英魔の日常⑪~ネフィアの日記と代筆本~
非番。英気を養うための休日に俺は寝室である一冊の本を見つける。そして……それを手にヴァルキュリアと言うネフィアに似ている嫁に声をかけた。食器を洗いながら片付けていたネフィア。手慣れているのは流石と思う。
「こんなの見つけた」
「なんですかそれ?」
「ネフィアの日記……読むぞ」
「……ん……まぁ他人ですから」
「4月××日。暦は人間が作った物を扱う。最近、眠気がひどい。家事の途中等でもすぐに眠気が来る。夜も寝ているのに。ソファーで横になったら起きたら旦那様が帰っていた。ご飯も何もないっと言って泣いてしまう。涙腺も緩い。そして旦那様が酒場から買ってきていた物をいただいた。気付いてたらしい。旦那様は優しく本を買ってきた。たくさんの妊娠考察本。実話を買ってきた。 二人でソファーに座って読んだ。眠気が来るのは妊娠初期らしい。その日、キスは4回だった」
「……よし返せ」
「……断る。いい赤みの頬だ」
みるみるネフィア・ヴァルキュリアは赤くなる。記憶があると言っていたので思い出したのだろう。
「続き読むぞ!! 大声でな!!」
「返せ!! いや!! 私は関係ないようで関係ある!! やめなさい!!」
「ははは……ほら奪ってみろ~」
手を拭きネフィアが近くに近づくが俺より身長が低く手を伸ばしても俺の手には届かない。飛べばいいのにそれさえ忘れてがむしゃらに奪おうと体を寄せる。
「真っ赤だな~ははは」
「うるさい!! 読んじゃだめよ!! なんで私が恥ずかしい想いをしなくちゃいけないの!!」
ドゴンッ!!
「はは……げふっ!?」
パシッ!!
腹部に激痛が走る。ネフィアが俺の腹を殴り、くの字になったときに日記を奪い去り燃やす。そのまましゃがみ俺は吐きそうなのを我慢する。
「げほげほ……お、おまえ」
「致し方ない犠牲よ」
「内臓……ひっくり返ったぞ……お、おえ」
「手加減したよ。死んでない」
「もっと手加減してくれ……」
殴ったネフィアは罪悪感からか背中をさすり、痛みを緩和させる。回復呪文によって内蔵が修復されるのを感じると言うことは大きく内部破壊も行われた事だろう。鱗を透過し衝撃だけを押し通す。拳での戦いでの通常技。鎧通しだ。
「げほげほ……」
「ごめん。大丈夫? 普通に殴っただけなのに……」
通常技だがそれが毎回出されるのだから重症化は仕方がない。
「おまえ、女を捨てたその力……すごいな」
「……もういっぺんいこうか?」
「お、怒るな!? 褒めたんだよ!?」
「……ちっとも嬉しくねぇ」
ぶつくさと文句を言い合いながらも時間だけが過ぎていった。
*
「ネフィアの日記があるなら……トキヤの日記もあるよね?」
「書斎見てみるか?」
「だね……」
傷が落ち着いてきた時に俺らは二人で書斎の部屋に行き本を眺める。打ち切りになった作品には手書きで打ち切りと書かれている。
「エロい書とかあるかなぁ~」
「ネフィアやめろ。探すな」
「……あるの?」
瞳孔の開いた瞳で睨まれた瞬間。俺は首を振る。
「ないから変な探し方するな。性欲は人一倍薄いからな……」
「……枯れてる」
「満たされてたんだ」
「あっ……トラストさんの本とトラストさんの奥さんの本とその後のルシファーの本がある。ルシファーの本やっばい……何冊あるんだよ」
「すごいな。連載……完結もしてるな。族長たちの本もあるし。野球本もある」
あまり俺たちは書斎に入ったりしていなかったが初めてじっくりと眺めると思った以上に本が出ていたのだ。
「本は高価だよね?」
「高価だが。値段は下がったと聞くし。多くの中古本も出回ってるから……そこまでじゃないと聞く」
「ふーん。英魔って頭がいいんだね」
「ん……どうしてだ?」
「文字を読む書くことが出来る。書はその原典はその学がなければならない」
「……そういえばそうか。俺もそういえば文字も読めない書けないだったな」
「ばーか」
「すぐに馬鹿にするな。おまえおりゃおりゃ」
「ああああああ腋はようぃあああああああひゃははははあ」
俺は全力で責めネフィアはその場に倒れる。勝ち誇った顔で本を見ていると気になるものがあった。
背表紙に何も書かれておらず。ただただ分厚い本。俺はそれを取ると表紙は綺麗な桜が咲いて動いていた。驚きながらも懐かしい気持ちになる。
「なにそれ?」
「ん……これか? 本の中に異世界がある。初めて俺がネフィアを背負った事件だったはず。覚えがないか?」
「………ああ、記憶が欠落してるかも。思い出せない」
「そうか。ネフィアは魂を吸い込まれたんだ。夢を夢で叶える本で居心地がいいらしいが。それは偽物である。だったかな? それでネフィアは開放された」
少し違うかもしれないが俺は記憶を掘り。なんとか説明する。
「ちょっと中を見てみようか? この花の木綺麗」
「そうだな。花見行くか」
俺とネフィアは机に本を置き広げた。そして、本に吸い込まれるような錯覚後、暗転し……見たこともないような世界で目が覚めたのだった。
散歩し、記憶を頼りにこの世界で過ごした空き家に入るとネフィアが何かを思い出したのかある物を探し、それを掴んだ。そう……ネフィアは花に注目するよりもある一転に興味が移ってしまったのだ。
「食器洗い機なるものがあるよね!? これこれ!! すごい!! 全自動化!? どうやって!? 全自動化?」
「……」
花より団子とはこの事なのだろうか? 食べ物ではないが。
「持って帰ろう!!」
「……」
俺は優しく肩を叩き夢であるから無理と首を振ったのだった。
*
【AF「ワンダーランド」】
内容、桜の綺麗な転成者の故郷日本。転生した、迷える魂に救済あれっとネフィアが代筆したアーティファクト。夢に囚われた魂や滅びから肉体を失った旧人類が逃げ出せず封印される場所であり。夢が叶いやすい場所である。旧人類の魂を封印する魔導具試作品の一つ。




