英魔の日常⑧~オーク族長家庭~
首都イヴァリースから、東に位置する筈だった不浄地と言われる湿地、池、沼がありその湿地に位置するオーク族が多く住んでいた。都市名はデュミナスといい。首都よりも昔は大きい都市だった。オーク族だけで人口が多かった都市だった。
その都市の酒場で現オーク族長レオンは女で騎士をしていた女性と一緒に元族長、戦死した隻腕のオーク。デュナミスとその妻である踊り子のような服を着た悪魔が巨体の膝に座る。
「「「……」」」
3人は重々しい空気を漂わせ睨み合う。女騎士である薔薇のような赤い髪のクロウディアはひきつった笑みを見せた。
「えっと……お、オーク族長のレオンの妻クロウディアです。久しぶりです」
そう、この日久しぶりに出会ったオーク族長レオンの父と母と遊ぶ。戦死した二人は流れ着き、最終戦前にせっかくならと遊ぼうという流れとなった。
「「……」」
値踏みする視線をクロウディアに向ける。萎縮しそうなクロウディアはなんとか目線を外さずに睨む。
「……なるほど。まだ子がおらぬな」
「中々、良いからだしてるからすぐよ」
「……あ、ありがとうございます。すいません……孫をお見せすることが出来ず」
「お主は悪くない。レオンが悪い。奴隷を孕ませられんからな」
「父上、肉奴隷と言うのは殆どなくなりましたぞ。今は自由意思の恋愛であり。中々、子を残すことは難しい時代のようですがまぁ……あまり変わらないような気もします」
オーク族は異種族を奪い連れ去ったり多くの種族を奴隷として買い込んだりし、子を孕ませて増やしてきた。オーク族は雌が生まれにくいと言うよりも雄が重要であり。雌は殺されて来たのだ。多種族の雌で代用出来るとして。
「そうだろうな。お前の時代では……変わったのだろうな」
「ええ、今ではオーク族なのか英魔族なのかは聞かなければわかりません。中には英魔族人魚族となった者も居ますし、逆に子沢山な人も、一人を愛する人も居ます」
「ふむ」
どっしりと構えたデュミナスは深く笑う。
「ワシのように……こいつを愛を持って抱き。お前を産ませるような時代になったわけか」
「そうですね。無理矢理よりもしっかりとした雄のオークが生まれますし育てもあり。今の時代のオーク族のが頭など賢く強いと自負してます」
「ガハハハハハハ!! ワシよりもか!!」
「もちろん。そうだろうクロウディア」
「……え、えっと」
火花の散る二人がクロウディアを見る。クロウディアは首を振った。
「今と比較するには……わからない」
「クロウディア……」
「ククク。いや……わかっておる。わかっておる。昔を清算し、逆に英魔と混ざった方が強くなるのはわかっている。あの女王がそうだ。人間をつがいに選ぶのはワシは実は嬉しいぞ」
「そうね。私も普通の英魔よりも人間のがいいわ。気楽よ」
踊り子の母がデュミナスの首を撫でる。昔は暗殺者だったらしいレオンの母は女のままである。
「それにしても……父上があの女王陛下をここまで信頼を置くとは驚きましたね。その隻腕のまま流れ着くのも驚きました」
「腕はワシの罪と女王に忠誠を尽くすために差し出した物だ。治す術があろうと治すことはない」
「………格好良くなったな父上」
「お前こそ。喧嘩ばかりの問題児だっただろう」
「「クククガハハハハハハ!!」」
親子は同じように豪快に笑い。デュミナスはレオンの頭を撫でる。
「よう頑張っとる!! ワシが殿で死んだのも無駄じゃなかったわけだ。流石だ!!」
「父上!! 痛いぞ!!」
ペシッ!!
「ガハハハ……ふぅ。本当。変わったのだな」
「ええ、オーク族は英魔になり。英魔として繁栄しております。父上……安心して黄泉にお帰りください」
「そうじゃな……安心したぞ」
ドシッと構え。デュミナスは笑ったそして……その笑い声をかき消すような大きな声が店の外から聞こえる。
「ねふぃああああああああああああああああ!! お前はああああああああああああ!!」
「違う!! 私は何もしてない!! してない!!」
「お前に向かってるだろうがぁあああ!! 何した言え!!」
「し、知らない!!」
「嘘つけ!!」
4人は店の外を見たあと。デュミナスは指を差し、クロウディアとレオンは苦笑しながら説明をする。声の主はトキヤとネフィアである。
「女王陛下は英魔一のトラブル生産器なんです」
「そうですね……平和な時は新聞に載りますからね……気にしない事が一番です。関わったら死にます」
「そうか……不安になったぞ」「そうなのね……彼女はそうなのね……」
穏やかな爆発音と激しい戦闘音にレオンとクロウディアは和む。しかし何故か現れた、草ハイドラと言う魔物の群れと戦うはめになるのは数分後の出来事なのだった。




