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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
第零章後編① ~女神の総べる世界、捨てられた島~ 
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持って帰ってきた案件、後編

 都市インバスを管理する吸血鬼のセレファ族長は自分の管理する教会のベンチで女神に祈りを捧げた後に教会を後にする。彼は開けた庭に顔を出したときに数人の亜人に止められた。都市インバスは亜人の中でも醜悪で夜を好む亜人がいる場所である。集まったのはその中でも力を持った組長達だ。


 デーモンに人間の姿の狼男や吸血鬼などが集まる。デーモンが大きな樽を担いでおりそれをセレファの前に置いた。


「話はきいちょる。だからな……これがうちらの答えだ」


 デーモンが樽を開ける。樽には一杯に入った硬貨があり。相当な金額であることが伺えた。


「昔もな……都市として他より産業も農業も乏しく。金かかる球団なんか要らないなど言われとったが……ワイらは結局。好きちゅうことやな」


「都市インバスの中で……人狼と一緒に見れるものですからね」


「そうだな……こうやってまた皆、お前に直談判しに来てるもんな」


「………お前ら……」


 デーモンが大きな指で器用に硬貨を摘まむ。


「3時間で一杯になった……それだけ皆が期待を寄せてるんや……苦しいときも悲しいときも都市と一緒に栄えてきたんや。デーモンがこんなこと言うのもあれやが……あのイメージが悪いこの都市インバスをええもんにしてくれたのは感謝するで」


「そうだ……ええ時代や」


「でっ……君達は俺に存続を上申しろと言うんだね」


 集まった組長達が頷き頭を下げる。


「たのんます。ワイの倅が頑張っとる……やめさせないでくれ」


 デーモンも頭を下げる。セレファはそれを見た後に笑顔で答える。


「………辛い運営は続きます。他よりも資金面が大変ですが。なんとかやりましょう」


 セレファはそう答え。樽に入った硬貨を持っていく事を決めたのだった。





 ダークエルフ族長は一人で球場に足を踏み入れていた。そして……一人で外野席に座り。グランドを眺める。


「……はぁ」


 規則のために本来は禁止しなくてはいけない。その野球をやっている暇なんてない。そうダークエルフ族長は頭でそう理解していた。


「どうしましょうか……」


 しかし、ダークエルフ族長は悩む。規則か……わがままを通すかと。ダークエルフ族長の衛兵旅団は異常に規律が厳しく。魔国首都を護るため厳しい訓練をする部隊であり。本来は娯楽である野球は忌むべき排除すべき事案だった。


 だが……エルフ族長がやると言い出し。挑発に乗ってしまい手を上げ、それが今日まで続いていた。というか自分がどっぷりはまってしまっている。


「……」


「ダークエルフ族長!? お、お疲れさまです!! どうしてこちらに?」


 ビシッと敬礼をしエルフ族長は敬礼を返す。


「ん……ああ。君はロー・アフトクラトル……君こそどうして?」


「休憩で逃げるようにここへ忍び込みました。ダークエルフ族長……立ち入り禁止中で……すいません」


「いえ、俺もここで忍び込んで一人で悩んでいるから……気持ちがわかる。有名人は辛いな」


「そうですね。父上母上が有名で有名で……絶対活躍すると期待されてしまってます」


 ロー・アフトクラトルは英魔族では有名なアフトクラトル家の子として生まれた。その両親は有名でありそのため。比較もよくされただろう。だが……それでも衛兵旅団に入れるのだから実力者ではある。


「そういえば君はどうして……我が衛兵に?」


「憧れでした」


「憧れ?」


「はい、長くなりますが……私の家は族長と有名な歴代騎士を襲名できるほどの名家でした。そんな自分は騎士になるのが当たり前と思われていました。長男ですから」


「長男……大変だっただろう」


「大変でしたが夢がありました。父上は厳しい人ですが自由を許してくれる人です。しかし……周りの目線はそうではなかった。騎士になると信じていたのです。母上も」


「……立派な騎士よりも優秀な英魔首都衛兵になりましたね」


「そうです。私は英魔首都衛兵の試験を合格しました。そして……憧れでした野球に触れる事が出来たのです」


「……君は野球がしたいからうちへ?」


「そうです。皆に納得してもらえる名部隊でなおかつ野球も出来る場所を求めたのです。格式がある家も皆が野球は俗世過ぎていると思ってましたが……ダークエルフ族長の格式が高い首都衛兵が球団を持っているため。そう言った下品だけどやりたいと思う方に道が空いていると思いました」


「………なるほど。憧れとは……」


「はい、両刀使いと言えば聞こえがいいですが野球も衛兵騎士も出来るというのに憧れました。野球は訓練の一貫としておりますが……私は非常に楽しんでおります」


 ダークエルフ族長は隣の若い騎士の熱弁に心が動かされる。


「……ダークエルフドラゴンズは好きかい?」


「大好きです」


「わかった。俺も大好きだよ……野球ばかりさせてればいいのだが」


「いいえ、それがいいんです。私たちは騎士です」


「ああ、そうだな。ロー君……リーグ戦。任せた。君のようなファンを増やすためにな」


「族長? リーグ戦は……法で……」


「法では縛られない物がこの世にはある。ここにな」


 そう言いながら胸を叩くダークエルフ族長は立ち上がるのだった。







「……男から変異した可愛い婬魔チアガールが見たい。持って帰って妖精姫と議論するよりチアガール見たいから賛成しよう。後でどうとでもなる」


「可愛い婬魔の売り子もいいなぁ……」


「球児の一人に婬魔がいたな~あの可愛い少年もいいなぁ。いつか少女にしよう」


「よし。嫁を抱こう。今日も婬魔に溺れるぞ」


「そうだ……せっかくなら人気婬魔のライブも勝ったらしよう」


 エルフ族長は執務室で一人でただそう呟いた。

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