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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
第零章中編 ~深淵の大穴、捨てられた大地から目覚めた魔王~
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死の世界から立ち上がる第2、第3の魔王.


「ん!?」


 嵐竜はある気配を感じ取る。殺した奴の気配を感じ取り慌てて援護を取りやめ死体を探す。


 見つけた死体だった筈のネフィアの亡骸に炎がのぼる。そして纏い、ゆっくりと体を治し立ち上がろうとしていた。黒い鎧が創造され身を護る。


 嵐竜は思い出したかのように魔法を唱える。


「忘れていたな。お前はそういう意味のわからん不死性があったことを……今度は体を粉々にして分解しなくちゃいけないとな!!」


 上空に膨大な空気を集め圧縮した空気から出ていく熱と魔力を封じた物を生み出し。魔力と熱の代わりに光を放つ。疑似太陽のような物をネフィアに向けて放った。


「消えろ!!」


 熱される大地は泥々に溶ける。その中でネフィアは立ち上がり、氷のつぶてをデコピンで打ち出す。


 氷のつぶてが圧縮した空気球を撃ち抜き、風船に穴が開くように膨張した空気球が破裂。暴風を周りに生み出し地面の表面を撫でるように抉る。熱風もありながらもネフィアは燃えず、金色の髪が風によって靡いた。六翼から散った羽が舞う。


「………ほう」


 嵐竜は感心する。そして、ネフィアは拳を握った。炎は纏わず今度は大地に氷が這う。


「黄泉から帰ってきたぞ嵐の竜王……」


「ククク、もう一度叩き落としてやる。魔王!!」


 その問答の瞬間にネフィアは地面を蹴り飛ぶ。


「真っ直ぐくるか!! なら迎撃してやろう!!」


 迎撃用に嵐竜が砂鉄から槍を生み出して射出する。黒い雨のような槍をネフィアは斜めに避け、ジグザクに高速で飛んでいく。


「空中でここまで動けるだと!?」


「おおおりゃああああ!!」


 真っ直ぐ大きく右手を握りしめてネフィアは振り抜く。その瞬間に氷のつぶてが打ち出された。


「な、なに!? 空壁!!」


 空気の固定された壁に氷が這う。そして、雪が舞い。ネフィアは嵐竜の脇につく。


「なんだ!? 何が変わった!? 動きが!! 絶空!!」


 嵐竜はたまらず周りに衝撃波をだしネフィアをひっぺはがすが、目の前から高速で移動され視界から消えていく。翼を持たない彼女の猛攻に嵐竜は気がついた。


「………な、なに!?」


 氷のつぶてが至る所に存在し。それをネフィアは蹴り崩して移動していた。移動先に大小様々な氷が生まれ。嵐竜の周りに舞う。


「小賢しい!! 吹き飛ばしてやる!!」


 嵐竜がネフィアに肉薄し殴り付ける。氷のつぶてごと。


 ぼごっ!!


 ネフィアはその動きに合わせて避けようとせずに殴られ吹き飛ぶ。


「ぐふっ……ふぐううううう!! ふぅ!!」


 吹き飛ばされた後方で氷の板が生まれ。ネフィアはそれに足をつけた。そしてそれを強く蹴り出す。一直線に飛び。嵐竜は砂鉄を使いバックルを装備した拳で殴りつけた。


 一本の矢となったネフィアは大きく右手を握りしめて殴り相手の拳と合わせる。


ガッゴオオオン!!


 金属の重厚な音が響いたあと。嵐竜の左手の拳が後方に弾かれる。


「なに!? 弾いただと!?」


「エターナル!!」


 ネフィアがそのまま、弾いたあと翼を広げ。姿勢を保ち。中に固定した氷のつぶてを呼び寄せて打ち込む。


「ブリザアアアアアアドオオオオ!!」


「ぐぉおお!! メイルシュトローム!!」


 打ち込まれた氷のつぶてが嵐竜の風によって遮られる。しかし、衝撃波はしっかりと飛び。嵐竜の腹部に当たる。くの字に曲がった嵐竜はそのまま距離が離れ。そして……ネフィアは吹き飛んだ嵐竜の頭に向けてかかとを落とす。


「くっ!! だが!! リーチがない!!」


 スカッ!!


「ふん!!」


 かかと落としは空を切る。


ズブユウウン!!


「ぐは!?」


 が、大きく嵐竜の頭が動き。痛みで動じる。その隙を逃さず。片翼の三翼を巻き込むように嵐竜の頭から叩きつけ。嵐竜の表面に氷を生み出して地面に叩き落とす。


ボフゥン!!


 地面に叩き落とされた嵐竜はそのまま立ち上がり。大きく咆哮をあげ、ネフィアは翼でガードする。咆哮だけで相手を押し返す力を持ち。それは……波として地面を抉る。


「ふぅ……ふぅ……」


「はぁ……はぁ……」


 ネフィアと嵐竜は息を整える。嵐竜はそれに気がついたように手をかざした。


「絶空!!」


「むぐ……ん……」


 手をかざした先でネフィアは黒い世界に巻き込まれる。白い翼は淡く発行しネフィアの姿をうつす。


「……」


「……」


 無音の世界で……嵐竜の姿もうつす。そして、なぜか声が聞こえた。二人だけの暗黒の空間でネフィアは力づよく地面に立った。


「呼吸もせず……生きていないわけではない……どう言うことだ? あの攻撃もそうだ。そんな小さな体で……いや……そういう存在か!!」


「……そうですね。それがなにか? 声が通してくれるなら答え合わせといきましょうか?」


「ククク!! 要らぬ!! 消し去るだけ!! それよりも女神も倒すのだから……至るだろうな。どこで気が付いた? その力」


「最初は記憶の中、錆びた騎士マクシミリアン王の剣を弾いたエルフ。数々の場所で土壇場で……勝てる理由は……培った物とそして……その火事場のくそ力です。品なんてないですね」


 ネフィアは拳から小さな火の粉を散らす。火によって見えた完全なる世界の理を身に感じる。


 ネフィア・ネロリリスはそれを……感覚で理解していた。いや、見ないようにしてきたのだろう。「わからない」とネフィア・ヴァルキュリアは考えをやめて首を振る。


「はははははははは!! そうだ!! そうだ!! だからこそ!! それを屈服させる!! そういう物はお前だけの物じゃない!! 我にもあるぞ!!」


 ズシャ!!


「強い意思がな!! お前よりも!! 遥かにな!!」


 嵐竜が四肢を地面に縫い付ける。そして大きく。口を開けて絶空で消し去った空気を一ヶ所に集める。魔力を込めた巨大な空気弾は嵐を内包する。


「メイルシュトローム!!」


 そしてその大きな都市をも破壊つくす天災の魔法が打ち出される。そうの膨大な破壊することの「できる」魔法が打ち出された。


 ザッ!!


「……今度は私が受ける番ですね!!」


 ネフィアはそれを目の前の迫るそれを受けて答える。何処へ受け流すかを考えて両腕で受け止め。破壊する事が「できない」ように表面を凍結。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! 私は!!」


 固定させてそのまま暗黒の空間で上に向けてほおりなげる。


「負けられないんだあああああああ!!」


 捨てられた島にネフィアの大きな声が響き渡った。






「!?」


「今の声……」


 婬魔たち、英魔族の手が止まり天使たちも驚いて手を止めて空を見上げる。皆が声の主に皆が気付いたのだ。


「……女王陛下だ!!」


「やっぱり!! 死んでなかった!!」


「どう言うこと? 死んだって……」


 孤児院の婬魔の子達が涙ながらに声を出す。


「「「ネフィア女王!! がんばってえええええ!!」」」


 その応援する声は……ネフィアに届く。







 地面に、体重もなにもかも重くしたネフィアは声をあげて敵の攻撃を投げて押さえつけていた力を解放させた。暗黒の空間が裂け、空に膨大な風の刃を撒き散らし。疑似太陽の炎が散る。捨てられた島がゆっくりと暗くなる中でネフィアは地面を蹴る。翼を展開したまま。


「来るか!! 魔王!!」


 嵐竜が「魔法では倒せない」と悟り。拳を捨て、砂鉄を集めて鎧を作り、剣を作り。ネフィアに対して剣を大きく降り下ろす。ネフィアは、それを……手甲で滑らせて、横を抜ける。


ギュルルルルルルルルル!! ぎゃああああん!!


 手甲で大きく剣を弾けたネフィア。驚く嵐竜と視線があい、ネフィアは右手を突き込んだ。


 触れる訳ではない。ただ突き込んだ結果。衝撃が嵐竜に与えられ。黒い鎧を砕き、鱗を砕き、体に衝撃を通して後ろに飛ばす。嵐竜も距離をとるように吹き飛ばされるのを許す。


「ぐふ!? ば、ばかな!? 弾かれただと!? ありえん!! ありえんぞ!! 我の方が!! 絶対に強い!! 重い!!」


「……嵐竜」


 ネフィアがゆっくりと歩き出す。真っ直ぐ迷いなく。右手から小さな火の粉を漏らしながら。チリチリと燻る。


「すべて破壊つくす竜王。王、神……そして魔王になると言ってましたね……」


「そうだ!! すべての頂点!! 力の頂点!! 我にはその資格がある!! この島を消し飛ばせる力がな!! 自然の体現者!! 故に!! 天災を操れる!!」


「そんな力で勘違いするな……魔王はね……王よりも神よりも……あなたよりも……」


 ネフィアは大きく翼を広げ握って火の粉が漏れている拳を前に持ってくる。


 心の中で小さな火が燃え上がった。冷たかった体が熱を持つ。溢れんばかりの力と愛をネフィアは知る。


「認めてやろう!! 魔王ネフィア・ネロリリス!! お前を越えたら!! 世界は我のものだ!!」


 嵐竜が鎧を修復させ、自身を回復する。大きい黒い竜剣を両手持ちに大型化させ。砂鉄の風の鎧を体に纏わせて近づく物を削り、周りの石が削れていく。触れた物を削り取る鎧をも用意した嵐竜が大きく剣をネフィアに向かい突き込む。


 触れた物を削り取る砂鉄の風がネフィアに触れる前に凍結、動きを止める。突き込んだ剣先にネフィアは左手を合わせて、剣を剃らせる訓練を思い出して受け流す。翼を斬るだけになった剣をそのまま剃らせ。ネフィアは嵐竜の懐に入る。


 嵐竜は常時回復魔法と防御魔法を重ねかけをし、勝つことの「できる」方法で耐久勝負をする。


「くっ!? ここまでさせるとは!!」


ドンッ!!


 ネフィアは歯を噛み締めて拳を突き出す。黒い手甲の拳をまた。鎧と鱗を砕き。嵐竜を……逃がさない。


ガッ!!


 氷の柱と壁が嵐竜の背後に現れて巨体を受け止める。嵐竜は背後に存在するその魔法に驚き顔を歪めた。


「はぁあああああ!!」


 ネフィアはスパルタ王の言っていた意味を理解する。拳は想いが乗りやすいと。言葉が蘇る。


(剣がないなら拳がある。そして、王たる重さもある。この世界はな……そういうもので出来ている)


 ネフィアは固定され逃げることの出来ない嵐竜に拳を打ち込む。岩に打ち込んだりしていた事をそのままで相手を倒すまで殴り抜こうとする。


「私が拳で戦う理由は……戦える理由は!!」


 無音のようにネフィアは感じていた。何発も何発も殴る時の音なども、相手の砂鉄の棘での防御で拳が傷付き、痛みを感じようとも。拳を入れる。


「拳に想いが乗せられるから!!」


 ネフィアは拳を振る。


ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!


「はああああああああああ!!」


 ネフィアは右手を大きく振りかぶり。手を広げ、散った火の粉がその手の前で舞う。まだ弱い火だが、その火の粉を力強く握りしめた。


ブワッ!!


「ぐはっ……!? ま、まおう!?」


「……魔王はね……そのどれよりも背負うものが重いのよ!!」


 そして、右手にネフィアは託した。


 グルウウウウウウン!!


「エターナル!!」


「や、やめ!!」


「フレアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


バフゥウウウウン!! ガッシャアアアアアアアン!!


 歯を食い縛り、足から全身にかけて力を込め。右手を大きく大きく打ち出した。その衝撃は右手の手甲を消し飛ばしネフィア自身を気絶させる。竜王の体を砕き吹き飛ばし、氷の壁砕けさせ。氷が飛び散り、地面を大きく抉り抜き。都市の城壁に竜王の砕けた体を押さえつけた。


 その軌跡は少し焼け焦げ。火の粉を生み出す。


 右手の手甲が飛び散り、赤く充血し血が吹き出た腕をネフィアはゆっくりと上げ……意識がないまま強く握りしめたのだった。








 


 


 




















 





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