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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
第零章中編 ~深淵の大穴、捨てられた大地から目覚めた魔王~
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諦めない魔族.


 上空の大きな大きな金属の鳥、飛行船から杭が打ち出される。大きな飛行挺が杭を打ち込んで天使を落としていく。


「畜生!! どんだけ落としてもきりがない!!」


「弾がねぇ!!」


「魔力もなくて……ただの鉄の塊になっちまった」


 船内でスライムが議論しあいながら。悪態をつく。


「通信入った!! 一度寄港して……他の飛行挺に乗り換える!!」


「わかった!!」


 ばっごん!!


 飛行挺の弾がなくなり。防衛できなくなった所を天使が攻め、翼を折る。


「機体は乗り捨てだ!! 落ちる!! ショックに備えな舌を噛むぜ!! 玉もすくむぜ」


「はん!! スライムなんざにそんな高尚なもんついてねぇな」


「違いねぇ!!」


「俺……両方ついてっぞ!!」


 ヒュウウウウウウウウウウウ!! ガッシャン!!


 飛行挺が都市に落ち燃え上がる中でスライムが魚族を包んで衝撃を受け、解放し、そのまま走る。


「畜生!! 徒歩かよ!! 海から遠いのに!!」


「まだ、上空で戦っている!! つべこべ言わず行くぞ!!」


 乗組員はそのまま燃え上がる機体を捨て、自身の都市である。都市オクトパスを目指すのだった。





 黒いゴーレムは地上で砲身を上空の天使や竜に向けて攻撃を行っていた。鈍重な音と共に薬莢を排出しながら。ずっと攻撃を行う。


 何を考えているかわからないそれただただ装填し攻撃を行う。


 何発も何発も……天使を穿つ。


 多くの英魔族が黒いゴーレムの脇をすり抜けて進む中でゴーレムは何も言わずに見届ける。


 この決着はどうなるかと。


「……5%……弾薬底をつくわ」


「………」


ガシャン!!


 ゴーレムが後退し母艦に帰還し始める。弾を取りに帰ろうとした瞬間。上空から何か降ってくる。


ガシャコン!!


 それは大きい箱であり。ゴーレムはそれを拾った。


「……あなたは帰ってこないでしょう。弾薬用意したわ」


 ゴーレムは何も言わず。ただただ戦い続けるのだった。


「感謝してくれてもいいのよ……まったく昔から……」


 ゴーレムに愚痴愚痴した通信が入り続けるのだった。





「ダークエルフ族長……都市に壊滅的な被害が出ていますね」


「ああ……そうだな」


 ダークエルフ族長はもぎ取った天使の翼を投げ捨てる。部下の衛兵も同じように天使を狩る。


「天使は弱いですが。数がね……」


「全くだな。どれだけ倒しても終わらない。あの現れてくる穴を塞ぐこともできない」


「……女王陛下は本当にお亡くなりに?」


「かもな。でも、俺たちは戦わないといけない」


「そうですね。許せません」


「ああ、許せない!!」


 ダークエルフ族長は大きな広間に降り立った天使に肉薄しブレードランスを横に振り、天使を寸断する。


「許せるもんか!! 肉が朽ちるまで!!」


 怒りに身を任せて戦い続ける。






 首都近くの孤児院。震えていた婬魔の子達の目の前に天使が舞い降りる。槍を構え殺そうと迫る中で子達は震えるのをやめる。


「女王陛下は戦ってる……なら……」


「僕たち私たちも戦って一緒に逝く」


「うん!!」


 剣を持たない。婬魔達が魔法を唱えて天使と戦う。しかし、魔法は通じず。ただただ無駄に攻撃をする。


「………」


 それでも孤児院の子供たちは剣を持ち。天使に迫る。天使は槍を振るうが弾かれ、小さな体の孤児に切り払われた。


「僕たちも勝てる!! 勝てるんだ!!」


 戦わないといけないと感じ取った子達は叫ぶ。痛みなぞ死なぞ越えた先に栄光があるとエルフ族長が教えてくれた通りに信じる。


「皆!! 諦めないでいこう!!」


 天使を狩り、手に入れた槍を鹵獲して子供たちも外へ向かう。がむしゃらに死の恐怖を忘れて。







 暗い……暗い中で私は目覚めた。死後の世界なのか真っ暗な空間に私は立っていた。わかることは……今の状況。悲しみが胸の中に溢れる。


「………負けてしまった」


 「死んだ」と思う中で、私は……周りを見渡す。何もない中で背後に小さな灯火が見えた。


 それは火であり……赤い火が灯っている。本当に本当に小さな火があり。誰かがそれを持っているのか手が見えた。


 何なのかと思い私はそこへ走り出す。走り出す。


 まるで光に吸い寄せられる虫のようにただただその光を目指す。


 何もない地面の中でも前に進める気がした。何やら浜の砂のような感触になり足を取られつつも走る。そして……その火が大きくなるにつれ。人が立っている事がわかった。


「あっ……」


 バスッ!!


 そして私は砂に足をとられて転げてしまう。結構勢いがあったのか勢いよく転けてしまい。転がる。


「うぅ……ん……」


 転けてもそれでも立とうとした瞬間。目の前に火が見えた。小さな火を持った人が近付いてきたのだ。


 そのまま私は顔を上げる。そして、目が合った瞬間に驚く。


 そう同じ顔、同じ背丈、同じ髪を持った女性。


 誰よりも憧れた人。皆が尊敬する人。


 私の元となった人。


 白金の鎧を着た。右手の手甲を外したネフィア・ネロリリスが手に小さな火を持って立っていたのだった。







 

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