マクシミリアン王とのご挨拶.
マクシミリアン王国。私の耳に入った言葉で多くの事を思い出し知る事が出来た。朝食のパンを小豆ジャムで食べながら……病室で客人をお招きする。
「こんにちは。お食事中だったのね。ネフィア」
「はい」
病室に入ってきたのは女騎士。見た目は麗しいハイエルフであり一代でマクシミリアン王国を復活させた女傑である。名をエルミア・マクシミリアン様である。ネフィアよりも格上である。
既に皇帝は死去し、今では最古の王とも言える。隠居生活していたのだが、戦争で復活を約束した結果、英魔につき。国を復活させた。
「同盟属国なのに遅くなってごめんなさい」
「いいえ……場所が場所でしたもの……それよりも来ていただけただけで英魔族としては勇気が生まれます。ありがとうございます。あと……同盟属国とは?」
「まぁ色々。色々よ……審議中の事でね。そんなことよりも体が丈夫そうで何よりよ。ネフィアちゃん」
「ふふ、エルミア姉さんも凄く綺麗ですよ」
「そうね。今は奇跡を感じてるから……挨拶はこのくらいで紹介したい人がいるの」
「紹介ですか?」
「そう……私の大切な人よ」
私は誰だろうと思い。椅子に座っていたのだが、その姿をみた瞬間に椅子から立ち上がり深々と頭を下げる。
目上の人である以上にエルミア女王が女王である最大の理由がこの人が救ったからなのだ。
紫の鎧に身を包む騎士。マクシミリアン王に私は深く頭を下げたのだった。
*
場所を移す。国賓である二人を病み上がりの私は慌てて天使にお願いし場を設けて貰う。とにかくも英魔族は若い国であり、木の年輪のように積み重ねた歴史が違う二人の王に「何かしなければ」と思うのだ。
看護師の天使によって案内された場所は聖域内のハーブ園に包まれたガセボであり。そこで面談をする。
「ごめんなさい。気を使わせてしまって……病み上がりなのに」
「いえ、私は頑丈ですし……それに助けてくださったのは私の方ですよ」
「そうなら。簡単にリーグ参加を認めてくれれば良かったのに」
「………それは全て終わった後で」
「はいはい」
「…………」
紫の鎧を着たままで無言の王に私は首を傾げる。武骨な表情で髭を生やした中年は無口なイメージでは無かったのだが、静かである。
席に案内し、お茶を用意させて貰う。天使は丁寧にお茶を入れて準備をしエルミアはその姿に思うことがあった。
「空に聖域があり、天使がいて……この人もいるなんて天国のようですね」
「一応、天国に一番近い島です。あれ? どうやって来られたのです? そういえば?」
「あら? 知らないの?」
「この島も最近で……忙しくて巡回できてません。挨拶もまだな人が多いです。銀髪鬼やエルダードラゴンとか……その色々の人に」
「ネフィアちゃんの交遊は広いわね。そうそう……あなた。この子、帝国の皇帝の夢も継いだようよ」
「……あの……蛮族か……うむ」
あまりいい表情をしない。「まぁ敵同士だったわけだしそうなのだろう」と思う。夢と言うより旗を継いだ。今では女王旗と言うので広まっている。
「継いだと言うより継がされた感じですが。まぁ、その昔より平和にはなりました。魔物にもある程度ですね。戦えます」
「知っている。エルミアに全てを聞いた。我自身の最後もな……そして、血は途絶えずに続いている事も。エルミアに加担していただき感謝を示す」
「……あなた……硬い……柔らかく柔らかく……今はそんな硬いのは嫌われる時代なんです。もっと友好的に笑みを増やして」
「……死人に口無しだ」
「……やっぱりあなたは変わらないですね。フフフ。私はもう……昔より老けて綺麗さも失いましたけどね」
皮肉ぽく冗談ぽくエルミアは言い。クスクスと笑う。幸せそうに……本当に嬉しそうに無邪気にする姿に私は目を擦った。エルミアの姿が一瞬だけ少女の姿に見えたのだ。しかし、それは全く気のせいだったのだが。
「お前は変わった……少女の時も綺麗だったが……あっ……えっと……ちょちょっと……綺麗すぎと……言うとあれだが……人間とは違って……綺麗な髪で……」
「あなた。無理しなくていいです。深呼吸して」
「……すまない」
「……………」
私は頭を押さえて思い出そうとする。何かを引っ掛かりを覚えている。勇敢だが……そう。エルミアは言っていたような気がするのだ。
「小心者」
「ネフィアちゃん。そうですね小心者です。だから……まぁその。そこが良かったんですけどね」
「……すまない」
マクシミリアン王が縮こまる。あの鬼気迫る錆びた騎士の雰囲気はない。ただ、その姿にはある緊張が見て取れる。王である緊張よりも……どちらかと言えば。
「あなた……この後で息子や孫たちを紹介させてください」
「あ、ああ……わかった……わかったぞ」
エルミアのこの大きくなった姿にドキマギしている感じだった。エルミアを抱いたのが少女の時であることを考えると。マクシミリアン王はもしかして大きい女性が苦手なのかもしれなかった。
「だからな……そう。くっつかないでくれないか?」
「数百年……会えない事を悲しんでいたのです。ダメですか?」
「ダメじゃない……ダメじゃないんだ……ただ。綺麗な女性は緊張する。私の側室の誰よりも綺麗で驚いている」
「うれしい。正室は私ですよね?」
「い、一応な。正式はあやだったが……聞くと野垂れ死んだのだろう?」
「あんな悪女なんて忘れてください」
私はふと……他人を見て思い出すのだった。ウルと私もこんな感じで「人様の前でイチャイチャしてるのでは?」と思い。身を見つめ直し自制しようと決める。なお、ウルの前だと一瞬で忘れるだろう事も思う私だった。
*
【マクシミリアン王国が流れ着きました。復興速度が上がります】
【エルミア・マクシミリアン女王】
マクシミリアン王の正室であり。崩壊を逃げ延び、後にマクシミリアン地方を復興。マクシミリアン騎士団を再建し帝国の属国化に反対した結果、帝国の同盟国同然の権利を勝ち取り。ネフィア英魔族によって第二マクシミリアン王国を作った。人間ではなく。ハイエルフであるが本人は人間と言い張りマクシミリアン王と己の血を絶やさずにいる。生きた歴史の大英雄。
【マクシミリアン王】
滅びた第一マクシミリアン王国の最後の王。死都化した場所で鎧に執念で残り続けてさ迷い魔物を狩り続けていたがネフィアとエルミアによって成仏した。元々は小心な王であり、奴隷で買ったエルミアのみに心を打ち明けていた。なお、その結果が家存続の最善手であったのは予想外だったらしい。




