」


「うん。わかってたぞ。ネフィア……間が持たないこと」


 私は祖国を裏切った。近づく彼女に抱きつき。挨拶する。よしよしと撫でられながらハイエルフのエルミアは驚いた表情で私を見る。


「どうしたの? 来るなんて知らなかったわ」


「エルミアおばあちゃんに恩を返しに来たんですけど……流石はマクシミリアン騎士団。死都を制圧したのですね」


「違うわ。まぁ……ここでは何かと大変だからこっちに来て。案内するわ」


 そういい、私は人混みの視線の中をエルミアおばあちゃんの背中を目印に進んでいく。私の事やトキヤの事の噂はすぐに広まっているようだ。


 盗み聞きすると。あれが魔王なのかと言う声が大多数だった。男社会なのか胸の大きさとか尻とか色々と言われているが大目に見る。元気がある証だから。


「それにしても……皆さん軽装ですね」


「まぁね……今は木の杭を打ち。即席の砦を作っている所だ。到着は数日前だな」


「へぇ」


 エルミアについて行きながら、大きな天幕に到着する。綺麗に作られた騎士団長用の天幕を潜ると紅茶セットが用意されており、天井には魔力灯が吊るされていた。メイドさんもいる。木箱に布を置いただけの簡易椅子にエルミアは座り。長話になる雰囲気を感じた。


「ネフィアは長旅で疲れてる。俺が代わりに……」


「トキヤ大丈夫。こんなんで倒れるとかおかしいわ。今までよりまだ楽」


「わかった。お前はそういっていつも無茶をする。だがテコでも動かないのも知っている」


「それはお互い様だよ。私ばっかりじゃない」


「……はやく座りなさい」


 木箱が用意された物をトキヤと私は座る。簡易椅子らしく長い間は座ったら痛くなりそうだ。メイドが紅茶を入れて私に差し出す。それにお礼を言いながら受け取り。すすった所で話を伺う。


「死都どうなったの? 平和そうだけど」


「平和になったかしらね……夢で王に会い。都市を頼むと言われて向かい到着したとき奇妙なことに皆、消えていたわ」


 皆とは死霊術でスケルトンとなった古いマクシミリアンの人々だろう。消えていた事に私は驚く。


「あの死霊たちは……不浄だったはずですよね」


「ええ、だからあなたに頼り。浄化をお願いしようとしたの……だけど誰かが先に何かをした」


「誰でしょうか?」


「わからない。だけど……そう、あなたと触れた結果、関わった結果でこうなった事はなんとなくだけどわかったわ。おぼろげだけど」


「奇跡ですね……」


「そうね……奇跡です。知らない誰かが連れて行って下さったと思うわ」


 私はそう締める。わからないが結果はそうなのだ。


「じゃぁ、これからはここに駐屯して復興を?」


「ええ、復権を。ちょうど西側の海岸まで探検者を出し、いろいろと捜索させてる。エルフ族長からや海族からの提案であなたが浄化後に港町建設をすすめられていたからそれを行う。ここを復興前に道を作り港を作り流動させてマクリミアン王国を復活させるわ」


「わぁ!? すごい!? 歴史の再建をこの目でみれるなんて、すごい時代に生まれたものです」


「すごい時代を作ったのはあなたでしょうが……」


「作った記憶はないです。作ったのは英魔族です」


「ふふ、そうね……そう。作るのは生きるのは民ですね。でもきっかけはあなたよ」


「そうかもしれませんが。一つになりたいと願ったのは英魔族。私は担がれただけです」


「ふふ、そうね。じゃぁ競争しましょ。どっちがいい国になるかとね」


「それは九人の族長とやってください。私は正直動かす力はございません」


「エルミアお嬢。すまないが……ネフィアはあまり口は出せないんだ。実際、国が大きすぎてな……連合国のようなもんだ」


 トキヤが話に割って入りフォローする。私も何となくそんな気がした。


「ふふ、だから族長たちはああも自由に文を出すのですね。こうしたい、ああしたい。元気があってよろしい。若いことはいいこと」


「暴走気味なのがおるがな」


「誰だろうなぁ……もう種族がおかしいのかな~エルフ族ってあんなのばっかりになるのかな……」


「遠い親戚だからあまり言わないでほしい。たしかに森を捨てたエルフだが、別に悪い奴じゃないだろう?」


「加減がな……淫魔に関して実験みたいな黒いうわさがあるし。まぁ、気にせずにいよう。陰口はよくない」


「そうだねトキヤ。頑張ってるもんね」


 私たちはエルフ族長の事を話さないように考える。仕事はまじめだ。何かすごい女性関係の噂は多いが気にしない気にしない。


「それよりもネフィア……お礼は?」


 私はハッとし、言葉を変えていく。


「……エルミア・マクシミリアン様。先の戦、不参加を表明していただきありがとうございました」


「俺からもありがとうございました。そして、浄化のお話がなくなったので何か他の別件で恩を返していきたいとおもいます」


「……そうね。じゃぁ不可侵結びましょう」


「不可侵ですか?」


「ええ、年数は100年でいいかしら?」


「……トキヤ?」


 私はその不可侵条約に関して問う。トキヤは頷く。


「わかりました。正式な書面を贈らせてもらいます」


「大丈夫。ここにあるわ。来るとおもったのでね。サインでいいでしょ」


 エルミアはメイドに羽ペンを持ってこさせ私は用意された紙を読み。変な事が書かれていないのを認めてサインをする。トキヤにもペンを渡し同じようにサインをする。


「よろしく……ネフィア女王」


「えっと……よろしく。なんと呼べばよろしいですか?」


「マクシミリアン騎士団長改め……マクシミリアン女王です」


「よろしくお願いいたします。マクシミリアン女王さま」


 私は立ち上がり。握手を行なうのだった。





「なんかすんなり。終わったねトキヤ……」


「そうだな。ネフィア」


 私は用意してもらった二人用のテントを借りて、休息をする。明日、エルミアと奥の玉座に向かう約束をしたのでそれまで体を休める。


「んんん……ちょっとしんどいね」


「ちょっとなのか……」


「ちょっとだね……だいぶ鍛えられた」


 髪を少しくくりながら簡易ベットで横になる。


「すんなり横になったな……」


「くっついて欲しかった?」


「くっつくかと思っただけな」


「簡易じゃぁ……落っこちるからね。トキヤおやすみ」


 まだ明るいが私は目を閉じて眠りにつく。旅で不眠だったのですぐに私は夢へと落ちるのでした。







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