空路の旅人からの親書
空を飛んでいる中で私はまた魔物の群れに遭遇する。5匹の緑色のドラゴンの姿が見え身構えた時だった。
「ドラゴン?」
「わからん……なんか奇妙だ。ここらへんのドラゴンは滅んだはず」
しかし、ふとドラゴンという種族を思い出して不思議がり。トキヤも思い出したのか近付こうとなった。
不思議なことはほぼ野生のドラゴンは滅び。ワイバーンが空の王者であることでここにドラゴンは不自然である。
「不自然ですよね?」
「不自然だな……本当に」
ワイバーンの方がドラゴンらしいと言うこともあるが。ドラゴンと見た目が腕が翼か別個にある変わらないので近くでみなくちゃわからない。そして……何やら物を持っているような感じなのだ。それだけでも変である。
「なんだろうか?」
「ん、ん? 識別帯をつけてるな。英魔だ」
そして私は近づきその疑問全てが解決する。ドラゴンの頭や角に白地布を巻き、太陽の赤を塗ってあった。英魔国の出身を示しており。仲間である事がわかる。
表記されている理由はもちろん魔物と間違われないためである。私は空にピタっと止まり浮遊する。向こうも私に気付き近付き浮遊して大きな体を見せつける。
「こんにちわ皆さん。どちらへ行かれるのですか?」
「こ、こんにちわです!! じょ、女王陛下はなぜここにいらっしゃるのですか!? しかもトキヤ王をくくりつけて……拐ってるのでしょうか?」
「うむ、私はマクシミリアンへ向かっております。先の大戦で不参加を表明してくださったお礼に参る所です」
「おお!! そうでしたか!! マクシミリアンへはこの先です。我々も今さっき飛び立ち英魔首都へ向かっている最中でした。そして、ちょうど親書を預かっております」
「親書?」
「エルミア・マクシミリアン様からです。近くに降りお渡しいたします。皆先行っててくれ!! 後で追う!!」
「親書……わかりました。おります」
私は彼がエルフ族長とユグドラシル商会のドラゴンと聞き、そのまま一旦森に降りたあと親書を受け取ったのだった。
*
ドラゴンたちの冒険の無事を祈りながら別れ、親書を私たちは読む。トキヤも私も眉を潜めて内容を吟味する。内容に関して非常に変な動きが見て取れるのだ。
・マクシミリアン王が枕元に立ち。死都に来て欲しいと伝える。
・マクシミリアン王の玉座へ向かう。
・騎士団を連れるので長期不在になる。
との旨が書かれていた。他は戦争に勝った事のお褒めの言葉と仲良くしようの話で興味がなかった。
「気でも狂った? あの死都に向かうなんて……絶対におかしい」
「エルフ族長が元気だから大丈夫だろう」
「その人は狂ってるじゃん」
「……ダークエルフ族長バルバトスが元気だなぁ」
「そうだね。大丈夫だね。安心した……何か考えがあっての事だと信じる」
「そうだな。この前はすごくしっかりとしていた……何かがあったんだ絶対に」
何かがあった。死都に何かがあった。それだけが手紙で伝わる。
「どうしようか、トキヤ」
「……うーん。いったんマクシミリアンの騎士団駐屯地に出向き、補給も済ませたいな。ネフィアの体力も心配だ」
「私は大丈夫、ぶっ倒れてもトキヤに任せる。今は不安しかない」
「あの……帝国が匙を投げた死都だもんなぁ。騎士団を連れる。蛮勇ではないことを期待したい」
私は頷き、大きく翼を広げた。
「休憩せず行く。私の恩人であるし気になる」
「わかった。ネフィア……食料物品捨ててくからな」
「うん!! 行く!! 向かう方角はお願い!!」
「魔方陣で示す。潜りな」
私は火を散らしながら大きく飛び立ち。緑の魔方陣の向きを見てそのままその中を飛び、魔方陣の追い風が大きく翼が炎を煽った。
*
夜、星空の下で飛び続け。日の出から少し太陽が上がり身を照らした時。懐かしいマクシミリアンの駐屯地の砦が見えた。
駐屯地としてるのはいつか祖国に帰るための場所として駐屯しているだけの場所と言う意味らしい。内容は都市と変わらないが長き時間でもその考えは続いている。
だからこそ、盲信のように旧首都の死都にこだわっていのだ。砦の前で降り、トキヤを解放して駐屯地の人間の衛兵に挨拶をする。懐かしい万能ギルドカードを見せて入場しようとする。衛兵一人がジロジロとカードを見て驚く。
「えっ……ネフィア・ネロリリス……魔王!?」
「あっわかる?」
「では、となりの御仁はトキヤ王!?」
「まぁ、そうだな……何も言わず通してくれ……親書を読んでな。死都に向かったと聞いている」
「ええ……マクシミリアン王が呼んでいると。旅立ちました」
「すぐに向かいたいけど……準備をしてからにするから通して欲しい」
「……国賓です。しかし、冒険者のカードをお見せするというのは冒険者でしょう。どうぞ……ギルドの場所はお分かりですか?」
「もちろん!! ありがとう」
「すまんな……いまは時間が惜しい」
「ええ、エルミア様をよろしくお願いします」
紫の鎧を着ている衛兵に挨拶を済ませ私たちは少し休憩し、荷物をまとめてすぐに出発するのだった。マクシミリアンのメイドなどに挨拶をする暇なく。エルミアおばあちゃんを追いかける。
そう、追いかけるのだ。




