腐竜とヘルカイトの面談.
エルダードラゴンが揃ったらしい。なぜ今まで揃わなかったかと言うと。目の前でツギハギの体で座る一人の麗人。ドラゴンゾンビのラスティが原因でそれについて謝るために土下座をしていたのだった。
寝ている間も何度か来ていたが……今日やっと出会えたと言うことらしい。トキヤ……いえ。ウロから聞いた話では「ボコボコにして殺し、事なきを得た」と言う。
敵としては「腐った知恵の竜として死霊術を使い。昔の仲間だったドラゴンを人形のように使役していた」と言う。その時は男性であり、異様に寂しく歪んでいたそうだ。
今は女性らしく、いい花の匂いがする香水をつけていた。そして、その隣でヘルカイトの旦那も頭を下げている。
「嫁が深く深く迷惑をおかけしました。申し訳ない」
「申し訳ありません……事後、同じようがないようにします。これが始末書です……」
エルダードラゴンと言うのはドラゴンに知恵を組み最上異種の魔物なのだが……どうしてか私のが上らしい。茶色の紙に書かれた始末書には今まで起きたことを的確にかかれている。
「えっと……頭をあげてください……」
「はい……」
「……」
私は背筋が冷える。目の間の2頭は嵐竜ほどではないが天災の一種であり、「頭を下げるのはこっちだ」と思っていた。暴れないでくださいと。
「今回の事は流石に……仕方のない事だと思います。それに良かったじゃないですか。またこうやって夫婦仲良く会えたのでしょう? 不問とします」
「……はい。ありがとうございます。ネフィアさま」
「ありがとうございます。ネフィアさま」
「えっと……その。私達の仲じゃないですか~柔らかく柔らかくお願いします」
やりずらい。本当にやりずらい。
「それに。悪い事をしたのでしたら……英魔のために頑張ってください。ヘルカイトさん、ラスティさん」
「……ありがとうな。こいつ許してくれて」
「……ありがとうございます」
「問題は国民感情ですが……倒された方も多い」
「それは心配ないぞ。ネフィア」
「あっ……トキヤ」
開け放たれた窓から部屋に入ってくるトキヤは指を差して笑う。
「問題はない。元から敵だったがネフィアと関わった結果。味方をしてくれていると皆は知っている。今の世界の状態を知っているからそこまでの反感はなく。どちらかと言えば歓迎されている。戦力だからな」
「お前、指を差すな」
「だってな……ヘルカイトにあのラスティがな……土下座だもんなぁ~って。笑い転げるのを我慢している俺を褒めてくれ」
「トキヤ偉い!! 流石トキヤ!! やっぱりトキヤ!!」
「ごめん。やっぱ褒めなくていい。馬鹿みたいだ俺が」
「………」
私は渾身の褒め殺しは不評だった。
「………まぁ、それよりもヘルカイト。お前を探してる竜が飛び回ってる。行ってきな領主さん」
「うむ。行ってこよう。ラスティ行くぞ」
「はい……ごめんね。ネフィア」
「もういいですよ。ヴィナスが全部悪いでいいんです。いいですね……全部ヴィナス悪いの」
そう言いながらクスクスと笑い。二人は窓から外へ出た。
「誰一人、ドアから出ないのはどういうことだろうね」
「翼持ちはそうだろ。ここの聖域港も翼持ちしか来れないし……ゴンドラか船か航空機でしか渡れない」
「そうなんですね。ここ巡回出来なかったので……そうなんですね」
「まぁ……天使が住んでるな。有翼の亜人の住みかだな」
トキヤが椅子に座り腕を組む。そして用件を私に伝えた。
「会議を明日行う……議題は色々とあるが。大まかな物は俺がすでに決めている。なに、顔を出すだけだ。皆にその綺麗な面を見せてあげてくれ」
「綺麗な面なんて……そんな……恥ずかしい事を」
「可愛い面と言えば良かったか?」
「違います。そこは元気な面です……」
「じゃぁ言い直そう。俺にとって非常に好ましく。綺麗な……んぐ?」
「のろけないでください。恥ずかしいんですよ……」
私は彼に近付き、唇に人差し指を当てた。そしてゆっくりと離す。
「ネフィアなら……喜んでる」
「喜んで恥ずかしいのは彼女でも変わらないです」
ちょっと甘い言葉の掛け合いに少しドキドキしながら私はあることに気付く。唇に当てた人差し指を見つめた。
「………」
「どうしたネフィア?」
その人差し指を今度は自分の唇に当てて方目を閉じ笑みを向ける。
「ひ、み、つ」
「それで間接キスとか言うんじゃないよな?」
「!?」
「全く。わかりやすい……でっ……それで満足ならいいか」
「……満足じゃなければ?」
「こうするだけだ」
立ち上がった彼は私の腰に手を回し、頭を押さえて獣のように強く私から奪う。
「仕事は終わったから……もっと出来るぞ」
「……そんなにしたら……ちょっとじゃ満足出来ない体になっちゃうよ?」
「望む所だ」
私は窓と扉の鍵を掛けたのだった。




