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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
第零章後編① ~女神の総べる世界、捨てられた島~ 
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状況把握.


「……ん……んん……」


 私は眩しさに目を開ける。伸ばした手はなにかを掴もうとして空を切りだらしなく下ろす。何も夢を見なかった。何も感じなかった中で……意識がはっきりする。


「……生きてる」


 ただ、そう口にした。体は少しだけ動くようでベットに起き上がる。何度も何度も戦い何度も何度も倒れたのだから慣れたものだった。


「ん?」


 そして、私は外の太陽の明るさで右手に何か火が浮かんでいるのを目にする。それは小さな火であり、私にとって大切な引き継いだものだ。


「あれは……夢じゃなかったんですね」


 手を見ながら、何とか英魔が耐えたことがわかる。ベットに寝かされているのだから……そうだと思う。


「ウルに会いたいな……ふふ……本当。こういう暖かい気持ちなんですね。愛って……」


「俺はわからないがそういうもんなのだろうな」


「えっ!?」


「おはよう。ヴァルキュリア」


「……どっから現れたの?」


「最初から居たぞ。ここは空の聖域だ」


ガタッ!!


 椅子を持ってきて座る彼は腕を組む。


「起きて早々だが。話を聞け」


「ご褒美は?」


「……何がいい?」


「ここ」


 私は唇を指差す。彼はもちろん顔を剃らす。


「覚悟がいる……」


「話しをしている間にね。決めてね」


「わかった」


 彼は頷き。腕を組んだまま私を見つめる。


「結論から言うと国家存亡の危機を脱したが傷跡は深い。比較的被害の少なかったのは都市ヘルカイトのみで他は多大な被害を出した。人員もだいぶ減った。死んだらな消えるんだな俺たちは」


「そう……」


 私は胸に手を置き痛みがするため白い診療服を握りしめる。


「ああ。身を削ってまで戦い抜くんだ俺たちは……残るのはない」


「……私がもっと強ければ」


「いいや。お前はしっかり勝った。まぁ悪い話はこれで終わりだ。最後の流れ着く都市と地方が生まれたぞ」


「えっ……でも。置く作業は……」


「俺がやった。お前は2週間、寝ていたんだ。後の指示は俺がした」


「ウルが?」


「そう。なに……俺はただ。軽く言っただけさ。動くのは英魔たち」


 彼は飄々と言い。立ち上がってベットの縁に座る。そして……笑顔で私の頭を撫でた。


「安心しろ。こうことで堕ちないのが英魔だ。魔族じゃない。それに本当に悪いばかりじゃない。消えた人々の代わりにな……その血を引く若い志願者も多く流れ着いたし。マクシミリアン王国も流れ着いた」


「えっ? マクシミリアン?」


「あの、ハイエルフが来たぞ。腐竜が治めてたようだが負けて。腐竜も謝りに来ていたな。生き残ったエルダードラゴンもいる」


「………被害大きいって言ってたよね?」


「被害大きいが被害を修復するめどが立った。すぐすぐは無理でも……作りあげれる。だからゆっくり休んでいいぞ」


「でも……まだ攻めてきたり……」


「穴の監視はある。エルダードラゴンと竜などのな。こんどは堕ちて来させない」


 私はそれを聞き。ため息を吐く。


「私はいらないのですか?」


「いる。戦争は変わった。一人で多くの被害を出せる。多の時代から個の時代へと移り変わった。だから……最後の決戦。ヴィナスとの決着を決めるための切り札だ。これからどうなるか。まだ決められん。復興が先だからな」


「……わかった。わかったよ。ふふふふ」


 私は笑う。


「どうした?」


 それに疑問を抱いた彼に私は言う。


「トキヤみたい……大人で……そうやって必要なことをする。指導者で……似合ってない」


「そりゃ……仕方ない。もう昔の俺じゃないって何度も何度も言ったよな?」


「格好いいよ……ウル」


「…………」


 彼は照れ臭そうに頭を掻く。そして……スッと私の頬を撫でた。私は目を閉じ委ねる。


 ゆっくりゆっくり熱を感じる中で彼の巧ましいくちずけに体が力を失う。


 深く深く……熱く。熱をもったその行為に私は体がとけてしまいそうになり。彼の体に手を回す。


 やっと離れた時。私は……笑顔で彼に囁いた。


「ありがとう……愛してる。ウル」


「………ああ」


「「「「キャアアアアアア!!」」」」


「「!?」」


 窓の外から甲高い悲鳴のような歓喜が聞こえウルが慌てて離れて様子をみる。窓にベッタリと頭にキャップを被った看護師の天使が張り付き。わちゃわちゃしていた。


「見世物じゃないぞ!!」


「きゃあ!! 逃げよ!!」「うっわ!! 甘い!!」


 窓を勢いよく開き、色々と感想を述べて蜘蛛の子を散らすように逃げる天使たちにウルは罵声を浴びせ続ける。疲れるまで怒声をあげていたウルはそのまま振り向く。


「はぁはぁ……ネフィア。俺はこのまま仕事探す」


「……うん。恥ずかしい?」


「……………見られるのは違うだろ」


「そうだね。恥ずかしい……そう。この感情は恥ずかしいんです」


 私は胸が暖かいのを感じながら。冷たかった体に深く深く彼を愛する激情を手に入れたのだった。







「トキヤ殿……ネフィア様は?」


「エルフ族長。安心しろ……元気になるだろう」


「それは安心しました……会議はいつほどがよろしいですかね?」


「1、2週間様子を見よう」


「そうしましょう……面会希望者は多いですからね」


「ああ……多いな。エルダードラゴンズにマクシミリアンたち」


「ええ、これで拡張は最後ですね」


 エルフ族長とトキヤは二人で廊下を歩きながらこれからの予定を決めるのだった。








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