英魔の日常⑦~浮気調査~
「ネフィア……外出禁止」
「はい……」
早朝からネフィアは正座をし、トキヤに怒られていた。訓練に熱が出たため技を無断で行使し氷柱を都市に降らすという悪行など。事件が起こしたためであり。ネフィアも申し訳ない気持ちで快く認めた。
「1ヶ月な」
「はい……」
皆が次の大戦へ準備をするなかでネフィアの不祥事は続いた。結果、英魔たちは今が平和なんだと理解し 伸び伸びとするが上に立つものはたまったものではない。
「何で……私は真面目にするだけで……事件が」
「俺は逆に真面目にならず。動かないでほしい」
「ひ、ひどい」
「被害総額知ってるか?」
「……はい」
ネフィアは正座したまま。黙る。
「友達の所にも行くなよ」
「はい」
トキヤは大きく溜め息を吐き。寝室の窓から外へ飛び出すのだった。
*
「王配……ありがとう。助かった………」
「ああ、何が入ってるんだ?」
「ポーションです。魔物も現れて衛兵が酷く怪我をするので……危なかった所だったんです」
「なんで魔物も流れ着くんだよ……」
「仕方ないでしょう。環境そのまま来るのですから。それよりも……魔物退治お願いしてもよろしいでしょうか? 人手が……」
「少し待て……聞いてみよう」
オーク族の衛兵にトキヤは急遽持ってきた木箱を手渡す。竜化出来ることは実は本物は出来ないが王配ならという事で皆が騙されてくれている。それに甘えながらたまに荷物運びも行っていた。そして耳を当てて婬魔に問う。
「これから魔物退治に参加しようと思うんだが。大丈夫か?」
「トキヤ様、確認しました。大丈夫です。存分に狩ってください」
「わかった。ええっとな。これからは大丈夫そうだ。山狩りだろ? 手伝おう」
「ありがとうございます」
屈強なオーク族でも倒すのが難しい魔物は多くいる。それをトキヤ一人で倒せるなら。人手に余裕や怪我も減ると思い快く引き受けたのだった。
*
狩りが終わったあと。暇ができたトキヤは耳に当てる。応答したのは別の婬魔だった。たどたどしく挨拶する。
「えっと……初めまして」
「ああ。初めまして。仕事終わった。魔物は倒したから後は任せる。これからは?」
「ええっと。お早いお仕事で……用意してませんでした。すいません」
「ああ、あやまらなくていい。休憩したいからな」
「……すいません」
「……ふぅ。君は新人だろう……大丈夫。そんなすぐには難しい。萎縮されると仕事がしずらいな……」
「えっと。はい」
「……」
トキヤは考える。何故新人が当てられたかを。
「もしかして。君を育てて欲しいと言うことかなぁ? 大婬魔たちに何言われた?」
「えっと……優しい人だから安心してと」
「優しい人か……」
「はい……」
「……そうか。君、何処か一緒に飛ぶかい? 新人に現場研修で細かく教えてあげるよ」
「うれしい!! ありがとうございます!! 乗せてくれるんですね?」
「ああ。ネフィアには秘密にしておいてくれ。何言われるかわからない」
「そうですか。"私"以外の婬魔も乗せた事はあるんですね」
「………ふぁ!?」
トキヤは声が変わった瞬間に声が裏返った。
「外出、出来ないので。暇だからちょっと……声を借りて私が夢で伝えたんです。どういった反応するかなぁ~って何で鼻の下伸びてるの?」
「いや!! 新人ぽいのに優しくしてただけだろ!?」
「お持ち帰り提案しましたね?」
「言い方!! ただ色んな都市を見せてどういった都市かをだな……」
「そんなの教育終わってる。下心が見えた」
「横暴だ!! エルフ族長みたいなことはしない!!」
「トキヤ様……そんな……あの日の夜の事は遊びだったんですね……」
「ま、まってくれ!! 君にそんなことしてないだろ!? 仲良くなるための手段で!! 下心はない!!」
「今日は何時に家に帰ってくる? 家で待ってるね!! あ・い・し・て・る」
「!?」
トキヤはぞわっとし、寒気を感じた。何を言っても聞いてくれないと確信する。そして……
「先ずはあなたからね。どういうこと?」
「えっ……じょ冗談ですよ。あぐぅ!?」
「夢の中って死なないのよ?」
「やっ……きゃあああああああああああああああああああああああ!!」
婬魔の断末魔がトキヤの耳に響くのだった。
*
「……ただいま」
トキヤは覚悟した。氷づけを。しかし……生かされた。
「おかえり。早かったね?」
「…………?」
ソファーに座るネフィアは笑っていた。
(こっわ!?)
「はい、ここへくる」
トキヤは隣へ座りネフィアは溜め息を吐いた。
「婬魔から……なだめられたわ。下心はないって言うのは知ってる。でもね……嫉妬するの。他の女と仲良くしてるのは。そういう気持ちは理解してて隠してたのでしょ?」
「……あ、ああ」
「私はあなたしかいない。そう、重い女だった」
「ネフィア。その許してくれてありがとう。でも……そのこれからもそういうのあるから目をつむって欲しい」
「……うん。わかってる。本当に胸が辛いの。でも許せるわ。ウル」
「そっか良かった良かった」
安心したウルはネフィアを抱き締めて頭を撫でる。それに嬉しそうに体を委ねるネフィア。
「今なら何でも許せそう」
「そうか……なら……先に。実は事故で婬魔と1回キスをもらってしまった事があったんだ。ごめん」
ピキッ
抱き付くウルの体は氷でくっつき逃げることが出来なくなる。
「ごめん……何でも許せないわ」
ウルは全力で地雷を踏み抜いた。




