突入
自分がいったい何者なのかを考えた。結果、私は私自身を偽物と心の底で思い苦しんだ。だが、今は違う。
【アップデート。エラー……強制執行】
私自身のために未来を取り戻したい。
「戦闘が始まったみたいです。お願いしますね黒い鳥さん」
私は今、旧人類が使っていただろうゴーレムのコアの部分。人が乗ることの出来るこの場所に椅子がありそこに座っていた。黒い鳥と言われる人工知能が操作する。聞けば旧人類でもまた違った勢力だったらしい。
【準備完了……】
「私も覚悟出来た」
【発艦】
目の前に文字が浮かび上がり。私はそれを見ながら身を引き締める。
*
ゴオオオオオオオオオオオ!! ボゴン!!
ガルガンチュアの正面に取り付けられたゴブリンの砲火砲が火を吐き出し。大きな大きな火球が打ち出され障壁に当たり、炸裂する。飛んでいた英魔が慌てて防御の姿勢を取り。炸裂した炎から身を護る。
ごばぁああああん!!
吹き飛ばされた英魔と旧人類の空中兵士や天使も巻き込まれ。落ちる中で地上からも火球など大小様々な数が打ち出される。
地上の英魔が構える小型の迫撃魔法の砲火砲もがむしゃらに撃たれ。戦場は火の雨となった。
樹木は焼け、多くの英魔が倒れる中で障壁が薄まる。その瞬間好機とばかりに攻撃は激しさがまし。等々都市を護る障壁が消える。
その瞬間だった。都市の一部が炎と光を発した。ガルガンチュアは砲撃の結果魔力不足になり機動力が落ちている中で回避行動をとる。
だが、間に合わず。炎と光を発した部分から長大な鉄の塊が打ち出されガルガンチュアの左側面を大きく削った。ガルガンチュアの魔石も損傷し、爆発する。
ガルガンチュアが落ちる中でダークエルフ族長は避難を言い渡し。そして、笑みを溢すもだった。
「邪魔だったからちょうどいい……だろう」
*
「やったか!! ははは!! 旗艦だったろうがこれでお とした!! あとは出てきたネフィアを個別落とし。障壁を維持すれば。障壁再展開は?」
ヴィナスがガルガンチュアが落ちる画面を見ながら笑い。様子を伺う。耳に聞こえる通信から質問の答えが帰ってきたのだが雰囲気が怪しくなる。
「5分ほど……ん?」
「ん? なに?」
「な、何か高速で接近する物が。映像に写します」
ヴィナスは写し出された黒いゴーレムに驚く。なぜならその物は旧人類が使っていたパワードスーツに似ていたのだ。
「ネフィア……お前はそこか!! 接近に1分!? 叩き落とせ!!」
「はい!!」
都市の防衛システムが起動し、一転に対して攻撃を開始する。しかし、一転に進むためそこに向けて撃った場合。偏差打ちが出来ず。避けられ続ける。
「弾幕を晴れ!!」
ヴィナスが叫に面のような砲撃の雨を浴びせる。しかし、黒い機体は意も介せずに突き進む。そう、進む中でコアが開き、中の人物が手をつきだし声をあげた。
「アイスシールド!!」
氷盾が生まれ。攻撃を防ぎ、そのまま都市に入ってくる。
「……ネフィアあああああ!! やはり私がこの手で!!」
ヴィナスは立ち上がり指示をする。一つ決着をつけるために。
*
ガルガンチュアの隣を黒いゴーレムが過ぎ去る。氷の盾を目の前に纏い。恐ろしい速度で突き進む。ゴーレムの背中に筒状の物が差し込まれ炎と煙を吐き出して突き進む。
【パージまで10】
ピシピシピシ!!
ネフィアはゴーレムのコアを開け、氷の盾の先、都市を見た。皆が開けてくれた道をゴーレムの中から確認し、そのまま鉄の雨を抜ける。
【パージ】
がしゃん!!
ゴーレムの背後にあった推進機が壊れ。そのまま都市上部の道路に滑るように着地をし、盾の氷を散らしてブレーキをかける。同じように旧人類が操っているだろう金属のゴーレムが銃撃を行い。ピシピシピシと装甲を撫でる。
「私はこのまま降りる。ありがとう」
【青い空の加護を】
ネフィアはそのままコアから飛び降り。都市の町の路地に身を隠す。そして……金髪を引かれるように都市の中心へと走り出す。
キュウウウウイイイイイン!!
黒い鳥はそのまま都市で破壊工作を開始した。同じように竜が都市に降り災厄の権化のように破壊の限りを尽くす。
「こっち」
膨大な戦闘音の中でネフィアと名前を呼ばれていた。そんな気がしたまま。ネフィアはヴィナスの守りたい場所に直接向かう。
「さぁ……ヴィナス……そこにいるのね」
ネフィアは戦い散った英魔の炎を身に宿しながら。鮮明になる頭の中で世界を感じていた。
*
ガルガンチュアから退避したダークエルフ族長はガルガンチュアを横切り過ぎ去ったゴーレムが都市に降りたことを知る。耳元から婬魔の声が響く。
「アローヘッド作戦は成功。女王陛下が潜入しました。撤退を……回収は考えなくてよろしいとネフィア女王陛下の言葉です」
「………」
罵声を浴びせかけられる婬魔。耳元に泣き声が聞こえた。
「だって……女王陛下がいったんだもん」
「……我はダークエルフ族長バルバトス。つなげられるか? 皆にな……言おう」
「は、はい」
耳元に問いかけ。許可をもらう。
「責任は俺が取る。戦いたい奴は残れ。今は戦い続けるのが最善策と考える。女王陛下へは私が後で説明と安い頭を下げてやろう。行くぞお前ら」
耳元に賛同の声がし、婬魔の少女に言う。
「君の事も任せてもらう。私が」
「ありがとうございます」
「兄曰く。かわいい婬魔は大切にしなくちゃいけないですからね……」
「バルバトス……あなた、私も聞こえてるんですけど?」
「なっどうして!?」
「あなたたちの戦いは全て見えてるの」
バルバトスはエルフ族の妻を思い出し。慌てて取り繕うか悩み。今はその時ではないと考える。
「生きて帰ったら謝る」
「………期待せず待ってます」
バルバトスはそのまま落ち爆発するガルガンチュアを見て、覚悟を入れ直すのだった。




